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『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はなぜ怖い?原作小説の魅力、R指定の理由を脚本家が語る

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED. Photograph : Shane Leonard

2017年11月3日に公開されるや、日本中を早くも恐怖のどん底に叩き落としている映画、それが『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』である。
スティーヴン・キングの同名小説を原作とする本作は、なんとR-15+指定にして同日公開の『マイティ・ソー バトルロイヤル』に続く週末興収ランキング第2位を獲得。驚くべきスマッシュヒットで、今後の成績にも期待が高まるばかりだ。

しかし、恐怖の殺人ピエロ・ペニーワイズが大暴れする本作になぜ人々はそこまで心惹かれるのか? 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はなぜ怖いのか、どこに魅力があるのか……。米CBR.comのインタビューにて、本作の脚本を執筆したゲイリー・ドーベルマン氏がその魅力を余すところなく語ってくれた。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

スティーヴン・キングの原作小説が愛される理由

傑作ホラー小説として多くの読者に愛される、スティーヴン・キングの原作『IT』を2部作の前編として長編映画にまとめる大役を担ったゲイリー氏は、自身が執筆した『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)も劇場公開中というホラー映画界屈指の新鋭だ。
ホラー映画を書くことについて「大きなインパクトを与えるため、恐怖の適切なタイミング、適切なリズムを発見するスリルがありますね。チャレンジングだし、中毒性がある。最高のパズルですよ」と語る彼にとって、長らく読まれ続けている原作小説の魅力とはどこにあるのだろうか?

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「最高のホラーは、そのすべてが複数のジャンルにまたがっているんです。映画版『IT/イット』はストレートなホラー映画ではないし、作品のトーンがいくつもある。監督のアンディ・ムスキエティはとても上手に扱っていますよね。
『IT/イット』は、子供とは何か、大人とは何か、大人になるにつれて私たちは何を失ってしまうのか、というリアルかつ素朴な作品です。みんなは“ピエロ怖い、ペニーワイズ怖い!”って思いながらも、ルーザーズの仲間意識や友情、はみ出し者たちがお互いに結びつく様子を大好きになりますよね。多くの人が心から反応するのは、みんながそのことを理解して、また自分自身が経験しているからですよ。だから小説としてこれだけ理解されて、愛されているんでしょうね。それだけじゃない、(理由は)もっとたくさんあると思いますけど。」

そう、脚本家がこう語っているように、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はホラー映画であると同時に少年たちの成長と友情を描いた瑞々しい青春映画なのである。文庫本で全4巻(邦訳版)という長い物語を映画にする上で、ゲイリー氏とアンディ監督は、思い切って少年たちに物語の焦点を絞り込むということにしたという。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『IT/イット』の怖さとは? なぜR指定だったのか

ただし(本編をご覧になった方は十分ご存知だろうが)本作はあくまで純然たるホラー映画たろうとする。心臓が止まるような仕掛けや、日本製ホラーを思わせるようなおどろおどろしさ、目を覆うほどショッキングな一瞬……。ゲイリー氏はペニーワイズという存在について「原作の精神に忠実であろうとした」と語り、小説と映画に共通する、『IT』という作品の恐怖の本質をこう説明する。

「僕が大好きなのは、さまざまな種類の怖さがあるところなんです。僕は恐怖が忍び寄ってくるという感覚がとっても好きなんですよ。最高のホラーとは、たとえば道路の角に近づいているとき、まだそこを曲がる前から、向こうに何があるんだろうと考えること。そこに何があるのかがわからないほうが怖いんです。
アンディは多くのシーンに、原作にも描かれている、こうした恐怖が忍び寄ってくる感覚を注ぎ込んでくれました。でも、その次にはすごく象徴的な瞬間や仕掛けがありますよね。“オーケー、ジャンプスケア(編注:大音量や突然の演出で驚かせること)だね”っていうのも大好きですよ。アンディがたくさん驚かせるのは、(観客を)たくさん不安にさせているのをうまく活かしているんですよ。」

ちなみに、本作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は日本だけでなくアメリカ本国でもR指定を受けている。製作陣は、この映画をPG指定にするかR指定にするかという議論は一切しなかったようだ。ゲイリー氏によると、脚本の時点で描写には遠慮せず、ひたすら攻めの姿勢で執筆を続けていったのだという。

「できるかぎり原作に忠実に、本物に近づけるためにはR指定でなければならないとわかっていました。この映画は厳しいR指定になるだろう、そこで楽しもう、と最初から考えていたんです。」

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は2017年11月3日より全国の映画館にて公開中。

Source: https://www.cbr.com/it-screenwriter-gary-dauberman-interview/
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED. Photograph : Shane Leonard

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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