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『ジョーカー』暴力を誘発すると米国で物議 ─ 2012年『ダークナイト ライジング』銃乱射事件の映画館では上映なし、被害者遺族とワーナーが声明を発表

ジョーカー
TM & © DC. Joker © 2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.
ジョーカー
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

現在、トッド・フィリップス監督と主演のホアキン・フェニックスは、映画の公開に先がけてプロモーションを実施中。映画が暴力を誘発する可能性については本人たちも直接問われており、英The Telegraphの記者が「この映画が(主人公と)同じような人々を刺激し、悲劇を生む可能性もあります」とホアキンに述べた際には、その場でホアキンは席を離れ、およそ1時間後までインタビューに戻らなかったという。しかしその後、英IGNの取材で、ホアキンとフィリップス監督はそれぞれの考えを明らかにした。

トッド・フィリップス監督

私は(映画の)メッセージを受け止めてもらえることを信じています。だから異様に思えるのは、“私は受け止められますが、受け止められない人もいるかもしれませんよね”みたいに言われること。それって、他者を勝手に判断していることですから。過去にそういうことを言われた映画を挙げることはしたくないんですよ。“『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)もそういうこと言われてましたよね”なんて、ビックリするし、恥ずかしいことだから。」

ホアキン・フェニックス

「私たちの多くは、良いことと悪いことの違いを伝えることができます。そうではなく、自分が解釈したいように物事を解釈する人もいる。人は歌詞を誤って解釈するし、本の一節を誤解するものです。けれども僕は、観客に道徳を教えたり、善悪の違いを伝えたりする責任がフィルムメーカーにあるとは思わない。僕にとっては言うまでもないことです。」

なお米Associated Pressの取材にて、フィリップス監督は、オーロラでの銃乱射事件は「本当に、非常に恐ろしい出来事でした」とした上で、「映画館で起きた事件であることを除き、映画とは関係のない事件でした。映画が責められるべきではありません」とコメント。一方で『ジョーカー』については、「この映画は虚構の世界が舞台です。現実への祈り、現実の選択肢が出てくることはありますが、80年間続いてきた虚構の世界、虚構のキャラクターの映画なんです」と改めて強調した。

「むしろ気になるのは、白人男性的な有害さですね。『ジョン・ウィック』を観ましたが、白人男性が300人殺しても、みんな笑うし、ヤジを飛ばすし、歓声を上げている。なぜこの映画だと別の基準が持ち出されるんでしょう? 僕にはまるで筋が通っていないように思うんです。」

さて、あなたはこのコミック映画史上最大の問題作をどのように観て、どう受け止めるのか。映画『ジョーカー』は2019年10月4日(金)日米同日、全国ロードショー

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Sources: THR, Deadline(1, 2), Variety, IGN, AP, ComicBook.com, Telegraph

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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