“フォースの覚醒”で初めてスターウォーズを観た人へ 世界がスターウォーズにハマる理由とは

スターウォーズ / フォースの覚醒』で、初めてスターウォーズの世界に触れたというあなた。めくるめく銀河の世界へようこそ!

『フォースの覚醒』の公開は社会現象と呼べるほど大いに盛り上がりましたが、一方で、なぜこの映画がこれほどまでに注目を集めているのか、これまでスターウォーズに触れたことのない方にとっては、よくわからない部分もあったかと思います。

第一作が1977年に公開されて以来、全世界でカルト的な人気を築き上げてきたこのスターウォーズという作品の魅力や偉大さを、『フォースの覚醒』で初めてスターウォーズを観た方に解説したいと思います。

時代を超えた未完の物語

1977年に世界中の観客を連れて遥か彼方の銀河系に飛び立ったスターウォーズの物語は、まるで膨張を続ける宇宙空間のように、現在もなお広がり続けています。
2015年12月に、僕達は『エピソード7 /フォースの覚醒』を得ました。この後も、2016年12月にはシリーズ初となるスピンオフ映画『スターウォーズ ローグ・ワン』の公開が予定されており、別のスピンオフ映画も予定されています。また、2017年夏には『エピソード8』、2019年には『エピソード9』も控えています。

『フォースの覚醒』では、これまでのスターウォーズ作品で描かれてきた世界の約30年後が舞台となっています。
ハン・ソロやレイア姫、ルーク・スカイウォーカーといったお馴染みのキャラクターを演じる役者達もリアルタイムで年を重ね、C-3POとR2-D2は当時のままの姿で再び登場します。(C-3POは、左腕の色が赤色に変わっていましたが)

遥か彼方の銀河系は、あれからどうなったのだろうか?

誰もが夢中になったスペース・ファンタジーの”その後”の物語を、世界中のファンが夢中で想像しました。
既に世の中にはエピソード1〜6以外の世界を描いた公式の小説も数多く登場しており、エピソード6以降の世界を舞台にしたものもありました。しかしそれらは、スターウォーズの版権をディズニーが全て買収した事により“無かったこと”にされ、新たなるストーリーが再構築される事になりました。(ディズニー買収後に作られた公認ストーリーは、”カノン(正史)”と呼ばれます。)

僕達が『フォースの覚醒』で観た世界では、新たな悪役が登場していました。エピソード6で壊滅に追い込まれた帝国軍は再興し、カイロ・レンという新たなる悪役を輩出していたのです。
彼はダース・ベイダーを崇拝しており、「私が、あなたが始めたことを終わらせる」と口にしています。
しかし「あなたが始めたこと」が何を指すのか、『フォースの覚醒』劇中では明確に語られる事はありませんでした。カイロ・レンは何を遂行しようとしているのか?父ハン・ソロや、師であるルーク・スカイウォーカーといった、彼を育てようとした大人たちとの間に何があったのか?
そして彼を暗黒面へと誘ったスノークとは何者なのか?
ルーク・スカイウォーカーが姿を消した真意とは?

長く続くスターウォーズの歴史に新たに産み落とされた謎たちは、この後2019年まで続くエピソード9まで時間をかけて明かされる事となります。
1977年に始まったこの物語は、世代を超えて今もなお広がり続けている。僕たち観客にとっても、親から子へ、子から孫へと語り継ぎ、共有する事ができるタイムレスな物語なのです。

大きなテーマを扱いながらも、多くを語らない

「信じがたいが…全て真実だ。ダークサイドも、ジェダイも、全て実在する。」
ハン・ソロは、旧三部作の主人公であるルーク・スカイウォーカーにとって年上の相棒でした。エピソード4で、ルークと、ルークの最初の指導者オビ=ワン・ケノービに出会った頃、彼はフォースやジェダイといった類のものを「インチキ」として信じようとしませんでした。

フォースとは

スターウォーズの世界でも重要な役割を持つ、フォースという概念は何なのでしょうか。

実は1999年に『エピソード1 / ファントム・メナス』が登場するまで、フォースというものが一体なんなのか、映画の中でハッキリ語られる事はありませんでした。
どうやら、スターウォーズの世界にはフォースというものがあって、これをコントロールする術を学べば、手を触れずとも物を動かしたり、意志の弱い相手の心を操る事ができるらしい。しかもフォースには「暗黒面(ダークサイド)」という側面があって、これに取り憑かれることは危険らしい…。

ファンたちは、フォースとは何なのか、想像するしかありませんでした。しかしこれは決して不親切というわけではなく、想像の広がりを楽しむファンたちにとっては好都合なものでした。ファンは、このフォースという革新的な概念に、それぞれの解釈を重ねあわせる余地が与えられていたのです。

