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恐竜ドラマどう動く ─ 『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウにインタビュー

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

『ジュラシック』シリーズ待望の最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が、いよいよ7月13日より日本公開される。

巨匠スティーブン・スピルバーグが恐竜に命を吹き込んだシリーズ第一作『ジュラシック・パーク』(1993)は、公開されるや否や全世界の観客を魅了。1997年、2001年には続編が製作された。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

そして2015年、本シリーズの新三部作第一弾として公開された作品が『ジュラシック・ワールド』だ。同作の監督に大抜擢されたのは、『彼女はパートタイムトラベラー』(2012)で注目を集めたコリン・トレボロウ。今作『炎の王国』では製作総指揮および脚本を担当している。THE RIVERでは、コリン・トレボロウに取材を敢行し、今作でのテーマや今後の展開について詳しく話を聞いてきた。

恐竜と人間の関係は、如何に発展するか

──『炎の王国』では、シリーズのどの過去作よりも人間ドラマに重きを置いていると感じました。その理由や背景などがあれば教えてください。

今回のテーマのひとつに「恐竜と人間との関係」というものがあります。また、恐竜に対する人間の感情移入というところも追求したかった。そして人間同士の思いやりや共感、あるいは人間としての責任というところをすごく描きたかったんです。その結果、非常にドラマチックな作品に仕上がったと思います。

前作(『ジュラシック・ワールド』)は2時間たっぷり皆さんに思いっきり作品を楽しんでもらおうという思いで作りました。そこから今作は、さらに豊かで奥深い物語を作ることによって、人間と恐竜との関係を更に追及するという趣向の作品になります。そして第三作では、登場人物がさらに今後どうなっていくのかという点を描きたいですね。

──人間同士の関係、そして確かに人間と恐竜の関係にもドラマを感じる部分が多かったです。

キャラクター2人と恐竜との関係は、シリーズを通して変化しています。クレアはもともと、恐竜のことを書類上の数字としてしか考えていませんでした。でもその後、恐竜にも命があるんだと気づきます。そして二作目では恐竜保護団体を作るまでに成長するのですが、恐竜を生み出した親として責任を感じる部分は続くと思います。

一方オーウェンは、最初は恐竜の行動に興味を抱いて研究していました。でも、その研究を進めたが故に恐竜が軍事利用されてしまい、そこに責任を感じています。人間と恐竜との距離感、そして恐竜への責任は二人の中でも変わりましたし、これからも解決策を探し続けていくのだと思います。

ジュラシック・ワールド/炎の王国
(c) Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──『炎の王国』では、夜に恐竜が襲ってくる場面が多いですね。

(『ジュラシック・ワールド』)第一作では、朝から夜まで一日の経過を追っていました。そして今作では数日間の出来事を追っています。最初の方には三年前の出来事も描かれていますが。

オープニングでは、いわゆる『ジュラシック・パーク』っぽいシーンを見せたかった、という意図があります。今作は新境地に向かっているところなんです。皆が慣れ親しんだ『ジュラシック・パーク』の世界観をまず初めに見せ、そして次に進む形にしたかった。様々な出来事が起き、最終的にはまた夜の場面に戻る。そこで一周まわるという感じですね。

──パンドラの箱を開けた人間が、それをどのように収束させるかというのもテーマのひとつではないかと感じました。

前作では最後に島で大惨事が起こり、恐竜たちが解き放たれてしまいます。ですがまだ恐竜たちは島の中にいました。そういった意味では、真の大惨事には至っていません。

そこから、さらに物語は前進しなければならない。恐竜を我々の世界に連れてくるということが必要だったんです。このことを伝えるために、この第二作『炎の王国』が必要だった。今作はまさにプリズン・ブレイクといったチャプターになるわけですよね。我々にとって当たり前だった世界が、もはや当たり前ではなくなった。今、そこまでストーリーを展開したところなんです。

ジュラシック・ワールド/炎の王国
(c)Universal Pictures (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──今回はよりダークなテーマへ挑戦されていますね。

三部作の二作目ということで、よりダークなテーマを扱えるし、より深いところまで掘り下げることができる作品だと思います。また一作目を観た子供たちも、三年もあれば歳を重ね、より複雑な物語を理解できるところまで成長していますよね。

また、監督に起用したJ.A.バヨナは、ホラーやサスペンスを描くことに長けた人物です。どうすれば観客を怖がらせることができるか、その表現や引き出しをたくさん持っています。なので、彼の本領を発揮できるような環境を整えることが僕の仕事だと思っていました。

J.A.バヨナ監督の起用は「簡単に決まった」

──監督にJ.Aバヨナを起用するというのは、トレボロウさんのアイディアですか?

