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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』初期脚本、サノスが主人公の大長編だった ─ いかにして物語は変更されたか

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノス
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)は、ジョシュ・ブローリン演じるサノスが主人公であるといっていい作品だ。アイアンマンやソー、キャプテン・アメリカ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーといった大勢のヒーローが続々と登場するが、彼らをつなぐのはサノスとインフィニティ・ストーンなのである。

しかし製作の初期段階においては、文字通りサノスを主人公とする脚本が執筆されていたという。完成版のように一大群像劇の登場人物としてサノスが登場するのではなく、物語の語り手がサノスだったというのだ。米Collider主催の上映イベントにて、ジョー・ルッソ監督が脚本の変遷について語っている。

全250ページ、サノスが主人公の長編脚本

ジョー監督は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』について、完成版とは大きく異なる脚本の草稿が3種類存在したことを明かしている。サノスを主人公とする脚本は、そのうちのひとつだったようだ。

「草稿のひとつには、映画の語り手としてサノスを登場させました。ノンリニアな構造(詳細後述)で、ブラックオーダー(サノスの手下たち)には背景があって、全員がとても良いシーンで登場していたんですよ。でも250ページの脚本になってしまって、“よし、このストーリーの全部は使えないな”と。」

ここで言及されている「ノンリニアな構造」とは、必ずしも劇中の時間が一方向に流れていかない、回想シーンや時系列の行き来などを含むストーリーテリングのこと。おそらくサノスを語り手とする脚本では、サノス自身や手下たちの背景が、インフィニティ・ストーンを求めるサノスの様子と並行する形で描かれていたのだろう。完成版ではそうした趣向がなるべく抑えられ、サノスとガモーラの関係性を示す程度となっている。

東京コミコン2018
©THE RIVER

では、その“250ページの大長編”は実際の脚本にどのように活かされたのか。監督いわく、その草稿は「映画のバイブル」になったという。

「(草稿から)たくさんの情報が手に入りました。ある意味で登場人物たちを書き尽くしたので、彼らの求めているものがわかるようになったんです。サノスの物語を書ききったことは、彼がどんな人物なのか、また我々がこの映画で彼に何を求めているのかという本質を知ることにつながりました。表からは見えないサノスの一面を用意するために、そこから要素を引き出してしまえば、時系列に沿って物語を作っていくことは簡単でしたね。」

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の劇場公開時、ルッソ監督は本作の脚本に影響を与えた作品として『2 days トゥー・デイズ』(1996)と『アウト・オブ・サイト』(1998)を挙げていた。ついに今回、その真意が明かされている。

「脚本の開発を進めていて、ある時“これは強盗映画だ、サノスが強盗の役割を演じるんだ”と思ったんです。それから強盗映画を反映した物語の構造になりました。『2 days トゥー・デイズ』や『アウト・オブ・サイト』のように、いくつものマクガフィン(登場人物の動機付けとなる重要な仕掛け)が登場して、サノスがそれを追いかけて、ほかの人物はサノスよりも先にそれを手に入れるか、あるいは彼を止めるか。非常にシンプルな構造です。
この映画には本当に大勢のキャラクターが出てくるので、構造はシンプルにしなければいけないと思っていました。250ページの草稿から現在の映画(完成版)へと私たちを導いたのは、プロットをシンプルにすること、物語を時系列に沿わせること、そして登場人物の名場面を成功させることだったと思います。」

一度執筆された、サノスを主人公とする『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のストーリーは、形を変えて完成版の脚本にも盛り込まれたものとみられる。確かに本編をよく観てみれば、かつての草稿の面影がうかがえるようではないか……。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』MovieNEXは発売中。続編『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』は2019年4月26日(金)公開予定。

Source: Collider

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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