「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」鉄の玉座のデザイン、なぜ「ゲーム・オブ・スローンズ」と違うのか

「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)のスピンオフドラマ、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」(2022-)がついにスタートした。前シリーズを観たことがある人なら、第1話に登場した鉄の玉座のデザインが変わっていることに気付いたのではないだろうか? この新たな鉄の玉座の製作について、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」製作総指揮・脚本のライアン・コンダルと原作・製作総指揮のジョージ・R・R・マーティンが米Vanity Fairに語っている。
「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」は、デナーリス・ターガリエン誕生の172年前を舞台に、ウェスタロスを統治したターガリエン家の物語を描く。シーズン1の第1話ではシリーズの象徴である鉄の玉座が登場するが、その姿は「ゲーム・オブ・スローンズ」時代より巨大で、より複雑なデザインとなっている。様々な角度に突き出した剣は階段まではみ出し、ヴィセーリス・ターガリエンの様子からも分かる通り、より危険な印象だ。
鉄の玉座のデザインが異なる理由の1つは、これが前シリーズより約200年前の比較的“新しい”玉座だからだろう。鉄の玉座といえば、エイゴン1世がウェスタロスを征服した際、降伏の証として差し出された1千本の剣で作られたことで有名。「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の鉄の玉座には、まだその剣のほとんどが残っている印象だ。
インタビューでは、記者が「『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』では(玉座の)剣が突き刺さるという要素が追加されています。いつかは剣が取り外されるんだろう、と思いました。でもその前に、誰が刺されるんでしょうね」と話を振ると、ショーランナーのコンダルは「とりあえず様子を見ましょう」と回答。先の展開は明かせないようだが、新たな鉄の玉座に込めた意味を次のように明かした。
「『ゲーム・オブ・スローンズ』のショーランナーであるデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスは、(鉄の玉座という)非常に象徴的なものを作りました。誰もがシルエットを見ただけで、それが何なのか分かります。『スター・ウォーズ』のライトセーバーと同じくらい象徴的です。我々はそれを尊重しつつ、より退廃的な時代の物語を描き、200年という年月を示したかったのです。よく見ると、オリジナルの玉座が見えてくるでしょう。ただ追加・増強されているだけで、その間のある時点で歴史が変化することを示唆しています。」
また原作者のマーティンいわく、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」は「ゲーム・オブ・スローンズ」よりも原作に近い鉄の玉座を再現できているようだ。次のように語っている。
「これは完全に新しいものです。私はずいぶん前に、『ゲーム・オブ・スローンズ』の鉄の玉座は象徴的なものになったけれど、私の本に書かれている鉄の玉座とは違うと言いました。本で描かれる鉄の玉座はたくさんありますが、最も優れているのは、アーティストのマーク・シモネッティが描いたものです。ライアン(・コンダル)と彼のチームはそれ(シモネッティの絵)に近いものを作りたかったのでしょう。しかし、シモネッティの玉座は高さが15フィートもあり、王を撮影するためクレーンが必要なので実現できません。彼らはその玉座に近づけるために考えて製作したわけですが、それでも全部を実現するのは無理なのです。」
コンダルも「我々はシモネッティが描いた有名な絵のように、本当に壮大なものを作りたいと考えていました」と同意。「しかし製作上の問題点として、一人の俳優を高い位置に、他の俳優を低い位置に配置する場合、(全員を)王と一緒に映すことが非常に難しくなるのです。常に鼻先か肩越しに、国民を見下ろすように撮影することになります。大声を出さなければならず、それでは良いコミュニケーションは望めません」と述べた。「我々は壮大さと退廃を表現したいと思っていました。撮影しやすく、(撮影監督たちが)頭を抱えずにすむような方法でね」。
より壮大になった鉄の玉座は、ヴィセーリスの時代からロバート・バラシオンの時代まで、約200年の間に起こるであろう様々な争いを予感させる。この鉄の玉座を巡り、今後ストーリーはどのように展開するのだろうか?
▼「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の記事
Source: Vanity Fair