はい、僕です。スピルバーグも製作のフランク・マーシャルもJ.A.バヨナ監督の作品が大好きということで、すんなりと決まりました。

──今回ご自身が製作総指揮・脚本にまわり、監督をJ.A.バヨナにバトンタッチされた理由は何でしょうか。

観客にこのシリーズを愛してもらうため、二作目で、映像や表現といった面で違うものをもたらしてくれるような人を取り入れることが非常に大事だと思ったんです。物語はそのままに、映像的な部分や表現で違う切り口にしたかった。僕自身もすごく大好きなシリーズ三部作において、監督を交代して非常に成功したと思います。

また「三作目を監督してくれ」というスピルバーグの依頼にイエスと答えた時点で、第一作と第三作の間に違う人を入れるというのはすごく良いアイディアだと思ったんです。それで、僕が一番気に入っている映像監督にもお願いしました。実際に一緒に仕事をしてみて学んだ点はすごく多かったですし、自分自身も監督としてより成長できたように思います。

あのキャラクター、再登場はあり得る?

ジュラシック・ワールド/炎の王国
(C)Universal Pictures Credit: Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──『炎の王国』では、イアン・マルコム博士の再登場が非常に注目されています。本編でマルコム博士が放つセリフひとつひとつには非常に説得力がありました。マルコム博士は次作にも登場するのでしょうか。また米国で行われた『ジュラシック・パーク』シリーズ25周年の記念イベントには、第一作でエリー・サトラー博士を演じたローラ・ダーンも登壇していましたね。サトラ―博士が今後シリーズに登場する可能性はありますか。

まだ具体的には何も言えないんですよね…。僕自身は彼らと個人的にもすごく良い関係で、声をかけたら(イベントに)来てくれたんです。だから、えーっと…(笑)、とにかく、彼らは非常に重要なキャラクターだと思います。

──クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードは、往年のスクリューボール・コメディ(1930年代~40年代にかけて米国で流行した、ロマンティック・コメディ映画)を意識して演技していたようですね。

それに関しては、クリスとブライスの関係がそのまま現われていると思います。あの二人はいつもあんな感じで、その関係が映画にも反映されています。二人が演じるキャラクターは、今後劇中においても成長していきます。また、クリスとブライスはプライベートでも子どもを持っていますよね。二人とも親になり人間的に成長すると、それが役柄にも反映されて今後変化が生じるのではないかと思います。

──メイジー役のイザベラ・サーモンは、『ジュラシック・パーク』でレックス役を演じたアリアナ・リチャーズに似ている気がしました。これって偶然ですか?

イザベル・サーモンをキャスティングしたのはJ.A.バヨナ監督なんです。偶然顔が似ていたのかもしれませんし、もしかしたらバヨナ監督が考慮していたのかもしれませんね。いずれにしてもイザベラは素晴らしい女優なので、今後より活躍していくと思います。

──最後に、今作の公開を楽しみにしている日本のファンへ一言お願いします。

ぜひ楽しんでもらいたいです。僕たちは世界中の皆さん、特に家族に向けて作品を作っています。皆さんには楽しんでいただきながら、いま我々の生きる世界で起きている様々なことを作品を通じてお伝えできればと思っているんです。日本は映画の公開がどの国よりも遅れてしまうことが多いですが、このシリーズにいつまでも関心を持っていただけることは嬉しいです。この作品を楽しんでいただけることを心から願っています。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は、7月13日(金)より日本公開。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト:http://www.jurassicworld.jp/

イアン・マルコム博士は「良心の声」 ─ 『ジュラシック・ワールド/炎の王国』J.A.バヨナ監督インタビュー

(取材、文:まだい)

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THE RIVER編集部THE RIVER

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