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【特集】『ワンダーウーマン』主演ガル・ガドット、不遇のキャリアを紐解く ― 女優引退を考えた過去、キャスティング秘話も

Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/27976769694/

あえてこう言わねばならない。
DCエクステンデッド・ユニバース作品ワンダーウーマンでタイトルロールを演じるガル・ガドットは“遅咲き”の女優だ。2004年には18歳でミス・イスラエルに選ばれた、あるいは2009年『ワイルド・スピード MAX』で大作映画に抜擢された彼女のどこが“遅咲き”か……と見る向きもあろう。

しかし、ガドットが『ワンダーウーマン』で主演の座を射止めるまでの道のりは決して平坦ではなかった。ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマン役に決まる間際、彼女は女優を辞めることも考えていたという……。

ワンダーウーマン
cWarner Bros. 写真:ゼータ イメージ

ミス・イスラエル、戦闘トレーナーになる

ガル・ガドットは1985年4月30日、イスラエルの中心部にある都市ペタク・チクヴァに生まれ、小さな街ロッシュ・ハアインで育った。米ローリングストーン誌に語ったところによると、そこで彼女は「自分の能力を信じ、自分自身を尊ぶように」教えられたという。

「テレビはぜんぜん見ていませんでした。いつも“ボールで遊んでおいで”って言われていたんです。おおむね良い子で、良い生徒で、人を楽しませるおてんばな性格でしたよ。いつも膝にはスリ傷を作ってました。」

そんなガドットに転機が訪れたのは、彼女が高校を卒業してからイスラエル国防軍に入隊するまでのわずかな期間のことだった。母と友人がミス・イスラエルのコンテストに(勝手に)申し込んだことで、いきなり彼女はスターへの階段を上り始めることになったのである。

「自分自身に“やろう、(ミス・ヨーロッパコンテストのため)ヨーロッパへ行こう。孫たちに『おばあちゃんはミス・イスラエルだったんだよ』って言えるように”って言い聞かせてました。勝てるとは思ってなかったんです。」

その思いとは裏腹に、ガドットはミス・イスラエルの座に輝き、その後は予定通りイスラエル国防軍への入隊を果たしている。しかし戦闘トレーナーとしての2年間の兵役を終えた彼女は、ストレートに女優の道へと突き進んだわけではない。ガドットは再び学校に入り直し、法律を学ぶ道へと進んでいるのだ。

Gal Gadot speaking at the 2016 San Diego Comic Con International, for "Wonder Woman", at the San Diego Convention Center in San Diego, California. / Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/27976769694/ )
Gal Gadot speaking at the 2016 San Diego Comic Con International, for “Wonder Woman”, at the San Diego Convention Center in San Diego, California. / Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/27976769694/ )

女優としての「不遇」

ガドットが女優の道へと足を踏み入れるきっかけは、法学を学びはじめてしばらく後のことだった。
あるキャスティング・ディレクターが彼女のエージェントに接近し、“ガドットにオーディションを受けてほしい”という希望を伝えたのである。当時の彼女は「なに言ってんの? 私は学校にいるし、女優じゃないし、行きません」という姿勢だったというが、それでもエージェントに押し切られるようにオーディションへ参加している。その作品こそ『007 慰めの報酬』(2008)だった。

惜しくもガドットはボンドガールの役柄を逃しているものの、オーディションの成果は『ワイルド・スピード MAX』(2009)へとつながり、その後彼女は『ワイルド・スピード』シリーズ3作品への出演を果たしている。ほかにも『デート&ナイト』(2010)『ナイト&デイ』(2010)に出演するなど、その女優人生は華々しい幕開けとなったかに見えた。

しかしガドットは、その後いくつかのテレビドラマにゲスト出演し、イスラエルでのテレビシリーズでメインキャストを務めながらも、当初見込まれていたほどの結果を出せない日々を送ることになる。『ワイルド・スピード』シリーズを除けば、『ナイト&デイ』の次に出演した映画は『トリプル9 裏切りのコード』(2016)なのだ。
アメリカのテレビ番組「ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジミー・ファロン」に出演したガドットは、当時の苦しい状況をこう振り返っている。

「この仕事は不合格になるのが辛いですね。“もう少しで”という機会や別人のカメラテストにたくさん参加しては、また“もう少しで私のものだったのに”って。それが続くんですよ。夫には“いつまでやれるか分からない”と話していました。

そして『ワンダーウーマン』へ

ところがひょんなことから、ガドットの『ワンダーウーマン』への道は開かれることになる。家族とロサンゼルスを訪れていた彼女のもとに、ザック・スナイダーから一本の電話が入ったのだ。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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