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『ダイ・ハード』監督、キャプテン・アメリカと『マッドマックス』にブチ切れ!「ファシストが作った映画」と猛批判

かつて『プレデター』や『ダイ・ハード』などアクション映画の名作を世に送り出したジョン・マクティアナン監督が、昨今のハリウッド映画にお怒りだ。怒りの矛先は、キャプテン・アメリカ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に向けられている。

久々の登場、ジョン・マクティアナン監督

ジョン・マクティアナン監督は2003年の『閉ざされた森』から作品を製作しておらず、今回のプレミア誌への登場が久々のインタビューとなった。監督としてのキャリアは13年間止まっているわけだが、彼が『ダイ・ハード』シリーズの続編を撮らなかったのには理由があったのだ。

2006年、マクティアナン監督は私立探偵を雇って映画プロデューサーの電話を違法に盗聴し、さらにFBIに嘘の供述をした罪で逮捕された。自身の罪状をめぐり法廷で争ったのち、2013~2014年には約1年間刑務所に収容されていたのである。2013年には獄中から自己破産しており、まさに崖っぷちの状況にあったようだ。

ジョン・マクティアナン監督。御年65歳である。 http://www.premiere.fr/Cinema/News-Cinema/John-McTiernan-Comment-est-il-possible-de-regarder-un-film-qui-s-appelle-Captain
ジョン・マクティアナン監督。御年65歳である。
http://www.premiere.fr/Cinema/News-Cinema/John-McTiernan-Comment-est-il-possible-de-regarder-un-film-qui-s-appelle-Captain

しかしマクティアナン監督は現在もアカデミー賞の会員であり、ハリウッドの様子には注目しているという。それだけに現在のハリウッドに対する怒りが収まらないようだ。

「最近のハリウッド映画はファシストが作ってる!」

近年製作されたハリウッドのアクション映画について尋ねられたマクティアナン監督はこう話す。

「(近年のアクション映画は)企業の商品ばかりだね。ハリウッドがやってることは全部コミックの脚色で、そこにアクションはあっても人間はいない。ファシストが作ってる映画だよ。ファシストは、人生のシナリオを子どもたちに見せることが重要だなんて思ってない。いま起きてるのは映画史にも例のないことだよ。子どもたちは、大人の男女がどのようにふるまうべきか、道徳とは何かを映画を観て学んできたんだ。コミック・ヒーローはビジネスの産物にすぎない」

マクティアナン監督は、昨年の大ヒット作『マッドマックス 怒りのデスロード』も「まあ、企業の商品だよね(笑)」と一蹴する。シリーズ1作目の『マッドマックス』はとても素晴らしかったというのだが……。

『マッドマックス 怒りのデスロード』より。 http://www.telegraph.co.uk/film/mad-max-fury-road/review/
『マッドマックス 怒りのデスロード』より。
http://www.telegraph.co.uk/film/mad-max-fury-road/review/

監督がキャプテン・アメリカを観ない理由

マクティアナン監督の怒りはそれだけではなかった。コミックに対する“憎しみ”は先ほどの発言にもうかがえるが、キャプテン・アメリカについてはこう述べている。

「キャプテン・アメリカ……まったく笑えないね。アメリカ人の『男らしさ』への過剰な崇拝は、過去50年間に世界に起きたことで最悪なもののひとつだ。そのバカげた幻想のせいで何百人、何千人もの人間が死んだんだよ。なのにどうして『キャプテン・アメリカ』なんて名前の映画を観ることができるんだ?」

インタビューでマクティアナン監督は、政治的な理由で好きになれず、まともに観られない映画が多いことを認めている。キャプテン・アメリカもそのひとつで、実際に『ウィンター・ソルジャー』と『シビル・ウォー』は数分しか観ていないようだ。

もっとも、名前と精神性が相反する部分にこそ魅力があるとも言えるわけだが……。 http://www.filmofilia.com/the-avengers-teaser-and-final-scene-from-captain-america-11-hi-res-photos-51469/
もっとも、名前と精神性が相反する部分にこそ魅力があるとも言えるわけだが……。
http://www.filmofilia.com/the-avengers-teaser-and-final-scene-from-captain-america-11-hi-res-photos-51469/

監督の評価する映画、そして次回作は

マクティアナン監督は、『マトリックス』シリーズなどヒット作品を数多く手がけるプロデューサー、ジョエル・シルバーについて「彼はいつも本物のアクション映画をプロデュースしている」と述べた。またベン・アフレック主演・監督の『アルゴ』も高く評価しているようだ。

「ベン・アフレックはすごいことをやってのけた。『アルゴ』のアフレックはほかの映画で観るよりも優れた俳優だったよ。普通、監督自身が映画に出るときはその逆になる。アフレックは自身のエゴを横に置いて、まるでジョン・フォードの映画に登場する主人公のように役を演じていた。ヒーローでもなく、悪人でもなく、ベストを尽くしていたんだ」

さて、もちろん気になるのはマクティアナン監督の次回作だろう。監督によれば、準備中の作品は「子どものいない女性と母のいない子どもの物語」だという。全編をヨーロッパで撮影し、セリフを極力排して英語とフランス語の2バージョンを製作するようだ。もちろんバリバリのアクション映画とのこと、会心の一作に期待したい。

source: http://www.premiere.fr/Cinema/News-Cinema/John-McTiernan-Comment-est-il-possible-de-regarder-un-film-qui-s-appelle-Captain

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。