「終わりだアナキン、私の方が有利だ」『スター・ウォーズ エピソード3』オビ=ワンVSアナキン、当初は別の決着だった

そこで解釈のひとつには、オビ=ワンはあえておどけたような言葉をいい、かつて互いに冗談を言い合っていた和やかな関係を取り戻そうとしていた、または少なくとも思い出そうとしていた、というものがある。そう考えると、両腕を広げる仕草もわざとらしいし、セリフを言った後のオビ=ワンも僅かに微笑んでいる。
この言葉によって、アナキンが矛を収める可能性などないことも、やはりオビ=ワンは分かっていただろう。そしてこの言葉は、心を闇に呑まれたアナキンには逆効果だったかもしれない。また「自分の方が有利だ」と言い、見下してくるオビ=ワンへの憎悪を募らせただけだっただろう。「僕の力をみくびるな!」と、敵意の目で睨みつけるアナキン。最後の冗談も通じなかったことを知ったのか、無念のオビ=ワンは「もうよせ」と力無く警告する。
もはやアナキンを、ベイダーを止める術は、なくなっていた。アナキンは雄叫び上げてオビ=ワンに飛びかかる。熟練のジェダイ・マスターはタイミングを合わせ、愛弟子を斬る。それは、戦闘としてはこの上なく的確な対処だったが、ひとりの人間としてはこの上なく残酷な対処だった。転がり落ちたアナキンを次に見た時、彼の身体からは左腕と両脚がなくなっていた……。
この決着について、もしも初期案のまま、つまり首を斬られそうになったオビ=ワンがライトセーバーを引き戻した際にアナキンを斬る展開となっていたら、“I have the high ground”のセリフのやりとりも誕生せず、もっと刹那的な事切れになっていた事だろう。クライマックスに向けた緊張感の張り方も、また違った強度になっていたはずだ。ちなみに「地の利を得た」の日本語訳は、現在では「私の方が有利だ」に変更されている。
▼ 弟だと思っていた……お前を愛していた
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Source:Empire April 2024, p.69