『ハリー・ポッターと死の秘宝』スネイプ衝撃のラスト、アラン・リックマンは最初から知っていた? ─ 原作者から伝えられたこと

映画『ハリー・ポッター』シリーズでは、完結作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)で描かれた感動の展開を早くから知るキャストが1人いた。ハリーに対して意地の悪い態度を取る冷酷なホグワーツ魔法魔術学校の教師、セブルス・スネイプ役を演じたアラン・リックマンだ。しかし、生前のリックマンによれば、全てを知っていたわけではなかったという。原作者のJ・K・ローリングは、一体何を話していたのだろう。
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』公開から数ヶ月が経った2011年12月、米Uproxxとの取材に応じていたリックマンは、時期こそ明かさずともシリーズ初期作の製作当時を回顧。第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』や第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、意地悪な先生としてハリーの目に映ったスネイプだが、演じたリックマンはファンが数年後に知ることになる情報を原作者のローリングから伝えられたという。
「彼女は本当に小さな情報の断片を教えてくれました。このおかげで、彼(スネイプ)はもっと複雑な人間で、物語はこのままみんなが知っているみたいにまっすぐには進んではいかないんだ、ということが理解できました。1作目の時、彼女(J・K)は3、4冊しか本を出していませんでした。彼女以外、どうなるかは知らなかったんです。そして彼女にとって、僕が何かを知っていることが重要だったんだと思います。」
スネイプに対して抱き続けていた憎しみが誤解だったことをハリーが悟った瞬間は、『死の秘宝』終盤で訪れた。復活したヴォルデモート卿はホグワーツ陣営との最終決戦中、ニワトコの杖の持ち主と思われていたスネイプの殺害を決める。ナギニの猛攻により瀕死状態となったスネイプの元にハリーが駆けつけると、スネイプは一筋の涙をハリーに採取させ、憂いの篩に入れることを指示。そして、「リリー(ハリーの母親)の目と同じだ」とだけ言い残し、役目を全うした。その後、真実を覗き見たハリーは、スネイプが自分のことを陰ながら見守り続けていたことを知るのだった。
物語が進むにつれ、不死鳥の騎士団のメンバーであったスネイプがヴォルデモート卿のスパイだと疑う者も多くなり、特に『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009)での裏切り後は、翻弄させられたファンも多かった。それもそのはず、スネイプがハリーを守り続けていたことを知っていたのは、それまでローリングとリックマンのみだったのだから。もっとも、リックマンが完結作の脚本を手渡されるまでに知っていたのは、以下の情報のみだったという。
「僕が知っていたのは、彼が人間であり、ロボットではないということでした。僕は、ハリーを保護する何らかのものがあるとは知っていましたし、察したところから作り上げていきました。これだけで十分でしたし、彼が二重スパイだとは知りませんでしたよ。」
2016年、リックマンは癌によりこの世を去った。『ダイ・ハード』(1988)や『ラブ・アクチュアリー』(2003)『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)、そして遺作となった『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(2016)まで、数々の名作に出演してきたリックマンだが、彼の死後最も記憶されているのは、やはり『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ先生役ではないだろうか。
2011年、『ハリー・ポッター』映画シリーズ完結にあたり、リックマンは原作者のローリングに対して綴った「最後の手紙」を英Empire誌に寄せており、このように綴っていた。
「2011年4月26日
私は、最後のセブルス・スネイプ役としてアテレコをした音楽スタジオからちょうど戻ったばかりです。そこにあったスクリーンには、10年前のダニエル、エマ、ルパートの回想写真が流れていました。その時彼らは12歳でした。僕は最近、ニューヨークから帰ったばかりでもあって、そこでの滞在中、ダニエルがブロードウェイで歌い踊っている姿を見たんです。一生が数分のうちに流れたように感じました。
僕がジョー・ローリングから1本の電話を受け取った時から、この3人の子どもは、すっかり大人になりました。電話では、当時は3冊しか本が出ていなかったにもかかわらず、スネイプはずっと同じ衣装を着ているだけの男ではないんだと納得することになった、ある小さな情報を教えてもらったんです。彼女は、この壮大で繊細な物語を、確信しながらずっと隠し持ち続けてきました。
物語は、古(いにしえ)より語られる必要があるもの。でも物語には偉大な語り部が求められる。全てをありがとう、ジョー。
アラン・リックマン」
Source: Uproxx,Empire(参照:Fandango)