『ゴーストバスターズ』全く設定が違うマボロシの原案とは? ─ 舞台は未来の外宇宙、アイデア聞いた監督が助言

大人気SFコメディ映画『ゴーストバスターズ』シリーズは、1980年代のニューヨークを舞台に、中年男性4人がゴースト退治に挑んでいく物語だが、元々は全く別のアイデアが存在していた。現在に至るまでのストーリーが誕生したのには、監督を務めたアイヴァン・ライトマンの“助言”が大きな役割を果たしていた。
『ゴーストバスターズ』シリーズの真の生みの親とされているのは、レイモンド・スタンツ役としてメインキャストを務めるダン・エイクロイド。1980年初頭、すでに『ブルース・ブラザース』(1980)などでコメディ俳優として絶大な人気を得ていたエイクロイドは、自身の出自に関連した新作のアイデアを練っていた。祖父が有名な降霊術者であったことに加え、父親も『A History of Ghosts』という書籍を出版していたこともあり、超常現象を強く信じていたエイクロイドは、「ゴーストを捕まえること」をストーリーの着想としてひらめいたのだそう。
そこでエイクロイドは、この時からすでに仕事を共にしていたアイヴァン・ライトマン監督に電話をかけた。ライトマン監督は、2014年に米Vanity Fairとの取材で当時のエイクロイドについてこう語っていた。
「ダニーは私たちの時代では天才的な書き手でした。彼は『コーンヘッズ』とか『ブルース・ブラザース』を作り上げましたし、そういうものは彼の最高の脳みそから生まれたんです。」
米The Hollywood Reporterによると、およそ70ページに渡る草稿を用意して、ライトマン監督に相談したというエイクロイドだが、この時点でストーリーは全く異なるものだった。今に知られる『ゴーストバスターズ』といえば、現代(当時で言う80年代)のニューヨークが舞台だが、エイクロイドの頭に思い浮かんだ世界は、“未来の外宇宙”。ライトマン監督は振り返る。「あれは完成させることが不可能な脚本でした。でもそこには、優れたアイデアもありました」。
“未来の外宇宙”には「様々な惑星がたくさんあった」というが、ライトマン監督はエイクロイドに対して自分の意見を正直を伝えるべく、エイクロイドをサンフランシスコのデリに招き、朝食に誘ったのだとか。そこでの会話を、ライトマン監督は次のように語っている。
「“ほら、まるで消防士のようにゴーストを捕まえることが仕事の人たちがいっぱいいるというアイデアは好きなんだけど、舞台は現代にしなきゃ。僕たちが知っている大きな街、例えばニューヨークとかさ。皆が理解できる文脈で幽霊を見たほうが面白いよ。未来の何も無い宇宙よりもリビングとか道路とか”。私はこう伝えました。」
ライトマン監督いわく、この助言にエイクロイドは「そりゃイイね(That’s cool.)」と応じたという。こうして物語の原型が固まっていき、共同脚本・出演としてハロルド・レイミス、物語の主役であるピーター・ベンクマン役としてビル・マーレイにそれぞれ声をかけ、『ゴーストバスターズ』の製作がスタートしていったのだ。ちなみにライトマン監督は、エイクロイドとの朝食の場で、自身のアイデアをすでにこう伝えていたそうだ。
「大学院生のプログラムか何かをやっている大学で、超常現象を調査している男たちがいるんだ。でも彼らはトラブルに見舞われて、追い出されてしまう。それから偶然にも起業するんだよ。」
▼『ゴーストバスターズ』 の記事
Source:THR,Vanity Fair