『ハミルトン』US版予告編&場面写真18枚、一挙公開 ─ 舞台の映画化、字幕版の遅延など製作者が語る

撮影は3日間にわたって行いました。ライブ・パフォーマンスは日曜の昼と火曜の夜に2回、通しで撮影しました。ショーを止めたりはしていません。それから日曜の夜と、月曜日の丸1日、それから火曜日の朝に、ショーの中に入り込むという別の撮影をしました。僕の目標は、ショーに入り込み、カンパニーの全員が本質的に、美しく作り上げたショーを讃えることでした。これは、舞台上でみんながストーリーを語るショーです。映画のクローズアップは観客に親密さを与えてくれる。でもそれは、全体を観ることを妨げることにもなりうる。だから製作中は、自分たちが劇場にいることを忘れないようにするにはどうすればいいのかを深く話し合いました。もちろん劇場が閉まっている今、劇場にいることには別の重要性があります。今の僕らはこのショーを劇場で上演できないし、観客も劇場に行くことができませんからね。
このカンパニーは、週に8回上演することがどういうことなのか、それさえも体現しています。3日間にわたって撮影しましたが、彼らはすでに何百ものパフォーマンスを経てきていたし、そこに行き着くために、何百、何千というパフォーマンスを、週に6日、週に8回のショーをやってきていました。その背景をも記録し、公開することが僕の責任だった。劇場に行くのはとても大変だというハードルを下げ、より多くの人々に本作を見てもらえるように。

──『ハミルトン』はアメリカでとても高く評価されていますが、今回の映像作品は多くの国々で配信されることになります。アレクサンダー・ハミルトンのストーリーは、アメリカ以外の観客にとっても重要なものであり続けると思いますか?
ミランダ:そう願います。『レ・ミゼラブル』はフランスの物語だけれども、フランス以外でも観客の共感を呼んでいる、それと同じようになればと。革命は普遍的なもの。与えられた人生で何をするのかというストーリーも、きっと普遍的でしょう。
今日は謝るのにちょうど良い機会ですね。当初は来年(2021年)の10月、映画館で公開する時に多言語版をつけようと思っていたんです。けれども公開時期が繰り上がったから、各国語の字幕は準備ができたものから足していくことになります。今後、引き続き作業を進めていくことになる。このショーの中の何千という言葉を翻訳しないといけない人々には申し訳なく思っています。
僕らが願っていることは……この話は何度もしてきているんですが、日本の『屋根の上のバイオリン弾き』のオープニング・ナイトに、観客がスタッフのところにやって来て、「すみません、あなたたちはこのショーに関わっているんですか?」と聞いたんです。彼らが「そうですよ」と答えると、その観客は「この舞台はアメリカのミュージカルだと聞きました。なぜそんなことが可能なんでしょうか? これはすごく日本的な作品ですよ」と言ったと。つまり願っているのは、僕たちが十分な技能を持って語れていれば、生まれた国を越えて人々の共感を得るだろうということなんです。

──リン、あなたは以前『ハミルトン』の映画版を、舞台を撮影した映像作品ではない形でも作りたいとおっしゃっていましたが、その予定は?
ミランダ:難しい話ですね。なぜなら僕は、今回の映像作品をとても誇りに思っているから。6、7年かけて書いた舞台を、こんなに素晴らしい映画的ビジョンで、世界中の多くの人々に見てもらえるなんて、すごく稀なこと。僕は、世界中の人々に今回の映像作品を見てもらえることを本当に誇りに思っているんです。



















映画版『ハミルトン』は2020年7月3日(金)16:00よりDisney+(ディズニープラス)にて配信予定。