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Facebookから女優誕生?映画『君はひとりじゃない』マウゴシュカ・シュモフスカ監督特別インタビュー!

第65回ベルリン国際映画祭で監督賞となる銀熊賞受賞、ポーランドのアカデミー賞と呼ばれるイーグル賞において作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞を獲得した『君はひとりじゃない』が7/22(土)より公開される。

ポーランドにおける最重要女性監督マウゴシュカ・シュモフスカをあなたはご存じだろうか?噛まずにその名を10回口にできるだろうか?

This photograph is the express copyright of the author Derek Hudson and as such may not be used in any way without wriiten permission from the author and/or his agents. Violation of copyright will be pursued without fail.
(c) DEREK HUDSON

知らないのも当然、噛むのも当然、彼女の作品が日本で公開されるのは今回が初めてのこと。日本においては無名に等しいが、ポーランド国内外の映画祭では数多くの受賞経験を持つ偉大な監督の一人である。

https://youtu.be/VUDVUXSLpZE

ある出来事をキッカケに関係がこじれてしまった父・ヤヌシュ(ヤヌシュ・ガヨス)と娘・オルガ(ユスティナ・スワラ)の不和、霊が視えるセラピスト・アンナ(マヤ・オスタシェフスカ)との出会いを通し、それぞれに抱える「死」「肉体」「他者との繋がり」に対する葛藤を描いた作品である。
一見難解でスピリチュアルな雰囲気を漂わす作品だが、より深く楽しむため、理解するための要素をインタビューで語って頂いた。

【注意】

この記事には、映画『君はひとりじゃない』のネタバレが含まれています。

Facebookでキャストを発掘? 

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──ヤヌシュ・ガヨスさん、マヤ・オスタシェフスカさんと著名な俳優が起用されている中、Facebookでユスティナ・スワラさんを発掘したとのことですが、元々オルガ役には無名の俳優を使おうと考えていたのでしょうか?

オルガ役は元々女優でない素人を起用するつもりでいました。
とにかく痩せている娘で、身のこなしだとか態度にああいう役の感じが出ている娘が良かったので彼女を選んだわけですが、ポーランドの場合プロの女優は皆舞台で仕込まれているため型がハマっているんですね。それを崩すのが中々難しいので、今回はあえて女優でない人を起用しました。

──Facebookで彼女を見つけるに至った経緯をお聞かせください。

FacebookやInstagram等のSNSを積極的にやっている26歳の若いアシスタントがいて、私はそういうのにすごく疎いので彼を頼ってオルガ役を探しました。拒食症を患っているであろう女の子達の写真を見せてもらい、その中から7人選出しました。
彼女は拒食症を患っていたわけではなかったのですが、見た目が面白いとキャスティングセッション時に思ったんです。ただ激ヤセではなかったので、実は体重を5キロ落としてくれとお願いしました。ピザばっかり食べる娘で、面白いことに撮影を終えてからみるみる大きくなっていき、でっぷり太っちゃっいました。(笑)今では2歳の子どもを持つ母親です。

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共通認識が生むチームワーク

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──妻の死の真相・アンナの夫の存在・息子の死を8年近く母親に秘密にしている点など、劇中において詳しく語られないエピソードがいくつかあると思います。そういった点は俳優達とどのようにすり合わせて撮影していったのでしょう?

バックストーリーについてはそこまで詰めてあったわけではありません。ただ、アンナが子どもを亡くしているという設定は、実は私の知人の話なんです。実際にあった話をベースにしていて、アンナを演じるマヤもこの知人と知り合いだそうで、そういう共通認識はありました。冒頭のシーンで彼女が赤ちゃんを亡くしたと暗示するシーンがありますが、これはアンナの話ではないので、あくまでも背景のディテール程度に収めました。
私はスタッフにしてもキャストにしても同じ人達をよく使うので、みんなとそこまで細かく話し合ったりとかはないんですね。方向性やセンスが似ているところがあるので、自然と会話していく中で作っていった感じです。

