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トム・ヒドルストンの演技は素晴らしいが…映画『アイ・ソー・ザ・ライト』レビュー

映画『アイ・ソー・ザ・ライト』評価・感想

1953年に29歳の若さで亡くなった歌手 ハンク・ウィリアムスを描いた作品だ。
エルヴィス・プレスリー ボブ・ディラン ザ・ビートルズ等、錚々たる顔ぶれに影響を与えた男の音楽 その人となりが描かれていく。

恥ずかしながら、ぼくはハンク・ウィリアムスの存在を知らなかった。
この作品を観たいと思ったのも、ハンク・ウィリアムスではなく トム・ヒドルストンの引力によるものだ。

元々彼を把握し その音楽を耳にしてきた人であれば、彼のパーソナルな部分を感じることができて良かったのかもしれない。

けれど、ぼくのような何も知らないビギナーにとって この作品は入門編としての役割を果たしてはいなかった。

そういった作りもアリだと思う。
が、その偉大な人物を多くの人に知ってもらいたいのであれば その門が大きく開かれているに越したことはない。
万人にハンク・ウィリアムスという男の存在を知らしめるだけの作品に、キッカケにはなっていなかったように思う。

ハンク・ウィリアムスの私生活
心の問題 身体の問題 抱える葛藤などは垣間見える。

誰しもが辿り着けるわけではない華やかな世界に身を置く人物でありながらも、その心はあなたやぼくと同じモノであった。
不器用で 傲慢で 臆病で ひとりよがりで 目の前のことだけで精一杯
彼も同じ人間なのだということをしっかり理解させてくれた。

彼が求めていたモノ
それは無償の愛だったのかもしれない

彼には献身的な母がいた。
妻がありながら他の女に手を出すことへの言い訳にも正当な理由にもならないが、その母と同等の愛を自らに捧げてくれる女性を求めていたのかもしれない。
生まれながらの病気が 父不在の幼少時代が 一筋縄ではいかない音楽の世界が、無条件で恒久的に自らを支えてくれる存在を求めていたのかもしれない。

そんな人物に巡り会いたいがために繰り返される女性問題
病気のこともあるが、その人物に巡り会えないがための酒や薬であったのかもしれない。

そう、彼の心を重視して今作は描かれる。

その結果、彼の歌の魅力 曲に込められた想い 多くのミュージシャン達に影響を与える程のモノまでは伝わってこなかった。

満たされない心の捌け口が音楽だったのかもしれない
やり場のない想いが彼の音楽に込められていたのかもしれない
それだけの音楽だから、多くの人の心に届いていたのかもしれない。

それらが劇中で描かれることはないし、元々ぼくは彼の楽曲を把握していないため その部分を補完しながら観ていくこともできなかった。

ハンク・ウィリアムスの楽曲をすべて歌い上げるトム・ヒドルストンをはじめ、俳優陣の演技は皆素晴らしい。

だが、ハンク・ウィリアムスの存在を
そこ魅力を深く感じさせてくれるところにまでは届いていかなったように思います。

観るのであれば、事前に彼の楽曲を聴き 響くモノを感じておく必要があるのかもしれない。
ある程度の彼に関する知識を仕入れておく必要があるのかもしれない。

多くの人に影響を与えた彼の楽曲の魅力を心に宿してからでないと、この作品を充分に楽しむのは難しい。

ハンク・ウィリアムスについての知識をより深めたい人のためにある作品なのかもしれません。

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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