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ヒュー・ジャックマン来日、ジャーナリズム語る ─ 映画『フロントランナー』記者会見(写真26枚)

『フロントランナー』ヒュー・ジャックマン
©THE RIVER

次期大統領候補とされながら、たった一つの私的なスキャンダルで政界から姿を消した実在の人物ゲイリー・ハートの栄光と転落を描く映画フロントランナーが、2019年2月1日より公開となる。このため、主演ヒュー・ジャックマンが来日。会見に挑み、記者からの質問に答えた。(記事最後に写真ギャラリー26枚。)

『フロントランナー』ヒュー・ジャックマン
©THE RIVER

この日のヒューは美しくデザインされた肉体をグレーのスーツに包んで登場。親日家としても知られるヒューは、精悍な顔つきを柔らかくほぐしている。

「(日本語で)おはようございます。あれ(笑)、笑ってる。僕のアクセントが悪かったのかな…。ハハハ(笑)。ありがとうございます。また東京に来られて嬉しいです。本当にここが大好きなので、『フロントランナー』をお届けできて光栄です。ご存知ジェイソン・ライトマン監督は素晴らしい映画監督。日本の皆さんが本作を観て頂いて、然るべき議論を行って頂ければ幸いです。(日本語で)ありがとうございます。」

『フロントランナー』は、あなたに問いをぶつける作品

以降ヒューは、詰めかけた記者からの質問に答える。ヒューといえば『X−MEN』シリーズのウルヴァリン/ローガン役や『グレイテスト・ショーマン』(2017)の役が印象的だが、『フロントランナー』では実在する政治家という役どころ。イメージが一変する作品だが、出演を決めた理由はなんだったのか。ヒューはマイクを取り、まずは記者に「ありがとうございます」と礼を述べてから語る。

「この作品をお受けしたかった理由は、ジェイソン・ライトマン監督です。彼の『JUNO/ジュノ』(2007)や『マイレージ、マイライフ』(2009)、『サンキュー・スモーキング』(2005)が大好きで。彼は、キャラクターを白黒付けない形で、とても人間臭く描く。手がける作品ごとに全く異なる作風で、それがこの役を引き受けたい最初の理由でした。

次にストーリー。次期大統領候補とされた男が、3週間で政界から葬られてしまう。この映画はその3週間を描くものです。確かに彼は、僕のこれまでのどの役とも異なるキャラクターですね。とても謎めいた人物で、頭の切れる男。これまでの役とは全く異なる人物です(笑)。こうした役に挑めるのは素晴らしい機会だと思いました。

また、ストーリーに訴えかけるものがあるようにも感じました。アメリカに限らず、世界中を取り巻く政治のシステムについてです。この映画は、そこに答えを出していないところが良い。答えはこうだよ、と教えてくれる映画がお望みなら、この作品は向いていないかもしれません。視覚から会話劇に至るまで、あなたに問いをぶつけてくる作品なんです。どのキャラクターに賛同できるか、考えさせてくれる作品なんです。すみません(笑)、ちょっと喋りすぎちゃった。」

『フロントランナー』ヒュー・ジャックマン
©THE RIVER

いちど通訳を挟んでから、「それから」と語り直す。21歳の頃卒業した大学では、ジャーナリズムを専攻していたのだという。

「僕もみなさんのようにそちら(記者席)に一緒に座っていたのかもしれない。だからジャーナリズムにはずっと関心を持っていました。

この映画は1987年、(政治ジャーナリズムの)転換期となる出来事を描く作品です。政治や政治家と、マスコミとの関係性を完全に変えてしまった出来事です。記者が次期大統領候補とされる政治家に、「浮気はしてますか?」と聞くなんて、それまでは考えられなかった。午前の2時に、3人の記者が路地裏で大統領候補に質問するなんて、考えられなかった。そんなところも興味深かったんです。」

実在の人物を演じる責任

続いて別の記者から、スキャンダルで全てを失ったゲイリー・ハートについて尋ねられる。”タカコ”と名乗った記者に対し、「ありがとう、タカカ…、タタカさん?」会場は、ほっこりした笑いで包まれた。

「いっぱい話しちゃうから、手短にいきますね。ゲイリーが僕に教えてくれたのですが、人生最悪の3週間を語るのは辛かったそうです。ゲイリーは何年も上院議員を務めていて、この出来事の後もなお、多くの活躍をされているんですよ。御婦人とは、61回目の結婚記念日を迎えたところなんです。

大統領選を辞退したのも、家族を守りたいという思いのためです。それから、選挙制度の神聖さも守りたかった。彼のチームは、きっと救済の方法があるはずだと考えたのですが、ゲイリーが払う代償はあまりにも大きかった。歴史的に見ても、やはり政治家の個人的な事情がマスコミによって踏み荒らされ、関係性を変えた出来事だったと思います。信念を貫いたという点では彼にとっても良かったと思いますが、やはり辛い出来事だったでしょう。」

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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