【ネタバレ】『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』エンディング解説 ─ なぜ人間主体の物語になったのか、「シリーズを前進させるため」と監督

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『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』エンディング解説

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)で恐竜たちが人間界に解き放たれてから4年後の物語。世界の至る所で恐竜たちが暮らし、“ウィズ・ダイナソー”の時代に突入していた。
シリーズの主人公オーウェン・グレイディ(クリス・プラット)とクレア・ディアリング(ブライス・ダラス・ハワード)は、クローン少女として世界中から狙われていたメイジー・ロックウッド(イザベラ・サーモン)を匿いながら山脈の麓で隠遁生活を送っていた。近所の山林には、オーウェンとは特別な絆で結ばれているヴェロキラプトルのブルーとその子どもも暮らしていた。
一方、『ジュラシック・パーク』シリーズに登場した古植物学者のエリー・サトラー(ローラ・ダーン)は全米各地で大量発生していたイナゴによる害虫被害の問題にあたっており、早くも黒幕がバイオシン社であることを察する。サトラーは旧友のアラン・グラント(サム・ニール)を訪れ、バイオシン社の関与を立証するため研究所からDNAを入手する手伝いを依頼するのだった。

そんな中、メイジーとブルーの子どもがある組織によって連れ去られてしまう。組織を雇ったのはバイオシン社のCEO、ルイス・ドジスンだった。ドジスンは映画『ジュラシック・パーク』に登場したインジェン社のライバルにあたる会社「バイオシン・コーポレーション」で勤めていた男。遺伝学者兼スパイとして登場していたが、あれから(おそらく卑怯な手段を使って)恐竜事業で成功を収めていたようだ。
メイジーを追うオーウェン&クレアとDNAサンプルの入手を試みるサトラー&グラントは、最終的にバイオシン社の研究所(サンクチュアリ)へとたどり着く。スパイとしてバイオシンに潜入していたラムジー(ママドゥ・アティエ)とイアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)の協力により、サトラーたちはDNAの採取に成功。途中、研究所から逃げ出したメイジーと合流する。オーウェンたちは元空軍パイロットのケイラ(ディワンダ・ワイズ)の協力を得て、道中で肉食恐竜最大のギガノトサウルスと鉢合わせながらもなんとかメイジーと再会することができた。

研究所では火だるまと化したイナゴが大脱走し、近隣の山林では山火事が広がっていた。火の手が上がり、脱出が困難となる中、再びギガノトサウルスと対峙することになったオーウェンたち。そこにシリーズの名物恐竜T-レックスが現れ、なんとかその場を脱出することができた。一方、イナゴのDNA改変で世界の食糧事情を一変させようとしていた悪党ルイス・ドジスンはエリマキトカゲのようなディロフォサウルスの群れに襲われ、なんとも皮肉な最期を遂げたのだった。
世界飢饉を引き起こす恐れのあったイナゴは、悔恨の念に苦しんでいたヘンリー・ウー博士(B・D・ウォン)が遺伝子を書き換えることでなんとか一件落着。恐竜との共存問題も一歩大きく前進し、国際連合はバイオシン社の跡地を生息地として認定することに。物語は、メイジーの母親にしてクローン技術を生み出した科学者シャーロット・ロックウッドがかつてビデオに遺した言葉によって締めくくられる。
「哺乳類の誕生は6,500万年前。まだ幼い。地球は人類のもの?人類はもろい生命体システムの一部。生存を望むなら信頼し合い寄り添えば、共存できる。」
人間と恐竜の共存をテーマに、いち時代に区切りをつけた『新たなる支配者』。物語は、これまで以上に人間キャラクターに重きが置かれていたようにも思えたが、製作陣は『ジュラシック』シリーズを継続させるため、これまでとは違うアプローチを試みていた。