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海ドラマニアが選ぶ「HBO」おすすめドラマ5作まとめ ─ ハイクオリティな海外ドラマが観たい時に

© 2023 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.

かつて「テレビ」は映画に劣るメディアとして認識されていた。そんな風潮を吹き飛ばし、今のテレビ黄金(ピークTV)時代の土台を築いたのは、米有料ケーブル局HBOだ。

HBOは1972年に開局後、スポーツ中継やコメディ番組、完全ノーカット版映画の放送で躍進。1990年代には映画のクオリティをドラマに持ち込むことで、競合他社とは大きな差別化を図った。1996年に発表したスローガン「ただのテレビじゃない。HBOだ(It’s Not Just TV. It’s HBO.)」には、その意気込みが込められている。

同年放送の初のテレビシリーズ「OZ/オズ」を皮切りに、同社は1998年に「セックス・アンド・ザ・シティ」、1999年に「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」、2001年に「シックス・フィート・アンダー」と、優れた連続ドラマを続々リリース。クオリティは共通して非常に高く、エミー賞をはじめとする数々の賞を席巻した。

以降HBOが生み出した傑作といえば、「バンド・オブ・ブラザーズ」(2001)、「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(2010-2014)、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)、「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ」(2014-)、「メディア王 〜華麗なる一族〜」(2018-)など、枚挙にいとまがない。隠れた名作もかなり多く、ほぼ全ての作品がクオリティ重視で製作されている。

そして2020年代は、「ゲーム・オブ・スローンズ」のスピンオフ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」、人気ゲームの実写ドラマ版「ラスト・オブ・アス」といったビッグタイトルを、ファンの期待を上回るクオリティで送り出した。日本の海外ドラマファンとして嬉しかったのは、両作品とも日米同時配信されたこと。HBOの新作をリアルタイムで観られ、旧作を好きなときに楽しめる時代がやってきたのである。

そこで本記事ではHBOの数ある名作の中から、厳選して5作品をご紹介。1作品ずつ、それぞれの魅力を語っていきたい。

「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」

ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア
© 2023 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc. U-NEXTにて見放題で独占配信中

HBOの顔であり、米メディアが選ぶ「過去最高のドラマ」には必ず1、2位に入る「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」。制作者デヴィッド・チェイスの「毎週小さな映画を作りたかった」という意図を見事に実現した、米テレビ界のゲームチェンジャーだ。

主人公トニー・ソプラノ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)はマフィアのボスであり、郊外に住む4人家族の父親でもある。異なるふたつの‟ファミリー”を両立しようとするが、家の中でも外でも悩みの種ばかり。多大なストレスによりパニック発作を起こし、精神分析医メルフィのセラピーに通い始める。

本作の秀逸な点は、リアル&過激なバイオレンスを描く一方で、マフィアのボスであるトニーのメンタルヘルスにも焦点を当てていること。妻カーメラ(イーディ・ファルコ)や叔父ジュニア(ドミニク・チアニーズ)、甥のクリス(マイケル・インペリオリ)をはじめ、一癖も二癖もあるキャラクターたちがトニーの頭を悩ませ、互いに複雑に絡み合うことで、ストーリーに重層的な深みを与えている。そして何より、これによって「恐ろしさ」や「繊細さ」を併せ持つ‟トニー・ソプラノ”という複雑なアンチヒーローが誕生した。故ガンドルフィーニ演じるトニーはカリスマ的なテレビキャラとなり、「ブレイキング・バッド」や「マッドメン」の主人公など、のちのアンチヒーローたちに影響を与えたと言われている。

2021年には前日譚映画『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』が製作され、若きトニー役はガンドルフィーニの息子マイケル・ガンドルフィーニが演じた。

「THE WIRE/ザ・ワイヤー」

THE WIRE/ザ・ワイヤー
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「ザ・ソプラノズ」と並ぶ不朽の名作として、「ザ・ワイヤー」も紹介したい。舞台となるボルティモアの元記者デヴィッド・サイモンが手がけ、同市の元刑事エド・バーンズが実体験を基に共同執筆しただけあって、リアリズム溢れる重厚なクライムドラマとなっている。

シーズン1では麻薬組織の捜査を目的に、ボルティモア市警に特別捜査班が組織される。殺人課のジミー・マクノルティ(ドミニク・ウェスト)など厄介者ばかり集めた特捜班は、捜査を成功させるため‟盗聴(ワイヤー)”作戦を実行する。

本作は、シーズンごとに異なる題材を扱っているのが特徴。ドラッグ取引に始まり、シーズン2では港湾、シーズン3では市政、シーズン4では教育、シーズン5ではメディアの問題に鋭いメスを入れている。そしてボルティモアの問題として描きつつも、実はアメリカ全体の実情を浮き彫りにしているという点がミソだ。その描写の説得力の高さから、名門ハーバードなど複数のアメリカの大学で「ザ・ワイヤー」の講義が行われている。

キャストは放送開始当初こそ無名だったが、『マイティ―・ソー』シリーズのイドリス・エルバ、『クリード』シリーズのマイケル・B・ジョーダン、『ジョン・ウィック』シリーズの故ランス・レディック、「ザ・クラウン」シーズン5&6のドミニク・ウェストなど、のちのスターが勢ぞろい。故マイケル・ウィリアムズが演じたオマール・リトルは根強い人気を誇り、「EUPHORIA/ユーフォリア」(2019-)など様々な作品で引用されている。

「メディア王~華麗なる一族~」

メディア王~華麗なる一族~
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2023年に終了する傑作シリーズとして紹介したいのが、「メディア王~華麗なる一族~(原題:サクセッション)」。視聴者と批評家の双方から絶賛され、近年賞レースを席巻している重要作だ。

巨大メディア複合企業の創業者であり、世界的な影響力をもつローガン・ロイ(ブライアン・コックス)。ある日脳卒中で倒れ、救急搬送されてまう。病院に駆けつけた4人の子どもたちの心配は、父ローガンではなくメディア帝国の行く末。次男ケンダル(ジェレミー・ストロング)、三男ローマン(キーラン・カルキン)、長女シヴ(セーラ・スヌーク)を中心に、富豪一族の後継者問題をめぐる熾烈な駆け引きが繰り広げられる。

本作の魅力のひとつは、ドラマとコメディの境界線が曖昧なところ。私利私欲にまみれた骨肉争いがシリアスに描かれるのかと思いきや、秀逸なブラックユーモアで綴られ、視聴者を笑わす滑稽なセリフが満載だ。今や‟ドラメディ”(ドラマ+コメディ)というジャンルはメジャーになりつつあるが、本作は主要キャストのジェレミー・ストロング&キーラン・カルキンの間でコメディか否かの議論が交わされるほど、ジャンル間で絶妙なバランスを保っている。これが、のめり込むほど面白いのだ。

本作を手掛けるのは、風刺コメディ映画『IN THE LOOP(原題)』(2009)でアカデミー脚色賞にノミネートされたジェシー・アームストロング。製作総指揮は『ドント・ルック・アップ』(2021)『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)のアダム・マッケイ、『俺たちニュースキャスター』シリーズのウィル・フェレル、『ザ・メニュー』(2022)のマーク・マイロッド監督&脚本家ウィル・トレイシーが務める。

最終となるシーズン4は、2023年3月26日よりU-NEXTで毎週1話ずつ配信中だ。

Writer

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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