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『ジャスティス・リーグ』ザック・スナイダー版の有無、米誌が調査報告 ― ヘンリー・カヴィルもコメント

ジャスティス・リーグ
© JUSTICE LEAGUE and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © 2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

ワーナー・ブラザース&DCコミックス製作、映画『ジャスティス・リーグ』(2017)の“ザック・スナイダー版”について米Wall Street Journal誌が独自取材の結果を報告した。

バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグ、そしてスーパーマン。DCコミックスの人気ヒーローがチームアップする話題作『ジャスティス・リーグ』を手がけたのは、『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)のザック・スナイダー監督だった。
しかし制作の中盤、ザック監督は愛娘の死を受けて企画を降板。ワーナーの意向を受け、『アベンジャーズ』(2012)のジョス・ウェドンが脚本の再執筆や大規模な再撮影、その後の仕上げ作業にあたったのである。完成した作品は、これまでのザック作品とは大きくテイストの異なる一本だった。

これを受けて、従来のDC映画ユニバースやザック作品のファンは、ザック監督が本来構想していた『ジャスティス・リーグ』を求めるようになったのだ。ファンやメディアでは、存在するかどうかすら定かでないザック監督による編集版を“ザック・スナイダー版”あるいは“スナイダー・カット(Snyder Cut)”と呼んだ。

ザック・スナイダー、ディレクターズ・カットへのコメントを拒否

2018年6月中旬、『ジャスティス・リーグ』の“ザック版”をめぐってスタッフの一人から有力な証言が聞かれていた。いわく、ザック監督が構想していたシーンは99%撮影済みで、「100%完成しているとはいえないかもしれないが、計画されたシーンはすべて撮られているし、タイムラインに沿って編集されている」というのだ。

これまでザック監督は、愛用するSNS「Vero」のアカウントにて、自らが編集した『ジャスティス・リーグ』が存在するかのようなコメントをしばしば発信してきた。しかしその一方、本作のVFXに携わったというスタッフの一人は、匿名で「1000%ありえない」との声明を出してもいたのである。

結局、“ザック版”は存在するのか、しないのか。この謎を解くため、WSJ誌の記者であるベン・フリッツ氏は直接ザック監督への接触を試みた。残念ながら監督本人との接触は叶わなかっようだが、そのかわり同誌には、監督の代理人とのやり取りが掲載されている。

「代理人の女性は、“スナイダー氏はディレクターズ・カット版についてお話ししないでしょう”と述べた。彼女によれば、『ジャスティス・リーグ』の劇場公開版はスナイダー氏は一度も観ていないというのだ。」

以前、ザック監督は『ジャスティス・リーグ』に登場する“ロシア人家族”の存在を把握していないことを認めていた。監督としてクレジットされた人物が映画本編を観ていない可能性が指摘されたわけだが、それが真実であったことが証明されたのだ。また、ザック監督の後任を務めたジョス・ウェドンは同誌の取材を拒否している

またベン・フリッツ記者は、『ジャスティス・リーグ』の制作に近しかった一人の人物からこんな証言も入手したという。

「ありもしない“奇跡のスナイダー・カット”について、話すのをやめようとしない人たちは誰なんでしょう?」

さらに同誌はワーナー・ブラザースの幹部にも接触。ポップカルチャーの祭典「San Diego Comic Con 2018」にて“ザック版”についての発表があるのではないかと一部で期待されていることについて、「『ジャスティス・リーグ』の“スナイダー・カット”に言及したり、そのほか別バージョンを発表したりする計画はない」との証言を得ている。ワーナーが予定しているのは、あくまで今後公開される『アクアマン(邦題未定、原題:Aquaman)』や『シャザム!(邦題未定、原題:Shazam!)』についてのプレゼンテーションにとどまるようだ。

ヘンリー・カヴィル、ザック版の有無にコメント

この“ザック版”をめぐる話題は、いまや『ジャスティス・リーグ』の出演者のもとに波及している。出演最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)のため、英Yahoo!のインタビューに応じたヘンリー・カヴィルは、“ザック版”の存在について「あるのかどうかわかりません」としながら、その内容についてはこう述べている。

「(存在したとして)どんな違いがあるのかもわからないんです。どちらの物語も語られる必然があって、しかるべき調整がされているものでしょう。ただ、そこに違いがあったりはしませんよ。(ザック版は)面白かったかもしれませんね、“あ、痒い所に手が届いた”みたいな。でも何かが変わるとは思えません。

そしてヘンリーの中では、すでに『ジャスティス・リーグ』は過去の作品となっているようだ。彼は「(完成版との間に)違いがあれば面白いでしょうけど、それがどうなっているかよりは今後のことに集中したい」と言い切っているのである。

映画『ジャスティス・リーグ』のブルーレイ&DVDは現在発売中。

Sources: WSJ, Yahoo
© JUSTICE LEAGUE and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © 2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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