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『マスク』ジム・キャリー奇跡の経歴、コメディ王の出演作を厳選紹介 ─ あの代表作から恋愛映画など勢揃い

マスク
© 1994 New Line Cinema © LFI/Photoshot 写真:ゼータ イメージ

『エース・ベンチュラ』(1994)『マスク』(1994)をきっかけにスターダムにのし上がった名優、ジム・キャリーは2022年4月に引退を示唆していた。あくまでも休業という形だが、基本的には俳優業から退く意向で、芸術制作に専念しながら穏やかに過ごしたいという。

これは、『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』(2022)のインタビューにて明言していたものだが、これがもしかしたらスクリーンでジムを観られる最後の作品となったかもしれない。そんなジムの経歴をあらためて振り返ってみよう。

気弱で冴えない主人公が緑色の仮面を着けた途端、怪人となって大活躍する姿を描いた『マスク』で、ジムはコミカルな体の動きと表情で主人公を怪演。同年には、『エース・ベンチュラ』でも主演を務め、トップスターの仲間入りを果たした。『Mr.ダマー』シリーズなどコメディ映画に数多く起用され、“コメディ王”とまで呼ばれるほどの存在感を放っていく。

『トゥルーマン・ショー』(1998)と『マン・オン・ザ・ムーン』(1999)では、ゴールデングローブ賞主演男優賞に2年連続で輝いた。そのほかには、『バットマン フォーエヴァー』(1995)、『ライアー ライアー』(1997)、『グリンチ』(2000)、『マジェスティック』(2001)、『エターナル・サンシャイン』(2004)、『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)、『フィリップ、きみを愛してる!』(2009)など相次いで話題作に出演している。

2020年に突入すると、『ソニック・ザ・ムービー』のヴィランであるドクター・ロボトニックでハリウッド大作に復帰し、『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』でも続投。ジム節全開の愉快な演技で観客を魅了した。

コメディからヒューマンドラマまでさまざまなジャンルの作品に出演してきた名優、ジム・キャリーの経歴を簡単に振り返ったところで、今度は彼の出演作を厳選して紹介したい。

『マスク』(1994)

1994年に公開されたアクション・コメディ『マスク』は、ダークホースコミックスの同名作を原作とした、ジム・キャリーがグリーンマスクの怪人へと変貌を遂げる映画。まさしくジムのキャリアを代表する一作となっている。

ある日、お人好しで小心者の銀行員スタンリーは、謎に満ちた古代の仮面を発見する。その仮面を何気なく被ってみると、スタンリーが猛烈な竜巻と共に、“マスク”というハイテンションで変幻自在の怪人へと変身する。超人的な力を手に入れたスタンリーは、その力を借りて、一目惚れした歌手のティナにアタックしていく。

そんなスタンリー・ザ・マスクの活躍を描いた本作で、ジムは得意とする爆笑必須の顔面七変化をはじめ、コミカルなパフォーマンスをこれでもかと披露する。マスクことスタンリーからアタックされるヒロインのティナ役を演じたのは、本作が映画初出演となり、同じくブレイクしたキャメロン・ディアス。ジムとキャメロンの息の合った大胆な演技に注目だ。また、SFXによるアニメーションと実写が融合したかのような映像もまた、本作の見所のひとつとなっている。

ちなみにジムは、『マスク2』(2005)には出演していない。2020年に、「続編とかにはあまり興味がない」としていた一方で、ジムは「『マスク』のような映画はまさに監督次第で、クレイジーな映像センスを持つ監督と組めるのであれば、是非やりたい」とも明かしていた。いつの日か、スタンリー・ザ・マスクとして復帰する姿を観てみたいものだ。

『トゥルーマン・ショー』(1998)

トゥルーマン・ショー
『トゥルーマン・ショー』(パラマウント ジャパン)

ジム・キャリーにゴールデングローブ主演男優賞をもたらし、世界から絶賛された『トゥルーマン・ショー』(1998)。ジムが主演する数多くの映画の中でも最高傑作との呼び声も高い一作だ。

主人公は、生まれ故郷の離島から一度も出たことがなく、外の世界を知らないトゥルーマン・バーバンク。彼の人生はごく平凡なものでありながらも、その環境はどこか不自然だった。それもそのはずトゥルーマンの生活は、「トゥルーマン・ショー」というテレビ番組として全世界に放送されていたのだ。身の回りに起こる不可解な出来事から、トゥルーマンは番組の存在に気づき、現実の世界へと脱出を決意する。

