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20世紀フォックス『猿の惑星:聖戦記』でアカデミー賞狙う!プロデューサーは「アカデミー向きの映画」と自信

20世紀フォックスが『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』で賞レースに勝負を仕掛ける。米Deadlineは、同社が2018年3月のアカデミー賞に向けて本作を猛烈アピールする方針であることを報じた。

これまで『猿の惑星』シリーズは、1968年製作の第1作でジョン・チェンバース(メイクアップ担当)がアカデミー名誉賞を受賞した以外、視覚効果賞やメイクアップ賞へのノミネートを除いてはオスカーからほとんど“黙殺”されてきた。約50年にわたる歴史を持つシリーズにもかかわらず、その存在や影響はアカデミーからの評価を得てこなかったのである。

しかし2017年、20世紀フォックスは『猿の惑星』リブート版3部作の最終章となる『猿の惑星:聖戦記』で、いよいよその歴史を変えようと動き出すようだ。Deadlineによると、同社は本作で美術、撮影、衣裳といったスタッフ部門での受賞を目指すほか、作品賞へのノミネート、マット・リーヴス監督の受賞なども視野に入れているという。

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
c 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

20世紀フォックスの本気、プロデューサーの自信

20世紀フォックスは『猿の惑星:聖戦記』のオスカー受賞に向けて、会員へのアピール・キャンペーンを実施するとともに、すでに対策のため専門家を雇い入れているという。完全に“獲りに行く”姿勢だが、この裏側には製作チームの作品に対する自信があるようだ。

本作を含めたリブート版『猿の惑星』3部作でプロデューサーを務めたピーター・チャーニン氏は、『猿の惑星:聖戦記』が2017年に公開された他の作品に劣らない「映画の基本」を備えていると豪語する。そればかりか、その魅力をかくも言葉を尽くして語るのだ。

「私はこの映画にとても自信があるんです。ストーリーテリング、人物造形、物語のテーマ、スケール、それらすべての水準の高さを信じていますよ。[中略]尋常じゃない成果ですし、マット(・リーヴス)はとても優れた演出をしてくれました。アンディ・サーキスは過去もっとも素晴らしい演技を見せていますしね。」

またチャーニン氏は、製作チームの各部門が映画の細部にわたって「できる限りの高みを目指してくれた」といい、その仕事がきちんと評価されることに期待を寄せている。

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
c 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

しかしその一方で、氏が強調するのは『猿の惑星:聖戦記』という作品がはらんでいるテーマの奥深さだ。「とてもアカデミー向きの映画だと思います」と話すように、そこには『猿の惑星』シリーズゆえの普遍的メッセージと、現代の観客に対するアプローチがともに備わっているようである。

「(『猿の惑星:聖戦記』は)2017年に公開された映画で最も道徳的な一本だと思います。道徳とは何か? リーダーシップの倫理とは何か? 生き物の魂とは何なのか? 慈悲と復讐心はいかにして均衡を保つのか? これこそ主人公のシーザーが苦しめられるもので、彼は復讐心と自らの義務、そして人々に対する責任の間で引き裂かれてしまうんですよ。私自身とても大切なテーマだと思いますし、歴史的にも、アカデミー賞の投票者たちはこうしたテーマに反応を示しているんです。」

チャーニン氏の主張を横においても、本作『猿の惑星:聖戦記』は2017年7月にアメリカで公開されるやとんでもなく高い評価を受けている。映画批評サイトRotten Tomatoesでは、なんと『スパイダーマン:ホームカミング』『ワンダーウーマン』よりも高い93%フレッシュを獲得している(8月31日現在)のだ。ワーナー・ブラザースは『ワンダーウーマン』をオスカーに向けてプッシュする方針だと報じられているが、もしかして次のアカデミー賞では『猿の惑星:聖戦記』が思わぬ存在感を示す可能性もあるかもしれない。

いずれにせよ昨今のハリウッドで起きているのは、いわゆる「ジャンル映画」と呼ばれて賞レースから従来弾かれてきた作品群が恐ろしいまでの社会性とテーマ性をはらみ、もはや無視できないほどの存在感を見せていることだ。むろん、正確には随分古くからそうであったはずなのだが……。2018年の春、「ようやく時代が追いついた」といえる未来が待っていることを心から祈りたい。

映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』は2017年10月13日より全国ロードショー

Source:?http://deadline.com/2017/08/oscars-fox-best-picture-war-for-the-planet-of-the-apes-1202158378/
c 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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