【レビュー】『シン・ゴジラ』は疲労感たっぷりの極上エンターテイメントだ!

公開から1週間経った先日、ようやく庵野監督の『シン・ゴジラ』を観る事ができた。その作品の魅力は、まさに「極上の疲労感」の一言。そんな濃厚なエンターテインメント作品の魅力を紹介したい。

上映の瞬間から高まり続ける緊迫感

上映直後の謎の映像から、ゴジラが登場する序盤から、中盤、終盤、そしてラストまでに至る、世界を揺るがす緊迫感がなんとも言えない。 やや傍観気味だった一般国民、そして政府関係者が、その切迫した状況を目の当たりにする。 混乱と狂乱の中でそれでもなおゴジラという脅威に立ち向かう様が、作品を通して収まることを知らずに高ぶり続ける様子に、完全に目が奪われてしまった。

そしてこの作品は、同時に耳も完全に支配してしまう。 それを実現しているのが、こちらまで手に汗握るような緊迫した空気を作り出していた、豪華な俳優陣による怒涛のセリフ回しだ。 彼らは普段耳にしない政治的発言や生化学の専門用語など、聞き慣れない(というかぶっちゃけ全然意味がわからない)言葉を連呼し続ける。 時に被せ気味になるあのセリフを一度で聞き取れる人はほぼいないだろう。 だがそれがいい。 やや被せ気味な彼らの必死さ溢れる会話を聞いているだけで、観客も事態の深刻さにどんどん飲み込まれていくのだ。

ゴジラの「絶望感」と「不気味さ」がたまらない

人間側のそんな白熱する議論と抵抗をよそに、我が物顔で東京を襲うゴジラ。 数々の兵器にも目もくれず、なぎ倒し、踏み潰し、蹂躙していく。 あの人間には手の追えない「絶望感」も、まさにゴジラの醍醐味と言えるだろう。 そして庵野監督版のゴジラは、どこかその圧倒的な体格に「気持ち悪さ」を持っている。 なぜだろうと考えていたが、ギョロリとした丸い目と小さな黒目の「不気味さ」に、それが集約されていた。 必死に打開策を模索している官僚や自衛隊の必死さをあざ笑うかのように、何を考えているかわからないゴジラが日本を闊歩する。 その対比も、この作品に見入ってしまう魅力に一役買っている気がする。

鑑賞後に訪れる極上の疲労感

この映画を一言で語れと言われたら、迷わずこう答えてしまうだろう。 「すっごい、疲れた」

上にあげた俳優陣のセリフ回しとゴジラとの迫力の戦闘シーンで、かなり目と耳は酷使されることになる。 そしてそれ以上に、この作品には映像の中で語られない様々な謎が多く残される。その謎について思いを巡らせるだけでも、正直お腹いっぱいな作品だ。

そして何より憎いのが、ラストのワンシーンに用意されている庵野監督の演出だ。 庵野監督と言えば「新世紀エヴァンゲリオン」だが、新劇場版は常にエンドロール後、観客を一気に興奮へと誘うワンシーンを用意してきた。 このワンシーン一発がつい先ほどまで観ていた作品のクライマックスを軽々と凌駕してしまうほどのインパクト。 今回も、そんな想像力を掻き立てられる素晴らしいラストが用意されているので、ぜひ楽しみにしていてほしい。 上映中、観客を一時たりとも休ませてくれないその演出に、きっとエンドロール後には極上の疲労感を味わえることだろう。 くれぐれも、デートで観に行くのはおすすめしない作品だ(笑)

【徹底特集】どこよりも早い『シン・ゴジラ』論 ─ 空前の極上エンタメはいかにして歴史を更新したか

ゴジラもエヴァも庵野監督も知らない人のための映画『シン・ゴジラ』レビュー

About the author

好きなジャンルはSF、特にファンタジー映画。そのきっかけとなった『ロード・オブ・ザ・リング』は筋金入りのオタクで、大学時代は卒論にするほど。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ポップカルチャーは世界を変える

TwitterでTHE RIVERをフォローしよう!


こちらの記事もオススメ

JOIN THE DISCUSSION

※承認されたコメントのみ掲載されます。