メディアによって作られた人生を送る主人公を描く本作は、そんな傲慢極まりない世界を通してアイデンティティなどといったシリアスなテーマが、ユーモアあふれるヒューマン・コメディタッチで紐解かれていく。まさしく笑いと皮肉に溢れた悲喜劇となっている。『マスク』とは一味違う、ジムによる繊細な演技にも心動かされること間違いなしだ。

ちなみに、2022年に開催された第75回カンヌ映画祭ポスターのモチーフは、『トゥルーマン・ショー』となっていた。世界中からいまなお愛され、記憶に深く刻まれている一本というわけだ。

『エターナル・サンシャイン』(2004)

エターナル・サンシャイン
『エターナル・サンシャイン』(ギャガ・コミュニケーションズ)

2004年に公開された『エターナル・サンシャイン』は、『グッバイ、サマー』(2015)などのミシェル・ゴンドリー監督、『マルコヴィッチの穴』(1999)『もう終わりにしよう。』(2020)などのチャーリー・カウフマン共同脚本作。アカデミー賞脚本賞に輝いたことでも話題を呼んだ、奇想天外なラブストーリーだ。

もうすぐバレンタインという中、ごく平凡な男である主人公のジョエルは、クレメンタインことクレムという恋人と喧嘩別れしてしまう。仲直りしようと考えていたジョエルだが、彼女は手術を行い、自分との記憶を全て消してしまったことを知る。その事実を聞いた彼は苦しんだ末、クレムとの関係をすべて断ち切ろうと自分も記憶を消すことを決意。しかし消えていく記憶の中で、ジョエルはクレムとの思い出を彷徨い、気持ちに変化が訪れていく。

男女が互いの事を忘れるために記憶除去手術を受ける様を描いた本作。恋人との記憶に翻弄されていく主人公の男を演じるのが、ジム・キャリーだ。思い出が薄れていく中でも、クレムを深く愛していることに気付く主人公を自然に熱演している。一方、クレムとしてキャスティングされたケイト・ウィンスレットの完璧な演技からも目が離せない。

今までに見たことのないような幻想的な世界観、色彩豊かな映像、そして胸が張り裂けるような物語が観る者を魅了する本作。BBCが主催した企画「21世紀の偉大な映画ベスト100」では、第6位にも選出された不朽の名作である。

『フィリップ、きみを愛してる!』(2009)

フィリップ、きみを愛してる!
『フィリップ、きみを愛してる!』(Happinet)

最後に紹介したいのは、『フィリップ、きみを愛してる!』(2009)。ジム・キャリーがユアン・マクレガーとともに主演を務め、第62回カンヌ国際映画祭・監督週間部門、第25回サンダンス映画祭・プレミア部門に出品されたことでも注目を集めた一作だ。

ジムが演じるのは、交通事故により命を失いかけたスティーヴン。事故をきっかけに彼は、ゲイであることを隠さずに生きることを決意し、そのことを妻に告白して家を出ることに。ところが恋人と派手な生活をするために詐欺を働き、スティーヴンは刑務所へと送り込まれてしまう。

そこでスティーヴンは運命的な出会いを果たす。その相手というのが、同じく主演を務めるユアンふんするフィリップだ。心優しい彼に一目惚れしたスティーヴンは、弁護士だと嘘をつき近づく。受刑者同士のふたりはやがて結ばれ、刑務所から保釈されるも、スティーブンが嘘や不正を重ねていくことで、思わぬ方向へと展開していくことに。果たして、ふたりの運命はいかに?

メガホンをとったのは、『ラブ・アゲイン』(2011)『フォーカス』(2015)などのグレン・フィカーラ&ジョン・レクア監督。「THIS IS US/ディス・イズ・アス」(2016-2022)では製作総指揮および監督を務めていたことでも知られている気鋭だ。実話に基づいたラブストーリーを、ポップでロマンティックに描いている。

“ずっと一緒だ”と愛してやまないフィリップのため、スティーヴンが奮闘する本作。そんなスティーブンをジムが得意とする大胆さと繊細さが混ざった演技は素晴らしいの一言。また、ユアンふんするフィリップとの掛け合いも必見そのものだ。

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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