ジョニー・デップ映画、6つの『傑作の法則』を考察する

『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の評判が芳しくない。日本でもアメリカでも大コケしたわけではないが、大ヒットした前作と比べると、その売り上げは五割以下…。お世辞にも好調とは言い難い。

前作から失われたファンタジー…『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』レビュー

ストーリー性と引き換えに失ったキラキラ感『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』レビュー

売れる作品が正義とは口が裂けても言わないが、しかし本作に関しては、内容が批評家筋、観客口コミの両方で酷評されていることが、大いにセールスに影響していると言わざるをえない。

それにしても、近年のジョニー・デップ出演作のクオリティのバラつきは凄まじい。もっとデップの映画で面白いものが見たい!そこで今回は、デップ作品の「傑作の法則」を分析してみた。

 

1.単独主演ではないこと

『ブラック・スキャンダル』より http://www.slate.com/articles/arts/movies/2015/09/johnny_depp_as_whitey_bulger_in_black_mass_reviewed.html

『ブラック・スキャンダル』より
http://www.slate.com/articles/arts/movies/2015/09/johnny_depp_as_whitey_bulger_in_black_mass_reviewed.html

実はジョニー・デップというスターは、かなり自己顕示欲が強い。ジャック・スパロウの格好で学校を訪問した、という「いい人エピソード」も、裏を返せばナルシズムの裏返しとも取れる。それはスター特有のサービス精神とも言い換えられるが、劇映画においてはコントロールが難しい特性だ。

そこで、同じくらい強烈な個性に囲まれた『ブラック・スキャンダル』’15)や『フェイク』(’97)では共演相手との均衡により、上手に顕示欲を抑制している。 

2.ノワール/犯罪映画

『パブリック・エネミーズ』より http://www.rogerebert.com/reviews/public-enemies-2009

『パブリック・エネミーズ』より
http://www.rogerebert.com/reviews/public-enemies-2009

ジョニー・デップは潜在的に「暗い人」である。不幸な少年時代が示すように、本来的には内向的だし、繊細なのだ。そんな個性は、コメディ映画には向かない。重々しい犯罪映画でこそ、魅力が発揮されるのだ。『パブリック・エネミーズ』’09)や『フロム・ヘル』’01)の、どす黒いキラメキに見惚れてほしい。

3.ティム・バートン作品

『シザーハンズ』より http://hellogiggles.com/25-edward-scissorhands-magical-johnny-depp-film-imho/

『シザーハンズ』より
http://hellogiggles.com/25-edward-scissorhands-magical-johnny-depp-film-imho/

そんなデップの個性を見抜いていたのが、彼と同じように不幸な少年時代を送った映画監督、ティム・バートンである。バートンの映画に出ているデップは、監督自身の幻影なのだ。優しい心を持っていても世界に拒絶されている『シザーハンズ』’90)のエドワードが象徴しているだろう。中には、やや歪な作品もあるにはあるが、それでもデップだけはバートンの情熱によって輝くのである。

4.トラッシュな役柄

『ブレイブ』よりhttp://www.deppimpact.com/gallery/caps_brave.php

『ブレイブ』よりhttp://www.deppimpact.com/gallery/caps_brave.php

ロックミュージシャンとの交流もあるジョニー・デップは、基本的には反骨精神の人である。例えば、ネイティブアメリカンの血を引いていることから『ブレイブ』’97)というシリアスな社会派映画を監督した経験もある人なのだ。

そんな彼には貴族的な役柄は似合わない。『ギルバート・グレイプ』’93)や『耳に残るは君の歌声』’01)のような物質社会から疎外された役のほうが板について見える。 

5.モノクロ映画

『デッドマン』より https://jp.pinterest.com/pin/116108496613391091/

『デッドマン』より
https://jp.pinterest.com/pin/116108496613391091/

ジョニー・デップはジム・ジャームッシュ監督『デッドマン』’95)、ティム・バートン監督『エド・ウッド』’94)と2本のモノクロ映画で主演しているが、いずれもアメリカを代表する映画監督の代表作ともいえる充実の内容だ。カラフルできらびやかな世界よりも、重く沈んだ世界のほうが彼にはよく似合う(バートン作品を除く)。 

6.ジャンキー役

『ラスベガスをやっつけろ』より http://www.shadesdaddyblog.com/sunglasses-johnny-depp-wearing-fear-loathing-las-vegas/

『ラスベガスをやっつけろ』より
http://www.shadesdaddyblog.com/sunglasses-johnny-depp-wearing-fear-loathing-las-vegas/

デップは思春期に薬物中毒に陥り、治療していた時期がある。その経験が生きているのかどうかは分からないが、ジャンキーを演じるときの説得力はすさまじい。『ラスベガスをやっつけろ』’98)や『ブロウ』(‘01)の鬼気迫る演技を見てみよう。

 

さて、これらのポイントをデップ映画を見極める際の参考にしてほしい…とは書かない。どうせ、我々デップのファンは、彼が出ていればどんな映画だって見てしまうのだ。だから、せめてハリウッドよ。この記事を参考にして、デップをもっと傑作に出演させてくれ!!

About the author

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ポップカルチャーは世界を変える

TwitterでTHE RIVERをフォローしよう!


こちらの記事もオススメ

JOIN THE DISCUSSION

※承認されたコメントのみ掲載されます。