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アイアンマン、10年の変化 ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』キャプテン・アメリカ、ペッパー、サノスへの複雑な思いとは

マーベル
※画像はイメージです。

マーベル・シネマティック・ユニバースは、2008年『アイアンマン』から現在に至るまで、ロバート・ダウニー・Jr.がその「顔」を務めてきた。集大成となる映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』においても、ロバート演じるトニー・スターク/アイアンマンは非常に重要な立場を担うことになるという。

スパイダーマン、ドクター・ストレンジ、スター・ロード&ドラックス。本作の予告編において、トニーは従来のアベンジャーズ・メンバーではなく、むしろ新しい顔ぶれとの共演が目立つ。ブルース・バナー/ハルクとの対面はあるようだが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で対立したメンバーや、自分の側に付いた面々との“その後”はまだわからないままだ。
『アイアンマン』第1作から現在まで、そして『シビル・ウォー』から現在に至るまで、トニー・スタークはどのように変化して、現在どんな状況に置かれているのか? アンソニー&ジョー・ルッソ監督が、トニーに関わるキーパーソンの存在をふまえて語ってくれた。

注意

この記事では、映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『スパイダーマン:ホームカミング』の内容に言及しています。

トニー・スタークのプライベート

『アイアンマン』のラストで「私がアイアンマンだ」と宣言して以降、トニー・スタークは天才科学者かつ大富豪としてではなく、むしろスーパーヒーローとしての人生を送ってきた。その技術力と財力は、主にアイアンマンとしてのミッションを果たすべく投じられてきたのである。

そんな様子にわずかな変化が生じたのは、『シビル・ウォー』以降のトニーが描かれた『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)だった。アンソニー監督は、『アイアンマン』から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』までにトニーが経験した変化を説明している。

「トニー・スタークはナルシスティック、かつ自己中心的なキャラクターとして始まりました。第1作(『アイアンマン』)における彼の物語とは、そこから一歩踏み出すことだったんです。その方向性に沿って彼の冒険を描いてきて、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の冒頭では、彼個人の生活が濃いものとなっている
ペッパー(・ポッツ)との関係が高まりを見せ、ピーター・パーカーとの師弟関係もあって、自分自身の生活が充実し、かつてないほど大切なものになっています。興味深いのは、それがアイアンマンとしての生活の対比になっていること。アイアンマンとしての生活は、彼個人の生活を脅かすかもしれないわけです。」

すなわちトニーはアイアンマンとしての活動を続ける中で、ひとつはペッパーとの関係、もうひとつは新人ヒーローと自分との関係という、かけがえない関係性を手に入れたわけだ。しかしそれは、ヒーローとしての自分自身をある意味で縛ることになる……。

「この映画で、トニーは二つの生活の狭間で緊張感を味わいはじめます。辛い葛藤ですよ。」

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を経て

一方でトニーは、『シビル・ウォー』で描かれたヒーロー同士の激しい対立によって、すでにかけがえのない関係性をある意味で失い、抜き差しならない状況に置かれている。
『シビル・ウォー』は、その展開やキャラクターの行動ゆえ、ファンの間で賛否が真っ二つに分かれた作品だった。しかしジョー監督は、「ロバート(・ダウニー・Jr.)は『シビル・ウォー』の複雑さや、物語上のヴィランとして受け止められうるポジションにトニーを置くことには非常に前向きでした」と振り返る。

「僕たちは、あの映画に勝者は存在しないと思っています。『クレイマー、クレイマー』(1979)のような、非常に厄介な離婚なんだと。みんな両親のことが大好きだし、そんなふうにはなってほしくない、けれども事態は起こってしまった。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、トニーは起こってしまったことに対する罪悪感を抱いているんです。それでも、彼に(キャプテン・アメリカやバッキーを)許す準備があるかどうかはわかりません。」

そんな中、地球のヒーローたちが抱える事情に関係なく、闇の帝王サノスは容赦なく地球へと襲いかかってくる。本作でサノスは、恐るべきスピードでヒーローへの攻撃を仕掛けてくるようだ。

「ですからトニーには、じっくり考えていられる時間がないんです。行動することしかできない。それでも『シビル・ウォー』で起きたことは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の全編に大きな影響を与えていますよ。」

思えばトニーの行動とは、常に思わぬ脅威や不測の事態を予期したものではなかったか。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)でトニーが見た「全滅」のイメージは、間違いなくサノスの襲来につながっている部分があるだろう。ジョー監督は、こうしたトニーの“未来予想”が非常に重要であることを明らかにした。

「サノスはトニーとの間に一番強い繋がりがあると思いますね。なぜならトニーは未来について考え、サノスのような脅威を予測していたわけですから。名前こそ付けられないものの、彼の頭には(脅威の存在が)あったんですよ
何者なのか、どこから来たかにかかわらず、すべてのヒーローが脅威に対峙しますが、トニーは最も懸命かつ徹底的にサノスのような存在に反抗します。これこそトニーの内面に本来備わっているものだと思うんです。アイアンマンとしてすべてを始めた時から、彼と脅威の間には特別な繋がりがあるんですよ。」

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw.html

Source: Telegraph India

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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