Menu
(0)

Search

DC映画『ジャスティス・リーグ』ザック・スナイダー編集版は存在せず ― 米DVD情報でひとまず結論か

米ワーナー・ブラザースは、映画『ジャスティス・リーグ』に「ザック・スナイダー監督自身の編集版は存在しない」という結論を下したようだ。米国にてDVD・ブルーレイの情報が公開され、一連の議論にひとまずの結論が出た格好である。

注意

この記事には、映画『ジャスティス・リーグ』の米国版ブルーレイ&DVD情報が含まれています。日本版ブルーレイ&DVDが同じ仕様・内容である保証はございませんので、あらかじめご了承くださいませ

『ジャスティス・リーグ』ザック版をめぐる論争

ワーナー&DCコミックスによる映画『ジャスティス・リーグ』は、製作途中から劇場公開後に至るまで、ファンの間で議論の絶えない作品だった。
きっかけは2017年5月、『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)を手がけるなど、DC映画ユニバースのキーパーソンだったザック・スナイダー監督が、愛娘の死を受けて製作途中にプロジェクトを降板したことである。そのバトンを受け取る形で作品を完成させたのは、ザックとはまるで異なる作風をもつ『アベンジャーズ』(2012)のジョス・ウェドンだったのだ。

できあがった作品は、ザック監督らしいビジュアルや演出こそ端々に見受けられるものの、全編にユーモアが散りばめられ、物語も軽やかなトーンで進行する、ジョスの持ち味が全面に押し出された仕上がりだった。この“合作”に満足した観客もむろん少なくはなかったが、ザック監督による、クールでシリアスな『ジャスティス・リーグ』を楽しみにしていたファンの心境は複雑だ。「ザック・スナイダー自身の編集版を公開せよ」という署名活動がすぐに開始されるなど、事態は一筋縄ではいかなかった。
そんな中、おのずから巻き起こったのは、「そもそもザック・スナイダー自身が編集した『ジャスティス・リーグ』なるものは存在するのか?」という話題だった。このやり取りは、やがて映画のスタッフを巻き込んで「存在する」「存在しない」という論争へと発展している。

そして『ジャスティス・リーグ』の劇場公開から約2ヶ月、「ザック・スナイダー版」の有無について、ひとまずの結論が出たようだ。米ワーナーは、本作のブルーレイ&DVDに完全版を収録しないという方法で「ザック版は存在しない」という結論を示しているように思われる。

未公開シーンは1つだけ

このたび発表された『ジャスティス・リーグ』の米国版ブルーレイ&DVDには、メイキングやインタビューなど豊富な映像特典が用意されている。
ただしDC映画のソフトとして異例なのは、未公開シーンが“The Return of Superman”の1種類しか収録されていないことだろう。『マン・オブ・スティール』では未公開シーンが収録されなかったものの、その後の『バットマン vs スーパーマン』や『スーサイド・スクワッド』(2016)では本編に追加映像を組み込んだ完全版がリリースされ、削除シーンが少ないといわれた『ワンダーウーマン』(2017)ですら数種類のシーンが収録されていたのである。

こうした処置は、『ジャスティス・リーグ』のブルーレイ&DVDに「ザック・スナイダー版」が収録されることを望んでいたファンにとっては悲しい知らせだろう。現に撮影監督のファビアン・ワグナー氏は、本編に入りきらなかったシーンが多数存在することを明かしているのだ。一連の削除シーンは、残念ながら“お蔵入り”ということになってしまう……。

米ワーナーは、ひとまず『ジャスティス・リーグ』の劇場公開版を唯一無二として、ザックが当初構想したバージョンを「実現しなかったもの」として扱う方針とみられる。もっとも冷静に考えれば、本作にザックは監督として単独でクレジットされており、世間一般的には劇場公開版こそが「ザック・スナイダー版」なのである。見ようによっては、別編集版の存在は混乱を招くだけともいえるだろうか?
しかし、むろん今後ワーナーが『ジャスティス・リーグ』の別バージョンは絶対にリリースされないとも限らない。かつて『スーパーマン』(1978)や『スーパーマンII』(1981)が監督の手によって本来のビジョン通り再編集されたように、いずれ『ジャスティス・リーグ』が新しい姿で私たちの前に姿を現すことになるかもしれないのだ……。

映画『ジャスティス・リーグ』は2017年11月23日より全国公開された。日本版ブルーレイ&DVDの仕様や内容は、国内での情報公開を待つことにしよう。

Source: http://collider.com/justice-league-bluray-details/
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly