【検証】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は21世紀の『スター・ウォーズ』となり得るか?トリロジー第二作『リミックス』と『帝国の逆襲』の共通点をこじつける

最初にお断りしておきますが、この記事はいわゆるネタ記事でございます。題材にする映画の製作陣、とりわけ後発の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督らのオリジナリティを疑うような意図はまったくありません。全く違うように見える二作品の共通点と呼べそうなところを取り上げて、映画再鑑賞の新たな視点を提案したい、「だから両方とも好きなのかなあ~」なんてニヤニヤしたい、それだけでございます。
大仰なタイトルを冠しているので、両作品のファンには心中穏やかならざる方もいらっしゃるかと存じますが、どうか以上の点を踏まえて、「こんな見方もあるんだな」と銀河系のような広い心で続きをお読みください。

【注意】

この記事には、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のネタバレが含まれています。

スター・ウォーズ帝国の逆襲とガーディアンズ・オブ・ギャラクシーリミックス

『リミックス』『帝国の逆襲』その共通点をこじつける

2014年、誰も予想しえなかったセンセーショナルな驚きをもって迎えられた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。この映画を評して、「21世紀のスター・ウォーズ」という表現が用いられることがよくあります。両作品のファンの間では有名なエピソードですが、三部作の一作目『スターウォーズ:新たなる希望』(1977)と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の上映時間が全く同じ121分であることや、どちらも銀河系を舞台に宇宙船やクリーチャーが登場するSFエンターテインメント作品であること、そしてシリーズが三部作であることから使われる比喩だと思われますが、果たして二つのシリーズに似たところは本当にあるのでしょうか。

今回は、トリロジー全体の成功の鍵を握るといっていいトリロジー第二作『スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)と、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)の内容を比較して、その共通点を強引に発見し「似せようとしないでも似ちゃうんだから、やっぱガーディアンズは21世紀のスターウォーズだよね!」とむりやり言いたいが為の特集です。

①冒頭の大型クリーチャーバトル

『スター・ウォーズ』のファンが多い読者の皆様にはあえて説明するまでもありませんが、『帝国の逆襲』の物語は、雪に覆われた惑星ホスから唐突に始まります。一方『リミックス』のアバンタイトル明けは、金色に装飾された惑星ソヴリンから。どちらも一作目には登場しなかったヴィジュアルの星で本編の幕が上がります。

そして観客を作品世界にグイッと引き込む役割を担うのが、どちらも「大型のクリーチャー」ワンパとアビリスクです。いきなり冒頭から主人公らをピンチに陥らせるパワフルなクリーチャーとの邂逅、そして始まる戦闘を通して第一作のファンに主人公たちの現在を紹介する挨拶がわりのシークエンスとなっています。

『帝国の逆襲』においてジョージ・ルーカス監督がワンパを登場させたのは、撮影の直前にルーク役のマーク・ハミルが交通事故で顔に大怪我をしてしまい、風貌が変化してしまったのを劇中クリーチャーに襲われたことにするためだともいわれています。しかし、結果的にこのクリーチャーは当時子供を中心としたファンの間で人気を呼び、まさしく「怪我の功名」となったシーンです。『リミックス』のアビリスクとの戦闘場面もまあ、このことだけをとって似てるというつもりはありませんが、子供の人気は高そうですよね。

②てんやわんやの撤退・逃亡戦

ワンパをなんとか撃退したルーク・スカイウォーカーでしたが、彼らが拠点としていた惑星ホスの反乱軍エコー基地は帝国軍の奇襲を受け、大規模な戦闘に発展します。一方、ガーディアンズはロケットの余計な行動のせいでソヴリン軍艦隊の猛追撃を受けてしまいます。ルークが機転を活かしてAT-ATを撃墜したり、ドラックスが「死ね!宇宙船!」とまさかの決死攻撃をくらわせたり、お互いに敵に一泡吹かせる場面はあるものの、どちらも戦局は悪く、反乱軍はエコー基地を失う大打撃、ガーディアンズはミラノ号大破という憂き目に。

冒頭の人物紹介に続いて、作品の大きな魅力であるヴィークルのデザインを存分に見せつけると共に、意気揚々のエンディングを迎えた一作目から一転、主人公たちの立ち位置をプロット上のスタート地点に立ち戻らせる。起承転結でいう“起”の場面には「大掛かりな敵の攻撃を受ける」という共通点があると言えそうです。

③チーム離散

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前段の戦闘を経て、主人公たちの陣営は通常運転が出来なくなります。その後、ルークは霊体となったオビ・ワンの助言に従い惑星ダゴバへ、ピーターはベアハートで出会った自らの父親を名乗るエゴと共に彼の星へ。両作品ともに、一作目において全員揃えば怖いものなしだったチームが「二手に別れる」ことになります。

④主人公は自らの力の根源を探る

フォースと天人(セレスティアル)の光。扱いの大小はあれ、どちらもトリロジー一作目の鍵となった常ならざる力、どちらも普通の人間には身につけることが難しい血縁に由来する力です。ルークは惑星ダゴバでヨーダと出会い、フォースの修行を開始。一方ピーターは、母の死という葛藤はありましたが、割とすんなり天人の光に開眼。双方ともに未熟ではありますが、一応力を使えるようになるという伏線が張られます。

