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答えが無いのが人生?映画『教授のおかしな妄想殺人』レビュー

『教授のおかしな妄想殺人』感想・評価

人生に希望を見出せず自堕落な生活を送っていた哲学科の大学教授 エイブ(ホアキン・フェニックス)は、ある出来事をキッカケに 人が変わったかのように人生を謳歌し始める。
次第に変化していくエイブの姿と、彼に恋する学生 ジル(エマ・ストーン)の姿を通して 人間の心模様・型にはめることが困難な人の心持ちを描いた作品だ。

エイブは思い描いた理想と現実とのギャップに苦悩している。
覆すことのできない悲惨な現実を目の当たりにして 生きる希望を見失っている。

だが、そんな彼が前向きに動き出す。
自分の中でしっくりとくるキッカケさえ掴めたのならば 誰にだってそれは可能だと思う。
きっとあなたにも身に覚えがあるはずだ。

人との出会いが
環境の変化が
観た映画が
読んだ本が
道行く人々が
風に揺れる木々が

ありとあらゆる出来事があなたの心を変えるキッカケに成り得る。

良くも悪くも。

ぼくは映画の仕事がしっかりと確立するまでは恋愛をしないと心に決めている。
去年そう決めてから、幾分か生きやすくなったように思う。

それまでであれば 誰かのことが気になったり 好きになってお付き合いしたとしても、最終的に辿り着くのは相手の気持ちを考えることよりも 自分のことばかり。
精神的にも経済的にも安定していない自分自身に囚われてしまう。

根本を解決しない限りは、何度恋をしたって毎回同じ末路に辿り着く。
そんな自分に嫌気が差す。
嫌気が差すくせに それでもまた誰かを好きになる。
そんなことの繰り返し。

だが、恋愛をしないと心に決めたことで 気になる人やカワイイ人に出逢っても浮ついた気持ちを抑制できる。
その際に鬱憤が生じたとしても、それは創作の糧に成り得る。
今やるべきことにのみ注力し、恋愛はそれを成し遂げた後にすればいいと気楽になれる。

そういった心持ちになってから ぼくの心は少し晴れやかだ。

だが、それもきっと一時のものである。
人の心は常に変化していく。
常に新たな不安が心に纏わりついてくる。

そうありたくはないが、きっとこの先 映画の仕事が安定していかないことに心が囚われ始める。
それを成し遂げられない自分に嫌気が差してくる。

常に新たな不安と立ち向かっていかなければならない。

その都度その都度、不安に打ち勝つための道を模索していくのが人生なのかもしれない。

エイブのやっていることも道理は同じだ。
自分の中で信じられるその考えを持って行動しているだけ。
それが彼をHAPPYな道へと誘っていく。

だが、その考えの種類が その考えがもたらす行動の振り幅が人とは違い過ぎていた。

人が何を思っているかなんて測ることはできないし、何を思っているにしろ それが良き結果に繋がっているのであれば何でもアリだと思う。

ウディ・アレンの「人生万歳」でも言われていたように、「他人を傷つけなければ人生は何でもあり」だ。

だが、エイブの行動には人としての道徳心が 倫理が欠けていた。

けれど、悪意のみを持って彼を見ることはぼくにはできなかった。
根本にあるモノはぼくらと何ら変わらないのだから。

彼の行動すべてを肯定することはできないが、その心持ちはきっと理解できると思う。

人生何が起こるか分からない。
一歩間違えれば、いや 間違えなくとも彼のような心持ちになることだってきっとある。

自分だったらどうするのだろう
そんなことばかり考えながら見ていたが、エイブの辿り着く末路はぼくに答えを与えてはくれなかった。

答えはない。
それが人生なのだと言われた気がした。

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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