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『ハミルトン』US版予告編&場面写真18枚、一挙公開 ─ 舞台の映画化、字幕版の遅延など製作者が語る

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

トニー賞&ピューリッツァー賞受賞、傑作ミュージカル『ハミルトン』が2020年7月3日(金)にDisney+(ディズニープラス)にて世界同時独占配信となる。このたび、US版オフィシャルトレーラーと場面写真18枚が一挙公開されたほか、製作・脚本・音楽・作詞・主演を務めるリン=マニュエル・ミランダとトーマス・ケイル監督のコメントが到着した。

ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』は、トニー賞11部門受賞をはじめ、グラミー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、ピューリッツァー賞など主要賞を多数獲得。Disney+で配信される“映画版”では、舞台をそのまま撮影して映像化することで、「演劇」「映画」「映像配信」それぞれの魅力を融合させた体験を味わうことができる。

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

配信開始に先がけて、2020年6月16日(米国時間)には、スタッフ&キャスト11名が参加したオンライン記者会見が開催された。舞台が映画として生まれ変わったこと、Disney+での世界同時配信などについて、本記事ではミランダ&ケイル監督からのコメントをご紹介する。

なお世界同時配信を実現するため、『ハミルトン』は配信開始時点では英語音声のみで提供され、日本語字幕版については決定しだい告知される。このたびミランダは、各国の字幕版が間に合っていないことについてもコメントした。

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

『ハミルトン』記者会見

2020年6月16日(US 現地時間)、オンラインにて開催
リン=マニュエル・ミランダ、トーマス・ケイル監督の部分のみ

──映画館で公開される予定だった『ハミルトン』が、Disney+での配信に切り替わりましたね。

ミランダ:この舞台が評価されてヒットした2015年のある時点で、スタッフ・キャスト全員が、ありえないようなすごい状況に置かれることになりました。週に8回ショーをやっている間に起きたことは、これまでまったく経験したことがないクレイジーな状況だったんです。

その、かなり早いうちに気づいたことが2つありました。1つは、ショーを若い人たちにも観に来てもらえなければ意味がないということ。そこで“Hamilton Education Program Experience”というものを作って、どんなにチケットがショップで高騰していても、学生たちが『ハミルトン』を観に来られるようにしました。そして、2つ目は劇場のキャパシティの問題です。リチャード・ロジャース劇場で1度に観てもらえるのは1,300人なので、観たくても観られない状態が続いていました。だから、この素晴らしい舞台を記録して残せるよう一生懸命努力しました。そして、僕を含むオリジナルキャストが去り始める前の週に撮影することが出来たんです。おかげで、舞台を観られない今、このショー、この瞬間のスナップショットという贈り物を手にすることができた。本当にありがたく思っています。

──リン、あなたは(『ハミルトン』と同時期に)『モアナと伝説の海』の曲を書いていたんですよね?

ミランダ:そうなんです。映画の中で僕はとても疲れて見えるけれど、そう見えるだけのことをやってたんですよ。

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

──監督へ。あなたは舞台のために書かれた作品を映画として作り直し、人々は本作を家で観ることになります。舞台を映画的な作品にするため、どんな工夫をされましたか?

ケイル監督:最初にやるべきことはとても簡単でした。それは、舞台上のみんなや、ショーを作った人々を信頼すること。なぜなら、もしも題材が良ければ、それを讃え、表現するのにふさわしい形を見つけられるからです。早い段階から、視聴者に同じ席を与えることは大切だと思っていました。劇場へ行くと、座席は前後左右、2階席やバルコニーまであって、観客が見る地点がかなり違う。それは、劇場の素晴らしさのひとつです。出会ったことがない人々と一緒に暗闇の中に座って、自分だけの経験ができる。映画にすることによっても、作品を観ている他の人々との関係を観客に与えられると思いました。

撮影は3日間にわたって行いました。ライブ・パフォーマンスは日曜の昼と火曜の夜に2回、通しで撮影しました。ショーを止めたりはしていません。それから日曜の夜と、月曜日の丸1日、それから火曜日の朝に、ショーの中に入り込むという別の撮影をしました。僕の目標は、ショーに入り込み、カンパニーの全員が本質的に、美しく作り上げたショーを讃えることでした。これは、舞台上でみんながストーリーを語るショーです。映画のクローズアップは観客に親密さを与えてくれる。でもそれは、全体を観ることを妨げることにもなりうる。だから製作中は、自分たちが劇場にいることを忘れないようにするにはどうすればいいのかを深く話し合いました。もちろん劇場が閉まっている今、劇場にいることには別の重要性があります。今の僕らはこのショーを劇場で上演できないし、観客も劇場に行くことができませんからね。

このカンパニーは、週に8回上演することがどういうことなのか、それさえも体現しています。3日間にわたって撮影しましたが、彼らはすでに何百ものパフォーマンスを経てきていたし、そこに行き着くために、何百、何千というパフォーマンスを、週に6日、週に8回のショーをやってきていました。その背景をも記録し、公開することが僕の責任だった。劇場に行くのはとても大変だというハードルを下げ、より多くの人々に本作を見てもらえるように。

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

──『ハミルトン』はアメリカでとても高く評価されていますが、今回の映像作品は多くの国々で配信されることになります。アレクサンダー・ハミルトンのストーリーは、アメリカ以外の観客にとっても重要なものであり続けると思いますか?

ミランダ:そう願います。『レ・ミゼラブル』はフランスの物語だけれども、フランス以外でも観客の共感を呼んでいる、それと同じようになればと。革命は普遍的なもの。与えられた人生で何をするのかというストーリーも、きっと普遍的でしょう。

今日は謝るのにちょうど良い機会ですね。当初は来年(2021年)の10月、映画館で公開する時に多言語版をつけようと思っていたんです。けれども公開時期が繰り上がったから、各国語の字幕は準備ができたものから足していくことになります。今後、引き続き作業を進めていくことになる。このショーの中の何千という言葉を翻訳しないといけない人々には申し訳なく思っています。

僕らが願っていることは……この話は何度もしてきているんですが、日本の『屋根の上のバイオリン弾き』のオープニング・ナイトに、観客がスタッフのところにやって来て、「すみません、あなたたちはこのショーに関わっているんですか?」と聞いたんです。彼らが「そうですよ」と答えると、その観客は「この舞台はアメリカのミュージカルだと聞きました。なぜそんなことが可能なんでしょうか? これはすごく日本的な作品ですよ」と言ったと。つまり願っているのは、僕たちが十分な技能を持って語れていれば、生まれた国を越えて人々の共感を得るだろうということなんです。

ハミルトン
©2020 Lin-Manuel Miranda and Nevis Productions, LLC.

──リン、あなたは以前『ハミルトン』の映画版を、舞台を撮影した映像作品ではない形でも作りたいとおっしゃっていましたが、その予定は?

ミランダ:難しい話ですね。なぜなら僕は、今回の映像作品をとても誇りに思っているから。6、7年かけて書いた舞台を、こんなに素晴らしい映画的ビジョンで、世界中の多くの人々に見てもらえるなんて、すごく稀なこと。僕は、世界中の人々に今回の映像作品を見てもらえることを本当に誇りに思っているんです。

映画版『ハミルトン』は2020年7月3日(金)16:00よりDisney+(ディズニープラス)にて配信予定

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THE RIVER編集部THE RIVER

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