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『ゲーム・オブ・スローンズ』ロラス&ホーダー&ポドリック役俳優を直撃!ネタバレ御免、大解剖インタビュー

ゲーム・オブ・スローンズ
©THE RIVER

2017年12月16日、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ 第七章: 氷と炎の歌』のDVD&ブルーレイが発売された。2011年に始まった『ゲーム・オブ・スローンズ』も、いよいよ最終シーズンの第八章を残すのみとなり、物語はクライマックスを迎えている。

第七章のDVD&ブルーレイ発売に先がけて、2017年8月、出演者のフィン・ジョーンズ(ロラス・タイレル役)クリスティアン・ネアーン(ホーダー役)ダニエル・ポートマン(ポドリック・ペイン役)が来日。シリーズを追いかけてきたファンの方々ならわかっていただけるように、それぞれが演じるキャラクターはストーリーに深みと彩りを与える“美味しい”役どころだ。

このたびTHE RIVERでは、3名への合同インタビューを実施。せっかくなので『第六章: 冬の狂風』までのネタバレを多分に詰め込みながら、たっぷりと『ゲーム・オブ・スローンズ』とその登場人物について語ってもらった。

注意

この記事には、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ 第六章: 冬の狂風』までのネタバレが含まれています。

ゲーム・オブ・スローンズ
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仲良し!ハードな撮影で結ばれた絆

フィン&クリスティアン&ダニエルの3人は、とにかくインタビュー中も3人ではしゃぐのが止まらないほどの仲良し。1人が質問に答えている時でも、あとの2人が自撮りに興じていたり、何やらニコニコ喋っていたり、時には質問への回答にコメントを挟んでみたり……。
ドラマ本編では真正面から共演している印象の薄い3人だが、撮影現場で顔を合わせることもあれば、コンベンション・イベントなどで一緒になることも多いようで、かれこれ5~6年の親交になるそうだ。こうしてイベントや取材でお互いに会えることに「うれしい」と声を揃える。

そんな3人は、『ゲーム・オブ・スローンズ』の撮影が非常にハードであることにも同意する。なにせ早朝5時から夜7~8時まで撮影がつづくのは日常茶飯事、仕事のあとは食事をして帰るだけ、という毎日が続くというのである。
もちろん本編のクオリティを見ればその入魂ぶりには納得できるものの、そうしたハードさゆえか、出演者たちはそれぞれ強い絆で結ばれていったという。ロラス役のフィンが、共演者を「ブラザーフッド(兄弟みたいな関係)」だと語っているように……。

ゲーム・オブ・スローンズ
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3人のうち、撮影の厳しさを身をもって感じたと語るのはホーダー役のクリスティアンだ。先日初来日した、ブランドン(ブラン)・スターク役のアイザック・ヘンプステッド=ライトが撮影のつらさを語っていたと聞かされた彼は「えっ」と一言。

クリスティアン: その……彼(アイザック)の方がずっと楽だったんじゃないかなって思いますよ(笑)。だって、毎年身体が大きくなっていく彼を引っ張って回る(編注:ブランは歩けない設定)のは僕なんですからね! 北アイルランドで撮影したんですが、すごく湿度が高くて……(ダニエルに)そうだよね?(編注:ダニエルはスコットランド在住)
ダニエル: 一緒にしないでください(笑)。
クリスティアン: その、僕はそういう気候には慣れてるんですけど、朝の3時に、膝まで泥に浸かったような厳しい環境で撮影することも結構あったんです。それでも楽しかったのは仲間がいたからですよ。(アイザックのことを)兄弟のように思ってますし、そういう友情がなければ、きっと撮影は頑張れなかったと思います

かたやポドリック役のダニエルは1992年生まれ、弱冠25歳(2017年12月時点)の新鋭俳優だ。目立ったキャリアのないまま『ゲーム・オブ・スローンズ』への出演に臨んだ彼は、その現場での自身の成長をこう振り返っている。

ダニエル: 僕は19歳から『ゲーム・オブ・スローンズ』に関わっているんですけど、少ないセリフで演技をすることに慣れていなくて。そこで大きなことを学びましたね。素晴らしい俳優たちと共演できて、いつも学びのある現場ですし。この作品には素晴らしい俳優とスタッフの皆さんがいて、みんないい人ばかりなんですよ。そんな彼らに囲まれて、お互いに学び合ってきたことが一番の成長です。プロとして、一緒に仕事をする全員から学ぶのは当然だと思いますしね。

ロラス&ホーダーの最期 ― 生き延びたポドリック

ところがフィン&クリスティアン&ダニエルのうち、『第七章: 氷と炎の歌』に登場するのはダニエルだけ。フィンが演じるロラス、クリスティアン扮するホーダーは『第六章: 冬の狂風』で残念ながら命を落としてしまったのだ。
それぞれ印象深い生き様を演じきった2人は、それぞれのキャラクターの最期をどう考えているのだろうか。たとえばホーダーの場合、ファンが涙なしで見られない結末を迎え、そして最後に驚くべき真実を提示したわけである。

クリスティアン: 正直言って、ホーダー役を引き受けた時には、彼の死がこんなに重要になるなんて想像してなかったんです。セリフは(「ホーダー」という)一言しかありませんし。それでも最後のシーンは、肉体的にも、気持ちの上でも本当につらかったし、大変でしたね。でも、最後にはとっても良いものに仕上げてもらえて。今でもファンの方からの反応が毎日届くんですよ。素晴らしいシーンで、僕はこのストーリーで良かったと思いますね。

ゲーム・オブ・スローンズ
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ちなみにクリスティアンは、ホーダーが自分の名前である「ホーダー」という言葉だけを延々と繰り返している理由をまったく知らなかったという。なんでも、「何回聞いても教えてもらえなかった」というのだ。

一方、“花の騎士”として美しい初登場を果たしながら、やがてバイセクシャルであることや、あるいは自分のあずかり知らないことを理由に、その運命を決定づけられていくのがロラス・タイレルだ。強さや思惑を秘めながら転落していく彼の哀しい最期を、演じるフィンはどう理解していたのか。

フィン: 最後のシーズン(第六章)では、ロラスはもう心を壊されてしまったようなものだと思うんです。ラムジー(・ボルトン)と出会った後の、シオン・グレイジョイに近いですよね。シオンと同じように拷問を受けたりして、きっと精神的、肉体的に追い詰められていたと思うんです。心をボロボロにされて、人格すら奪われてしまったんじゃないかと。
だから法廷に立つシーンでは、もう抜け殻のようになってしまって、言われるがままに動いているような状態だったろうと思います。本当に悲劇的なキャラクターだと思いますよ。希望や野心、スキルに才能、それからグッド・ルックスも(笑)持っていたのに、あんな風に引きずりおろされてしまうんですから。

しかしこう語りながらも、フィンは「タイレル家のメンバーがああやって、ドラマチックなシーンでいなくなったのは良かったと思いますよ。演出も素晴らしかったですしね」と話している。

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そんな中、3人のうち唯一生き残っているのがダニエル演じるポドリック・ペインだ。いうなればロラスとは真逆とすらいっていいだろう、スキルや知識、才能がずば抜けているわけでない彼は、どうしてここまで生き延びることができたのだろうか?

ダニエル: うーん……。
フィン: 運だよね(Luck.)。
ダニエル: そうだよ(Yeah.)。

それからもう少しだけ考えて、ダニエルは自身の考えるポドリック像をこう説明してくれた。

ダニエル: たぶん、簡単に諦めたりしないのがポドリックなんだと思うんです。物事を最後までやり抜くところがあるから、それが(生き残っている)理由かもしれませんね。それに、本当にラッキーなんですよ。そういう運のもとに生まれてるんだと思います。
ポドリックと出会った人は、最初、こいつは頭が弱いんじゃないかと思いがちですよね。でもそのおかげで、相手に見くびられるからこそ生き延びることができる。だからポドリックは、もしかすると、そんな風に見られることを良しとしているのかもしれないし……本当に頭が良くないのかも。

