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『生きる LIVING』海外版新予告編が公開 ─ 黒澤明の名作を英国でリメイク、カズオ・イシグロ脚本

https://www.youtube.com/watch?v=OVo5kLt_-BU

黒澤明監督『生きる』(1952)をイギリスにてリメイクした、映画『生きる LIVING』の海外版新予告編が公開された。

オリジナル版『生きる』は、平凡で無為な毎日を送っていた市役所職員の渡辺勘治が、余命わずかであることを知らされたことから自分の人生を省み、“生きる”ことを考え直す物語。本作『生きる LIVING』は第二次世界大戦後の1953年、いまだ復興の途上にあるイギリス・ロンドンが舞台に。公務員のウィリアムズは官僚制度の歯車として働く中、自らの余命を知らされ、退屈な毎日を充実したものに変えるべく動きはじめる……。

予告編の前半では、同僚たちの「ウィリアムズは冷たい」「つまらない、笑いもしない。教会みたいだ」という声が聞こえる中、ウィリアムズが送る平凡な日々の反復が表現される。ウィリアムズ自身も「自分がどんな人間になったのかさえわからない、それでも驚かない」と独りごちるほどだ。しかし、そんな毎日にも変化が生まれる。やがて、ウィリアムズの世界はあたたかく色づきはじめるのだ。

「警察に通報しましょうか?」「仕事に数時間遅れただけで、警察が心配するわけがない」「数時間の遅刻ですよ。今まではそんなことなかった…」。再び人々の声が聞こえる中、ウィリアムズの新たな日常が始まる。酒を飲み、歌い、若い女性と出会い、映画館を訪れるのだ。「この人は昨日まで、見せかけの人生を生きていたんだ」という言葉に、ウィリアムズは「そう願っていたわけじゃない」と答える。

ウィリアムズの運命の日々を繊細な映像で描き出すのは、俊英オリヴァー・ハーマナス監督。主演は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『名探偵ピカチュウ』(2019)の名優ビル・ナイが務め、早くも映画祭ではその演技に絶賛が寄せられている。共演は「セックス・エデュケーション」(2019-)のエイミー・ルー・ウッド、『パーティで女の子に話しかけるには』(2017)のアレックス・シャープ、『Mank/マンク』(2020)のトム・バークら。脚本は『日の名残り』『わたしを離さないで』などの作家カズオ・イシグロが執筆した。

映画『生きる LIVING』は2023年春に日本公開予定(東宝配給)。米国では2022年12月23日に公開される。

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Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。