映画の中では、ファンたちはルーク・スカイウォーカーを通じてフォースを知る他ありませんでした。
『エピソード4 / 新たなる希望』では、、オビ=ワン・ケノービにこんな説明を受けます:

「フォースはジェダイの力の根源だ。生命体が作り出すエネルギーの場で、銀河全体を覆い、我々を結びつけている」

続く『エピソード5 / 帝国の逆襲』で、ヨーダのもとで修行を始めた際に受ける教義でも、語られたのはこの程度です:

「生命がフォースを産み 育てる。そのエネルギーが銀河を結びつけている。生命はエネルギーだ。肉の塊ではない。
周りを取り巻くフォースを感じろ。お前とわしの間にもある。木にも、石にも…。どこにでもある。」

フォースとはどうやら、万物に存在する”生命エネルギー”だそうです。フォースはいかなる科学や宗教にも属していないのですが、ある意味ではこれらの普遍的な要素を超越した存在なのです。
かつてハン・ソロは『エピソード4 / 新たなる希望』で、フォースの扱いを学ぼうとするルークに対して、「カビの生えた宗教」と小馬鹿にし、「俺は銀河中を旅してきたが、万物を支配する力なんてお目にかかったことがないね」「インチキに決まってる」と笑い飛ばしています。繊細さを持ち合わせないぶっきらぼうなハン・ソロに、ルークは「信じないんだな」と呆れます。

映画を観れば、スターウォーズの世界の中でも最も強大かつ繊細な概念であるフォースは、物を動かしたり人の心を操ったりと魔法のような要素を持ちつつも、フォースの意思に身を委ねようとするジェダイと、それを自らコントロールしてパワーを得ようとするシスの価値観の違いなどから、信仰の対象としての側面も兼ねていることがわかります。
フォースについて議論するのは自由です。この”議論の自由”というのが、スターウォーズを象徴する大きな文化です。(他にもスターウォーズの中でファンが議論したり空想する要素は山程あります。あの世界の中の歴史や科学、生態系、政治、テクノロジーなど、ファンはありとあらゆる議論を行ってきています。)

フォースについては、少年少女にとっては離れた場所から物を動かしたりできる魅力的な魔法のようなものですが、時に学者・有識者がその議論のテーブルに座ることもあります。彼らが、フォースと、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教などの既存の宗教との共通点を見出そうとする動きも多くあります。ありとあらゆる生命体や物質に流れているフォースは、日本人の僕達にとって八百万の神の概念に似たものがあります。
このように、既視感ある概念でありながらも、魔法のような不思議な側面も持つフォースは、誰にでも理解しやすく、それでもなおフォースにまつわるあらゆる空想を許してくれるような寛大さも持っています。

ファン達は、“フォースと共にあれ(May the Force be with you.)”という、スターウォーズの中でも特に有名なセリフでつながっています。これとキリスト教の“主は皆さんとともに”との類似性を宗教学の観点から論ずる人もいます。こんな風にあれこれ考えるのも、世界中のファンから愛されているスターウォーズならでは文化です。

※1999年に公開された『エピソード1 / ファントム・メナス』では、フォースにまつわる”興ざめするような”解説が語られました。なんでもフォースは、「ミディ=クロリアン」と呼ばれる細胞内の微生物に強く関係しており、”フォースが強い”かどうかは細胞内のミディ=クロリアン数値の大小によって決定づけられるという科学的な設定です。それまでフォースについて様々な解釈を楽しんでいた世界中のファン達は、ミディ=クロリアンの設定に憤慨し、失望しました。

さて…『エピソード7 / フォースの覚醒』で、かつてフォースを「インチキだ」と一切信じようとしなかったあのハン・ソロが、三十余年の時を経て『すべて真実だ』と神妙な面持ちで語る姿にファンが思わず涙をこぼした事は…言うまでもありませんね。

ハン・ソロ「全て真実だ」

1977年当時「万物を支配する生命エネルギーなんてねぇよ。どうせくだらないインチキだろ」→2015年「全て真実だ」

画像出典:http://www.patheos.com/blogs/exploringourmatrix/2015/10/its-true-all-of-it.html

観る人によって魅力を感じる場所が違う

スターウォーズの大きな特徴のひとつに、『情報量の多さ』が挙げられます。
たとえば、背景にふと写りこむエイリアンやクリーチャーのほぼ全てに個別の名前が与えられており、彼らが何故そこに映っていたのかという明確なバックストーリーもそれぞれに用意されています。
まるで、僕達が暮らすこの地球上の時系列とは別に、スターウォーズの世界というパラレルワールドが本当に存在しているかのような錯覚を覚えるほどに。

