ハリウッドはシリアスなアニメ作品に消極的?米アニメーターが指摘 ─ 「『スパイダーバース』がアメリカで作られたのは奇跡だ」

近年、ハリウッドにおけるアニメ熱は上り調子だ。ジブリ作品や新海誠監督作品など日本発のアニメーション作品が変わらず好調を見せているだけでなく、2018年には『スパイダーマン:スパイダーバース』の手書き風アニメが話題となり、2023年には任天堂と『怪盗グルー』『SING』の米イルミネーションがタッグを組んだ『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が大ヒットを記録。今や、天下のディズニーに「追いつけ追い越せ」と言わんばかりの勢いで、アニメに対する革新は欧米諸国でも活発に見られている。
その一方で、ハリウッドでは依然としてアニメ作品の扱い方に対するためらいもあるようだ。これを証言するのが、2024年3月に公開された新作アニメ映画『カンフー・パンダ4(原題)』で共同監督を務めたステファニー・スタイン。これまでハリウッドを拠点に、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(2019)や『ラーヤと龍の王国』(2021)といった作品に携わってきたスタインは、Discord上で行われたファンとの質問コーナーの場で、スタジオ幹部のアニメに対する消極的な姿勢を語っている。
アニメ作品ではコメディタッチなものが多く、シリアスな物語が描かれない傾向にある、との持論を持つファンの1人が「アニメ映画でシリアスなトーンやシーンを描くこと」についての意見を求めると、スタインは「すごく良いですね!」と質問者の意図を支持。「特に最近は、本当にたくさんの観客が至るところで、より成熟した(アニメの)物語を見て育っています。例えば、ほとんどの本屋さんで、漫画やアニメのコーナーがフロア全体のほとんどを占めていたりもしますよね」と応じる一方、実際に目の当たりにしてきたハリウッドの内情をこう語ってもいる。
「でもここで問題なのが、映画製作の財政を握っている人の多くが、観客はこういう話を好まないのではないかと思っていること。なぜなのかは私にもわかりません。幹部の人と話すたびに、彼らはアニメが世界に与えてきた影響やインパクトを感じていると言ってくださりますが、作ろうとまではしないんです。」
そう語るスタインにとっては、「『スパイダーマン:スパイダーバース』がアメリカで作られたのは最高の奇跡だ」という。同作は、マーベル・コミックスの人気キャラクターを初めてアニメ映画化したということで元々の注目度も高かったが、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞するなどの大きな反響を呼んだ。続編シリーズが製作されるだけでなく、主人公が自身のメンタルヘルスに直面する短編アニメも公開され、シリアスかつ啓蒙的な内容が描かれた。
ハリウッドでは毎年注目のメジャーアニメ作品がリリースされ、市場としても成熟している一方、スタインの言う通り、シリアスな話を描く作品が多いとは言えない。コメディとアクションが好評の『カンフー・パンダ』最新作を世界興収4億ドル超えの大ヒットに導いたスタインが、今後のキャリアをどう進むのかも気になるところだ。
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Source:Discord