Menu
(0)

Search

【ネタバレ】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』イアン・マルコム博士の登場シーン、脚本家&監督が解説

ジュラシック・ワールド/炎の王国
(C)Universal Pictures Credit: Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

スティーヴン・スピルバーグが生んだ『ジュラシック・パーク』(1993)から25年。最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)には、シリーズのファンが長らく待ち望んだ“カムバック”が用意された。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)以来21年ぶりとなるイアン・マルコム博士の復帰である。演じるのは、もちろん21年ぶん歳を重ねたジェフ・ゴールドブラムだ。

Empire誌のポッドキャストにて、本作の脚本・製作を兼任したコリン・トレボロウ、そしてJ.A.バヨナ監督が、マルコム博士の再登場に込められた意図を語った。

注意

この記事には、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のネタバレが含まれています。

ジュラシック・ワールド/炎の王国
© Universal Pictures

イアン・マルコム博士にしか担えないもの

21年越しの再登場となった『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で、イアン・マルコム博士は物語にどう関わるのか? このポイントは事前のプロモーションで――予告編に博士は登場するにもかかわらず――徹底的に伏せられてきた。

それもそのはず、本作のマルコム博士は、いうなれば『ジュラシック・ワールド/炎の王国』という作品を一歩引いた目線で見つめる立ち位置にあったのである。映画の冒頭で火山の噴火が迫ったイスラ・ヌブラル島から恐竜を救うべきかどうかを助言した博士は、その結末において、恐竜が外界に解き放たれる中、世界が人間と恐竜が共存せねばならないようになること、そして新たな時代の到来を宣言するのだ。

トレボロウはマルコム博士を再登場させた理由について、本作には「彼(マルコム)が提示できる倫理的な問題が存在したから」だと述べている。なぜ製作陣は博士をイスラ・ヌブラル島へ戻さず、作品のテーマを支える役割に絞ったのだろう?

「(マルコムが島を訪れるのは)つまらない、そんなものはデタラメだと思っていました。僕は(『ジュラシック・パーク』の)キャラクターにすごく敬意を持っていますし、彼らが自然にやらないようなことはさせたくなかったんです。
この映画において、マルコムはアル・ゴア(編注:地球温暖化の危険を訴えてきた政治家。『不都合な真実』で知られる)のような存在。彼は予測できないことを警告していましたが、いまや私たちはその様子を目の当たりにしているわけです。素晴らしかったのは、そこでマイケル・クライトン(原作者)の小説に戻ることができたこと。あのセリフの半分は、小説から直接持ってきているんですよ。」

少ない出番ながら物語の本質を観客に突きつけ、さらにマイケル・クライトンによる小説へと回帰する。物語の外部にある情報すらも一身にまとって登場する役回りは、『ジュラシック・パーク』シリーズの“レジェンド”であり、どこかエキセントリックな雰囲気を漂わせるマルコム博士≒ゴールドブラムだからこそ担えたものだろう。

バヨナ監督は、本作におけるマルコム博士の役回りを「重要かつ意義深いもの」だと述べている。

「この映画はコントロールを失うことを描いています。僕たちは物語の中でたくさんの一線を超えていき、そしてイアン・マルコムが戻って来ざるを得なくなった。なぜなら彼は、いつでも我々に善意の声を語ってくれるからです。正しいこととは何なのか、誤っていることとは何なのか。」

ちなみに2021年公開『ジュラシック・ワールド3(仮題)』では、サム・ニール演じるアラン・グラント博士、ローラ・ダーン演じるエリー・サトラー博士の再登場が示唆されている。もしスクリーンへの復帰が実現するとしたら、二人はいったいどんな役割を担い、『ジュラシック・ワールド』シリーズにどんな側面を与えてくれるのだろう?

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は2018年7月13日より全国の映画館にて公開中

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト:http://www.jurassicworld.jp/

Source: Empire
(C)Universal Pictures Credit: Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。