あまりにも多くの情報量を持つスターウォーズは、様々な顔を持っています。100人のファンに「スターウォーズの一番の魅力は?」と尋ねたら、おそらく100様の答えが返ってくるでしょう…それも、それぞれかなり違うベクトルの答えが。

たとえばライトセーバースターウォーズの世界でお馴染みの武器であるこの光る剣は、少年の心を持ち合わせる人なら誰もが夢中になる魅力を持っています。
劇中に登場するライトセーバーの”柄”の部分を忠実に再現したレプリカのコレクターもたくさんいます。
またライトセーバーを操るキャラクターによって異なる構え方やセーバーの振り方などの”型”や”流派”を学ぼうとするファンも多いのです。

ライトセーバ

画像出典:http://www.lapatilla.com/site/

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画像出典:http://www.nydailynews.com/news/national/light-saber-combat-class-aims-star-wars-fanatics-trained-jedi-knights-article-1.1269785

また、ハン・ソロのミレニアム・ファルコンや、反乱軍やレジスタンスのパイロットが乗り込むX-ウイング、圧倒的なスケールに息を呑んだスター・デストロイヤーなど、「乗り物」に魅力を感じるファンもいます。

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画像出典:https://community.fantasyflightgames.com/topic/188511-t-70-turbines/

スターウォーズの世界の銀河系における宇宙史や惑星、そこでの生態系に興味を抱くファンもいれば、ジェダイとシスの勢力バランスの遷移、共和国の崩壊と軍事国家である銀河帝国の誕生、その背後にうごめく利権問題などをはじめとする壮大な政治物語、経済、産業、歴史を研究する動きもあります。

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画像出典:http://mapgame.wikia.com/wiki/File:Star_wars_map_star_wars_galaxy_map_official_galactic_map_star_wars_universe_1.jpg

ストーリーやキャラクター像も魅力的ですが、こういった「裏設定」に夢中になるコアなファンが非常に多いのもスターウォーズの特徴と言えるでしょう。

スターウォーズがもたらした革命

なぜスターウォーズは、単なる映画の域を超えて語られるのか。それは、スターウォーズが映画産業界をはじめとする、世の中にもたらした技術的・商業的な影響が非常に大きいからです。

劇場の入れ替え制

一般的な劇場では『入れ替え制』が採用されています。一回の上映が終わる度に、シアター内の観客をいったん全て退席し、文字通り観客を入れ替えるシステムです。
実はこの入れ替え制を普及させたのはスターウォーズでした。『エピソード4 / 新たなる希望』の上映当時、上映後も席に居残り、次の回の上映も繰り返し観ようとした観客が多すぎたためです。

ILMの設立

スターウォーズが制作された70年代半ば、SF映画といえばヒット作とは無縁で、映画業界にとって費用対効果が極めて悪く、誰も手を出したがらない瀕死の分野でした。そもそも当時のSF作品といえば、あくまで「未知のテクノロジー」を映像化する生真面目な作風が多く、大衆向けの娯楽作品ではありませんでした。
この分野で子どもたちが夢中になれるような冒険活劇を描きたかったジョージ・ルーカス監督は、20世紀フォックスと共に彼の頭の中に長くあった『スペース・ファンタジー映画』の制作についに取り掛かります。しかし、彼の頭のなかに描いていた世界を映像化するのに必要な資金も集まらなかった上、当時の20世紀フォックスのSFX(特撮)部門も閉鎖されてしまっていたため、自分達でガレージに独自の制作会社を設立します。

ilm

画像出典:http://herocomplex.latimes.com/uncategorized/john-dykstra-on/

ロサンゼルス郊外のガレージで誕生したILM(インダストリアル・ライツ&マジック)は、ここから映画界の流れを大きく変えるような発明を次々と実現していくのです。

世界初のモーションコントロールカメラ

1977年に公開された第一作目『エピソード4 / 新たなる希望』時点で、スターウォーズは既に映画化に大きな技術革新を起こしていました。ILMが開発した『ダイクストラフレックス・カメラ』は、カメラの動きを一度コンピューターにプログラムすれば、何度でも同じ動きを繰り返すことができるもので、コンピューターを導入した史上初めてのモーション・コントロール・カメラでした。

Photoshop

現在では写真編集などの用途で広く使われているPhotoshopですが、これも実はILMのメンバーが”ついで”に産み出されたものです。
ILMのチーフ・クリエイター・オフィサーであるジョン・ノールはこう回顧します:

ILMの新入りは、夜勤に配属されました。ぼくのシフトは夜7時から朝5時まででしたね。当時は空き時間があると、ミシガン大学で博士号を取ろうとしていたソフトウェア・エンジニアの兄と一緒に、あるアイデアに取り組んでいました。最終的に、それが発展して「Photoshop」になったのです。

出典:WIRED vol.18 p.57

THX

映画の開始前にしばしば流れる、“THX”のロゴと共に“ブゥゥウウウウウン”という音が流れる映像に見覚えはありませんか?