大切な人とさえ分かり合うのが困難な現実

──冒頭の首吊り死体が実は生きていたり、死体が断片的にしか映されなかったり、死者と手紙を通してやり取りができたり、エレベーターに死んだ子どもが現れたりと、何を以て「死」と断定していいのか観ていく内に分からなくなってくると思います。それは、何を信じるべきか・どう生きていくべきか・何が正しいのかが分かりにくい今の社会を示していたかのようにも思えます。
ラスト、手をつなぐ・ 同じことに向き合う・見つめ合う・笑い合う・涙する。本当はもっとシンプルなのだと、あれこれ難しく考えているだけで人と人は本来分かり合えるのだと言われているような気がしました。あのラストシーンを生み出すに至ったマウゴシュカ監督の想いをお聞かせください。

とても良い解釈だと思います。ありがとうございます。まさにそういうことを描きたかったんですよね。
今の現代社会において人と人が関係を保つ、人と人が通じ合うことが如何に難しいか。近くにいた人とさえコミュニケーションが取れない難しい時代だということを今作はまさに描いているわけです。
ラストシーンは最初何パターンかありました。コメディタッチやシリアスなパターンがあったりして、撮影中に色々変えていきました。あのシーンの撮影は1日しかなく、最終的に父と娘が見つめ合って笑顔になるというのは撮影中に決めたことです。最初はダイアログがあったのですが、セリフを言わせてみると中々上手くハマらず、ユスティナに涙目でスマイルしてもらうことにしました。涙目になってもらうのが中々難しかったのですが、私が色々説き伏せていく内にやってくれて、それを見たヤヌシュが「彼女が泣くなら俺も泣くしかないな」とその場でパッと泣いてくれました。さすが大物だと思いました。

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日本のファンへ

──日本のあるマンガの登場人物に「イタコ」と呼ばれる霊媒師・アンナというキャラクターがいます。もちろん今作のアンナとは無関係だと思うのですが、これまでマウゴシュカ監督が影響を受けた日本文化や日本映画など何かあれば教えてください。

日本の文化と言えばもちろん黒澤明監督作品は大好きですし、好きな監督の内の一人です。日本文化そのものがポーランドのそれとは大分違うので、この映画はさすがに影響を受けている部分はないのですが、この作品の撮影に入る前は黒澤監督の作品を観ていました。というのは、タルコフスキーやベルイマンやヘルツォークやキェシロフスキやアンジェイ・ワイダなどの影響というか、やっぱり彼らの作品を色々振り返りながら作品を作るので、そういう点では影響を受けています。
日本の文化に関して言うと、子ども達は夢中です。12歳の息子は日本のアニメが大好きで、4歳の娘は日本のおとぎ話に夢中です。この間もとある博物館で日本の特集をやっていて子ども達を連れて行きました。

──日本でマウゴシュカ監督の作品が上映されるのは今作が初めてのことですが、この作品を観ようと思っている日本の映画ファンへメッセージをお願いします。

日本で公開して頂けることを大変誇りに思っているし、とても嬉しいです。
キリスト教であっても、仏教徒であっても、無宗教であっても、この映画はそれらを受け入れられる懐があるので、日本とポーランド、異文化と言えど日本の皆さんにも共感してもらえる部分がきっとあるんじゃないかと思います。

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映画『君はひとりじゃない』は7月22日(土)よりシネマート新宿、YEBISU GARDENCINEMAほか全国順次公開。
決して目には見えない、でも確実に存在しているモノ。あらゆる角度からその片鱗を感じさせてくれる作品だ。ぜひ劇場でご覧いただきたい。

(取材・編集・文:ミヤザキ タケル)

(C)Nowhere sp. z o.o., KinoŚwiat sp. z o. o., D 35 S. A.,
Mazowiecki Fundusz Filmowy 2015 all rights reserved.
配給:シンカ

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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