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【ポンコツ映画同好会】インディペンデンスデイ:リサージェンスを強引に愛でる【レビュー】

まず、本作の鑑賞前に前情報として、本作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の監督ローランド・エメリッヒの「昨今のアメコミヒーロー映画についての批判」を知っておくと、一層味わいが増します。エメリッヒ監督は一連のインタビューの中で、自らが創作において最も重要視するものは「独創性」である、という発言をしており、自身のフィルモグラフィーの中でも最大級のヒット作である前作「インディペンデンスデイ」の続編の公開を目前に控え、その「独創性」との折り合いをどうつけるのか、個人的に注目しておりました。

https://theriver.jp/roland-emmerich-against-marvel/

で、今作「インディペンデンスデイ:リサージェンス」においての「独創性」ですが、どうやら今回は宇宙船の巨大さ表現に全てが集約されておりました。登場する宇宙船はもう、文句なく巨大です。SF映画史上ぶっちぎりで最大でしょう。設定では全長4800km、円形だとするならばその面積は東京ドームの実に約3億8700万個分です。言葉の意味はよくわからないがとにかく凄い大きさ。マスクを被ったヒーローはありえないからバカバカしいって言ってたのに、この大きさはアリなのかい。ただ映画史上最大の宇宙船が出てくるってだけで、やはりこの映画は劇場で鑑賞する価値があるのではないでしょうか。

懸案の独創性に関しては宇宙船の大きさでカタをつけたのか、他の場面、ディザスター表現や戦闘シーンなどは、過去作のどこかで見たことあるよという、オマージュに溢れております。津波表現は「ディープインパクト」「インターステラー」、宇宙船の内部表現は「エイリアン」、何しに出てきたかわからない球体は「地球が静止する日」、クライマックスの戦闘機バトルは「ステルス」かな?普段からSF映画を好んで鑑賞している観客ほどニヤリとできる設計になっていました。
個人的にお気に入りは、ラスボスのデザイン、特にシルエットが何故か「GODZILLA」(2014)に出てきた敵モンスター“ムートー”に似ていること。エメリッヒ氏が監督して批評家筋から散々叩かれた「GODZILLA」(1998)ではなく、スマッシュヒットを飛ばしたギャレス・エドワーズ監督作に似たキャラクターが存在するというところが、因縁めいたものを感じて味わい深いです。

今作を批判するレビューに、「ストーリープロットに穴が多い」というものが多くありますが、筆者の認識では多いなんてものではなく「穴しかない」と感じました。
前回の襲撃を受けて巨額を投じて建造された月面兵器の役立たずっぷり、一方前回ちょっとアホっぽく撃退されたにも関わらずほぼ同じ手法でくるエイリアン、超巨大な宇宙船を作って飛ばすテクノロジーを全く活かさない作戦、同窓会めいた前作キャラクターの強引な集結のさせ方、大人の事情を切に感じる中国推しなど、気になるポイントは枚挙に暇がありません。

今作の楽しみ方は、その「穴」をこそ楽しむつもりで劇場に行き、「なんでやねん」とか「お兄ちゃん(マイティー・ソー)呼んでこい」とかツッコミながら、ポップコーン片手に楽しく見るのが正しい鑑賞法だと思います。茶化さないで少し真面目に書くと、今作はヒット作の続編が陥りがちな、前作からのスケールアップ、物量アップ、ボリュームアップに囚われ過ぎて作品としての完成度が著しく低下するという罠に見事嵌ってしまってはいます。ただその各方面アップの仕方が、無骨というか愚直で愛嬌があるので、「ダメ映画、見る価値なし」と断じるのは少しだけ勿体ない映画です。特にアメコミファンとしては今作のストーリーの決着、作家の言いたいことが、前作もそうですが、アラン・ムーアの「ウォッチメン」のアイツを想起させて少し薄ら寒いものを感じる点も味わいの一つと言えるでしょう。

とにかくこれでもか、と色々な要素が大混雑していてボリュームはたっぷりありますし、映画ならではの映像表現も独創性はこの際横に置いておくとして、これでもかと詰め込まれていますので、ソフト化を待たず、劇場で鑑賞されることをお勧めします。

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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