ハリウッド黄金期を象徴する映画『オズの魔法使』（1939）で、弱冠17歳にしてスターダムを駆け上がった伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランド。波瀾万丈の人生と圧倒的なステージパフォーマンスで知られる彼女の、1968年冬に開かれたロンドン公演の日々を鮮烈に描いた映画『ジュディ 虹の彼方に』が2020年3月6日（金）に日本公開される。

ハリウッド黄金期を支え、波乱に満ちた人生を送り、わずか47歳で急逝した伝説の女優ジュディ・ガーランド。「まるで命を燃やし尽くすようだった」と証言されるステージの数々、そして知られざる実話を演じきったのは、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで支持され、『コールド マウンテン』（2003）でアカデミー賞助演女優賞に輝いたレネー・ゼルウィガーだ。このたび、ジュディ本人が憑依したかのような役づくりを捉えた写真が到着している。

物語は1968年、ミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディが、度重なる遅刻や無断欠勤により、映画出演のオファーも途絶え、巡業ショーで生計を立てているところから始まる。住む家もなく借金も膨らむばかり、どん底に立たされたジュディは、幼い娘と息子と暮らす幸せな生活のため、起死回生を賭けたロンドン公演に旅立つ。

本作が3年ぶりの主演作となるレネー・ゼルウィガーは、ジュディの大ファンであること、1969年当時のジュディと自身の実年齢が同じという奇跡から、本作にかける思いは人一倍。リハーサルの1年前からトレーニングを開始し、ジュディの歌や独特な訛り、声色、そしてステージパフォーマンスをマスターするために過酷な訓練を重ねた。『シカゴ』（2002）でミュージカル映画の経験はあるものの、全曲を自ら歌い上げる熱演を披露。ジュディの奔放で愛すべき女性像、圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつけるスターとしての姿の両面を体現した。ジュディが見てきた希望と絶望、全身で味わった歓喜と痛み。映画のラスト7分、「オーバー・ザ・レインボー」が観る者すべての心に届く。

2019年9月の第44回トロント国際映画祭では、上映終了後に会場が熱狂に包まれ、9月27日にアメリカで限定公開されると、上映館数がひと桁多い作品群とも肩を並べ、全米興行収入ランキングでベスト10入りを果たし、本年度アカデミー賞の有力候補に躍り出た。共演者は『ラ・ラ・ランド』（2016）フィン・ウィットロック、「チェルノブイリ」（2019）ジェシー・バックリー、『ハリー・ポッター』ダンブルドア役のマイケル・ガンボンほか。ブラッド・ピット製作総指揮『トゥルー・ストーリー』（2015）、「嘆きの王冠～ホロウ・クラウン～／リチャード二世」（2012）のルパート・グールドが監督を務めた。

ジュディ・ガーランド

1922年6月10日生まれ、1969年6月22日没、享年47歳。
『オズの魔法使』（1939）で若くしてスターの仲間入りを果たし、1954年版『スタア誕生』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、ハリウッドの黄金期を支えた。日本では出演作や音楽アルバムのほとんどが未公開・未発売であるため、その認知度は決して高くないが、アメリカやイギリスでは他の追随を許さない圧倒的な演技力とパフォーマンスなどで根強い人気を誇る。トップスターとして頂点を極める一方、プライベートでは5回の結婚、フランク・シナトラなど数多くのビッグネームとも浮名を流して注目を浴びた。しかしその一方、少女時代から受けていた、スタジオによる興奮剤などの薬物コントロールが原因で不眠症をはじめとした様々な不調に悩まされた。薬物の過剰摂取により、47歳でその生涯に幕を閉じている。

映画『ジュディ 虹の彼方に』は、2020年3月6日（金）全国ロードショー。