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「ゲーム・オブ・スローンズ」エミリア・クラーク、『アイアンマン3』降板していた ─ 脚本の変更、女性ヴィラン削除と関係か

エミリア・クラーク
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/9350837884/

「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)のデナーリス・ターガリエン役、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)で知られるエミリア・クラークが、マーベル・シネマティック・ユニバース作品『アイアンマン3』(2013)を降板していたことがわかった。同作の共同脚本を担当したドリュー・ピアースが明かした。

ドリューによれば、2012年に行われた『アイアンマン3』の脚本の読み合わせにエミリアは参加していたとのこと。しかし脚本の変更がなんらかの原因となって、プロジェクトを離れていたようだ。

2012年といえば、まだ「ゲーム・オブ・スローンズ」の第2シーズンが放送されていた時期。『アイアンマン3』への出演が実現していれば、本作はエミリアにとって初めての大作映画になっていただろう(のちにエミリアは、2015年『ターミネーター:新起動/ジェニシス』で大作デビューを果たしている)。

ゲーム・オブ・スローンズ 第八章
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『アイアンマン3』脚本の変更とは

『アイアンマン3』で脚本・監督を務めたのは、のちに『ナイスガイズ!』(2016)や『ザ・プレデター』(2018)を手がけることになるシェーン・ブラック。しかし、本作の脚本がマーベルの意向から大幅に変更されたことは一部のファンにはよく知られていることだ。初期の脚本では、ガイ・ピアース演じる悪役アルドリッチ・キリアンの役割を女性のキャラクターが担っていたという。

2016年、米UPROXXのインタビューでシェーン監督は「(製作中に)あらゆる物事が変わりました。プロットもあっちへ行ったりこっちへ行ったりしました」と語っている。

「ステファニー・ショスタク(エレン・ブラント役)やレベッカ・ホール(マヤ・ハンセン役)の出番はもっと多かったんですが、減らしました。公式に言えるのは、『アイアンマン3』の初めの頃の脚本には問題の兆候があったということ。女性のヴィランがいたんです。脚本を書き終えたら、(マーベルから)なんでもありの指摘が来ましたよ。“支持できない、考えが変わった”と。監修の結果、女性ではオモチャが売れないと判断したっていうんです。

そこで、オモチャのために脚本を丸ごと書き換えなきゃいけなくなりました。[中略]初期の脚本では、その女性ヴィランが事実上のキリアンだったんですが、(マーベルは)女性版キリアンを求めなかった。キリアンを男性にしたがったんです。僕は(女性ヴィランの)アイデアを気に入っていたんですよ。全編を女性が引っ張っていくというね。だけど“ダメだ”って。」

『アイアンマン3』のヴィランを男性にするよう要求したのは、ケヴィン・ファイギ社長率いるマーベル・スタジオではなく、マーベル・エンターテインメント本社だったという。むしろ、シェーン監督は「僕はケヴィン・ファイギのファンですよ。正しいことをするケヴィン・ファイギによって決断がなされることを願います」とまで言っているのだ。

ちなみに、監督いわく『アイアンマン3』の脚本書き換えを命じる決定をマーベル本社の誰が下したのかはわからなかったそう。「メモが来て、そこにはオモチャの話が書いてあった。それだけのことです」。

以下の内容には、映画『アイアンマン3』のネタバレが含まれています。

アイアンマン3
(c)2013 Marvel

シェーン監督のコメントには、同じく2016年、マヤ・ハンセン役のレベッカ・ホールも同意しており、自身が当初の契約とは異なる役割を演じることになったことが認められている。

「撮影の途中で、“もしもあなたの役柄がいきなり撃たれることになるとしたら、どう思いますか”と言われて。私は映画の最後まで登場するはずだったので、しばらく交渉して、“きちんとした死亡シーンを作ってください、アイアンマンともう1シーン一緒に出させてください”と言ったんです。ロバート・ダウニー・Jr.は支持してくれました。」

この結果が『アイアンマン3』におけるマヤ・ハンセンの最期だったのであり、ほかにも脚本段階や撮影の途中にはいくつもの変更があったものとみられる。エミリア・クラークが演じるはずだったのは、マヤ・ハンセン、あるいはエレン・ブラントだったのか。それとも脚本の都合上、まるごと削除されてしまったキャラクターがいたのか……。今となっては真相はわからないが、演じる役柄が消えてしまった、あるいは役割や出番の変更によって出演を辞退した、のどちらかであることはほぼ間違いないだろう。

エミリアは「ゲーム・オブ・スローンズ」の完結を経て、今後は『ゴーストバスターズ』(2016)『シンプル・フェイバー』(2018)のポール・フェイグ監督によるロマンティック・コメディ『ラスト・クリスマス(邦題未定、原題:Last Christmas)』、主演を務めるスリラー映画『Above Suspicion(原題)』が待機中。『ハン・ソロ』に続き、大作映画での新たな代表作にめぐり合えるか…!

ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」ブルーレイ&DVDは2019年冬リリース予定。超豪華版 特別仕様コンプリート・シリーズボックスも発売される。

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Sources: Drew Pearce, UPROXX, Toronto Sun

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。