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ちなみに、3人にとって『ゲーム・オブ・スローンズ』でどうしても死んでほしくないキャラクターは誰なのだろうか? この問いかけに対して、フィンはポドリック、ダニエルはシオン・グレイジョイ、そしてクリスティアンはブランの名前を挙げている。

『ゲーム・オブ・スローンズ』が世界で愛される理由

では3人にとって、『ゲーム・オブ・スローンズ』というシリーズの魅力や、この作品が世界中のファンから愛されている理由とはどのようなことなのだろう。

クリスティアン: 素晴らしい世界観が作り上げられていて、リアルに、まるで本当に存在しているかのようですよね。だから、ファンタジーのファンでない人にも応援してもらえるシリーズになったんだと思います。ドラゴンやユニコーンが出てくるとかじゃない、政治的な部分も面白いですしね。でも、それも僕たちが現実に経験している政治とはちょっと違っていて。そこが、これだけの人気を得た理由のひとつだと思いますよ。

ダニエル: 本当の意味で感情移入できるドラマだからだと思います。(劇中で)起こったことがトラウマになっちゃうファンの方もいるくらいですから。

フィン: 出演者はもちろん、衣裳や小道具などにまで才能あふれる方々が集まっていて、みんながすさまじい情熱でドラマを作っているのが伝わるからでしょうね。撮影初日、はじめに撮った馬上試合のシーンから、セットに足を踏み入れただけで、こんなに作り込んでるのかって思いましたよ。しかも、シーズンを追うごとにどんどんレベルアップしますしね。

その撮影のハードさを回想しながら、本作について3人は賞賛を惜しまない。フィンは「(参加している)みんなが特別なプロジェクトだと認識している」「僕らにとっても素晴らしい作品」だといい、ダニエルは「僕らのキャリアに何が起ころうとも、最後まで絶対に自分たちのものでありつづける」作品だと述べているのだ。またクリスティアンは、作品の完成度はもちろんのこと、「僕らにとって、サクセスのひとつは(共演者との)出会いなんですよ」とも語っている。

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ところでロラス役のフィンは、同じく世界で愛されるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)への本格参戦を果たしている。そこでTHE RIVERとしては、『ゲーム・オブ・スローンズ』とMCUの共通点と相違点を聞かずにはいられなかった……。

フィン: ある大きな世界観があるなかで、いろんな人が別々の場所から集まってきたり、ストーリーが重なったりするところは近いと思います。ただ、マーベルの方がファミリーに対して優しいというか、軽妙さがありますよね。『ゲーム・オブ・スローンズ』はどちらかというとダークな世界観ですから。あとは大きなファン・ベースがある、たくさんのファンがいるところでしょうか。

ちなみにフィンが質問に答えているあいだ、「ファン(fan)」という言葉を聞いたダニエルは、手にしていたうちわ(fan)でおもむろにフィンを扇ぎはじめた。クリスティアンもニヤニヤしながらそれを見守っており……とにかく3人から醸し出される和やかな雰囲気が印象的なインタビューだった。

なお本文中に掲載できなかった写真の数々は、記事末尾に「フォトギャラリー」としてご紹介している。フィン&クリスティアン&ダニエルの仲良しぶりが少しでも伝われば幸いである。


『ゲーム・オブ・スローンズ 第七章: 氷と炎の歌』

・【初回限定生産】 DVD コンプリート・ボックス (6枚組)
 ¥10,400+税 品番:1000700100
・【初回限定生産】 ブルーレイ コンプリート・ボックス (6枚組)
 ¥12,300+税 品番:1000700099
・レンタルブルーレイ&DVD Vol.1~5

発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

※R-15:本作には、一部に15歳未満の鑑賞には不適切な表現が含まれています。

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(取材・構成:稲垣 貴俊)
(写真:Naoto Nakatani)

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。