このTHXとは、映画の音響の評価を提供する会社で、もとはスターウォーズを最高の音響環境で上映するためにジョージ・ルーカスが提唱したプログラムでした。

歴史的大ヒットシリーズ「スター・ウォーズ」公開当時、製作者ジョージ・ルーカスは、映画館での再生における音響特性の悪さに頭を悩ませていた。
映画の感動の50%は音響により得られる。
そう提唱するルーカスは、製作段階から上映に至るまでの音響設備の規格化と管理を行い、製作者が意図したとおりの高品位再生を目指したプログラムを確立する。
これが「THXシステム」であり、自作の「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」の公開に合わせ、1983年より主要映画館への導入が開始された。

THX

史上初のデジタル映画

現在ではデジタルカメラで撮影され、映像をデジタル環境で編集する事は全く珍しくありませんが、この流れを最初に作ったのがスターウォーズでした。
2002年に公開された『エピソード2 / クローンの攻撃』は、フィルムカメラに代わりデジタルカメラで撮影され、編集もデジタル機器のみで行われた、全編デジタルで制作された史上初の長編映画です。これをきっかけに、デジタル撮影の技術革新が急ピッチで進んでいく事になります。

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画像出典:https://gogogeekoo.wordpress.com/category/effets-speciaux/post-production-effets-speciaux/

『エピソード7 / フォースの覚醒』は逆にフィルムカメラを採用した事も話題になりましたね。

スターウォーズを観るならこの順序!

スターウォーズの魅力はまだまだたくさんあります。文中に述べたように、この作品の一番の魅力や功績を一口で語る事はできません。
最後に、スターウォーズ過去6作をこれから観てみたいという方に、オススメの鑑賞順をご紹介します。
ファンがよく言うように、4→5→6→1→2→3→4→5→6の鑑賞順がおすすめです。

① エピソード4 / 新たなる希望(1977年)

すべてはここから始まった…なぜ副題が「新たなる希望」なの?劇中に出てくる意味深な会話はどういう意味なの?鑑賞しながら思い浮かぶ疑問は、そのまま頭の片隅に置いておいて。

② エピソード5 / 帝国の逆襲 (1980年)

ついにベイダーと直接対決。運命に翻弄されるルークと、ヨーダの「教え」に注目。

③ エピソード6 / ジェダイの帰還 (1983年)

迫力満点のバトルシーンと愛らしいイウォーク族も見どころ。ついにダース・ベイダーを倒し、帝国軍との戦争に終止符が打たれた事にひとまず安堵。

④ エピソード1 / ファントム・メナス(1999年)

ダース・ベイダー誕生物語第一章。アナキンのポッドレース、アクロバティックなダース・モールのアクションが見どころ。

⑤ エピソード2 / クローンの攻撃(2002年)

アナキンに除々に宿り始める暗黒面の片鱗…。ヨーダの見る目も一気に変わるはず。

⑥ エピソード3 / シスの復讐(2005年)

なぜこんな事に…堕天使アナキンの転落物語。全ては破滅と絶望に。物語、設定、ビジュアル等ありとあらゆる要素が旧三部作へ繋がっていく快感。

⑦ エピソード4 / 新たなる希望(1977年)

もう一度エピソード4を。オビ=ワンの「クローン戦争」への言及、オビ=ワンvsベイダーの再戦などが胸熱。「新たなる希望」ってそういう事か!

⑧ エピソード5 / 帝国の逆襲 (1980年)

ヨーダ先生との再会。言葉のひとつひとつに深みを感じる。アナキン、君の息子はなんとか頑張っています。

⑨ エピソード6 / ジェダイの帰還 (1983年)

オビ=ワン「初めて会った時、アナキンは名飛行士だった」ルーク「あなたにはまだ善の心が残っている」ベイダー「今更もう遅い、息子よ…」
ベイダーとしての苦しみの日々はようやく終わり、ついに”ジェダイの帰還”が果たされる…おかえりアナキン、そしておやすみ。

スターウォーズ

 

About the author

インド旅行中、たまたま現地新聞に写真を撮られて掲載されるというミラクルを起こしました。持ってる男。THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。

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