⑤一方、相棒は魅力を全開に

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『スター・ウォーズ』を『スター・ウォーズ』たらしめる大切な要素の一つ、主人公側において主人公を凌ぐ人気を誇るバイプレイヤー、ハン・ソロ。惑星ダゴバに赴いてしまったルーク(とR2-D2)を尻目に、ハン・ソロチームは帝国軍の追撃を受けますが、ハンは一作目より自称する「銀河に名だたるパイロット」である所以をここで存分に証明してみせます。この後のスペース・スラッグの巣のシーンと併せて、ハンの魅力が存分に発揮される場面です。

では、ガーディアンズにおいてハン・ソロ的存在は誰かと言えば、それは当然ロケット・ラクーンです(異論は認めます)。ピーター達と別れた後、ラヴェジャーズの包囲をたった一人で迎えうち、あの手この手で敵を翻弄、ヨンドゥという反則気味の戦力さえいなければお留守番は高い確率で成功していたのではないかと思わせる活躍ぶり。捕らえられてからの豪胆さといい、見かけによらない百戦錬磨の傭兵感。そして垣間見せる寂しがり屋の側面。『帝国の逆襲』がハンの物語でもあるように、『リミックス』はロケットの物語でもありました。

⑥小惑星帯・賞金稼ぎ・罠

そのほかに、時系列はてんでバラバラになりますが『リミックス』における『帝国の逆襲』を想起させる要素として、ガーディアンズがソヴリン軍の攻撃を受けたときに逃げ込む先が、ハン・ソロが帝国軍に追われているときに逃げ込むのと同じ小惑星帯だったり、ソヴリン軍の首領アイーシャがガーディアンズに賞金を懸けてヨンドゥ率いるラヴェジャーズを雇いますが、『帝国の逆襲』ではダース・ベイダーがミレニアム・ファルコン捕獲のためにボバ・フェットらバウンティ・ハンターズを雇っていたり、安全な場所だと思っていたエゴの星、べスピンのそれぞれが罠の張り巡らされた死地だったりといった要素も挙げられます。

⑦実の父親からの誘惑、そして拒絶

話を本編に戻すと、『リミックス』と『帝国の逆襲』、二つの物語に似ているところがあるとすれば、その一番大きなポイントは主人公の実の父親をめぐるストーリーだというところ。そしてダース・ベイダーとエゴ、二人の父親がどちらも悪の側に堕ち、その血縁がもたらすパワーゆえに息子を自らの下へ引き入れようとするところです。この点ばかりはこれまで挙げてきたような共通点に懐疑的な読者の方も、否定しきれないと思います。

ご存知の通り、ルークとピーター、二人の主人公は双方ともに実の父親の誘いを拒絶します。片やピーターは母を殺された怒り、ルークは正義の心と信じていたものが崩れ去った衝撃がその主な理由ですが、この二作品はここから結論にいたるまでが大きく異なっています。優しかった母親、そして父親がわりに面倒をみてくれたヨンドゥ、現在の家族同然の仲間たちへの思いから、「あいつを生かしておくと皆が危ない」と実の父親への想いをきっぱり切り捨てるピーター。これは同じようにオーウェン伯父さんやベル伯母さん、ベン・ケノービらがいて、レイアやハン・ソロといった共に戦った仲間もいる、そんなルークが最後まで仲間の脅威となり続ける実の父親への想いを残すのとは対照的です。

「私を倒せば、おまえは普通の人間に戻ってしまうぞ」というエゴの言葉に「それの何が問題なんだ?」と叩きつけるピーターの行動の方が小気味よく感じるのは、『スター・ウォーズ』が制作された時代から40年近くの時を経て、色んな家族や家庭のあり方が一般的になったせいもあるのかもしれません。また、どうしたって後から制作する方は過去作を参考にすることができるので、ブラッシュアップしてより良い着地点を見出すことができますからね(なんとなくルークの行動に批判的になってしまいましたが、『ローグ・ワン』の最後のベイダー無双シーンを見直しながら「ここで殺されてる人たちは、『ジェダイの帰還』でルークがライトセイバーを捨てるところをみたら何と言うだろうか……」などと考えてしまったせいもあります)。

ともかく、偶然似たと考えるよりは大好きな過去作品へのオマージュと考えた方が自然な類似点を経て、より現代的な着地をみせた『リミックス』は、トリロジー通してのテーマになるかと思われた主人公の父親と血縁にまつわる話をあっさり清算。懸案を思いっきり次作『ジェダイの帰還』へ引っ張った『帝国の逆襲』とは全く違う道を歩むことになります。結局何が言いたいのか収拾つかなくなって参りましたが、まったく似ていないようで実はちょっと似ている両作品、二つとも見ているとより楽しく、そして『ガーディアンズ~』の三作目もうまくいって『スター・ウォーズ』と同じくらい伝説のトリロジーになればいいなと、そんな小学生的なまとめで今回は失礼したいと思います。

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About the author

1977年生まれ。週刊少年ジャンプ脳のクリーチャー愛好家。玩具コレクター。エンドレスダイエッター。「意識低い系」の文章を信条としています。

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