『ジョーズ』は「サメCG追加版を作るべき」 ― 当時の出演俳優が主張、スピルバーグ本人は否定的な考え

巨匠スティーヴン・スピルバーグが1975年に製作した不朽の名作であり、いまや一大ジャンルとなった“サメ映画”の元祖である映画『ジョーズ』。「正攻法で『ジョーズ』を超えられたサメ映画はない」とすらいわれる本作について、なんと出演者の一人が“作り直し”を求めている…と書けば、いささか大げさだろうか。
海洋学者マット・フーパー役を演じたリチャード・ドレイファスは、ある理由から、最新技術を用いての『ジョーズ』のアップデートを希望している。

『ジョーズ』CG追加のメリットって?
アナログな手法によって恐怖の人喰いザメをスクリーンに出現せしめた『ジョーズ』は、CG技術に慣れ親しんだ現代の観客にとっては滑稽に映りかねない…。米Deadlineにて、リチャードが“サメをCGで描き直した『ジョーズ』の新バージョンを作るべき”だと主張するのはそのためだ。
「やるべきだと思うんですよ。成功するだろうし、若い観客に映画を開くことにもなるでしょう。(作品への)冒涜じゃないかって? いやいや、そうは思いません。この映画のほかの部分と同じくらいに、テクノロジーがサメを良いものにしてくれるわけですから。」
たしかにCGが隆盛を極める現代において、『ジョーズ』が若い観客に対して持っている訴求力は、公開当時に比べれば落ちているといえるだろう。しかし映画という芸術、映画というメディアにおいて、技術の進歩とともに映像をアップデートさせることは必ずしも作品のためになるとはかぎらない。たとえばジョージ・ルーカスがのちにCGを大量に追加した『スター・ウォーズ』オリジナル3部作にはさまざまな意見が寄せられており、今でも劇場公開版の復活を求める声がやまないのだ。
それでもリチャードは「『ジョーズ』は完璧な映画だという方々はいらっしゃいますし、スティーヴン(・スピルバーグ)の挑戦は見事に達成されたと思いますが」と述べつつ、「CGに予算を投じて作品を活性化させるべき」と語っている。
さて、あなたはサメの描写をすべてCGに置き換えた『ジョーズ』を観てみたいだろうか? ちなみに当のスティーヴン・スピルバーグ本人は、自身の代表作である『E.T.』(1982)に変更や修正を加えた『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』(2002)の際に観客の激しい反応にさらされ、過去の作品に手を加えることは二度としないという考えを表明している。
「当時はまだ今みたいにソーシャル・メディアもなかったけど、不満の声が出るわ出るわで。拳銃を取り上げてトランシーバーを持たせたりしたら、みんなの子供の頃の思い出を壊してくれるなと。これが勉強となって、もう過去作に手を加えるのはこれで最後にしようと決めたんです。済んだことなのですから。」
Source: Deadline