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『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』コリン・トレボロウ監督、伝説キャラ復活続くハリウッドの風潮をどう見る?【インタビュー】

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
© 2021 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

この夏注目の映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、シリーズ第1作『ジュラシック・ワールド』(2015)を手がけたコリン・トレボロウが監督として帰ってきた。フランチャイズ生みの親スティーヴン・スピルバーグからバトンを受け取り、2010年代に恐竜王国を蘇らせた俊英は、「ジュラシック」シリーズの集大成となる本作とどう向き合ったのか。

THE RIVERはトレボロウ監督との単独インタビューを実施した。『ジュラシック・ワールド』シリーズには製作総指揮・脚本としてもクレジットされるほか、アニメ「ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ」(2020-)も1年半で4シーズンを手がけ、思えば『ジュラシック・ワールド』に付きっきりの10年間を過ごしてきたトレボロウ監督。『ジュラシック・パーク』シリーズから復帰するレジェンド3人や新恐竜、シリーズの未来など、熱い思いを余さず語ってくれた。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
(c) 2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』コリン・トレボロウ監督 単独インタビュー

── トレボロウ監督、こんにちは。

こんにちは。元気ですか?

── 気分は最高です。ただ、2018年あたりから恐竜の姿が見つからなくて……ちょっと寂しさもありますね。

恐竜たちはそこにいたんですか?今はどこ行っちゃったんでしょうね(笑)。

── どこにでもいるはずなんですけどね(笑)。

そうですよね、街を出たわけですから(笑)。

── さておき、監督も元気にされていますか?

良い調子ですよ。ちょうど病み上がりではあるんですけどね。コロナ関係ではないですよ。

── そうなのですね。さっそくですが、監督は1作目『ジュラシック・ワールド』ぶりにメガホンを取りました。この決断までには紆余曲折があったと思いますが、ご自身で始めたシリーズを終わらせるにあたり、どのようなお気持ちでいますか?

良い質問ですね。(シリーズは)個人的にも大切な存在です。終わらせるということもそうですし、この8年間で成し遂げたことを振り返ってみると、エモーショナルになります。『ジュラシック・パーク4』について(プロデューサー)のフランク・マーシャルから電話を受け取ったあとに企画に取り組み始めてからだと9年になりますからね。映画作りに携わった人だけでなく、おもちゃやレゴや「ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ」なども含め、ご一緒した全ての方のことを誇りに思っています。そうした全てのものが、映画以外のところでも子どもたちが恐竜について考える助けになったと思います。特に、映画が溢れた時代においては。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
(c) 2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.

ギガノトサウルスの着想、シリーズのオリジナリティ

── これまで古生物学者のスティーブ・ブルサット氏や、アニマトロニクス担当のジョン・ノーラン氏ともお話してきたのですが、2人は口を揃えてギガの愛称で知られるギガノトサウルスへの興奮を明かしていました。やはりギガノトサウルスが本作一番の見どころとなるのでしょうか?

意見は人それぞれではありますが、皆さんもギガノトサウルスのことをすごく気に入ると思いますよ。でも他にもいろんな恐竜がいるんです。ずっと露出を控えている恐竜も今思いつくことができますし、サプライズもあります。ギガノトサウルスもお気に入りの一つではありますけど、恐竜たちもお気に入りを目指して競い合ってますよ(笑)。

── 楽しみですね。ところでギガノトサウルスについて、監督はジョーカーのようだとおっしゃっていましたが、予告編ではギガとT-レックスが激突しているシーンもあります。もしギガがジョーカーなら、T-レックスは誰でしょう?例えば、バットマンとか?(笑)

それはどうでしょうね(笑)。恐竜をデザインする上で、僕はアーティストと一緒に彼(ギガ)の顔にはどんなペイントがあるだろうか?と話し合っていました。当時は、アーティストもジョーカーのようなホラー要素のあるメイクにインスパイアされたんです。実際に出来上がったのを確認したら、すごく似ていたので。僕はいつもアーティストのインスピレーションになるような創作的なイメージを作るんです。(ジョーカーは)一つの着想というだけで、ほんの断片にすぎません。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
© 2021 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

── この映画は『007』『ボーン』シリーズのようなスパイ映画になるともお聞きしました。また、複数のキャラクターの物語が並行していく群像劇という面では、最近の『アベンジャーズ』『スター・ウォーズ』シリーズをも彷彿とさせられます。本作にはこうした現代の大作要素が感じられる中で、『ジュラシック・ワールド』のオリジナリティを支えているのはどのような点にあると思いますか?

『ジュラシック』フランチャイズには、同じことの繰り返しにならないためにも前に進んで変化をもたらすという要求もあったので、この映画はすごく興味深い立ち位置でした。一方で、この映画ではオリジナルのファンが懐かしく感じ、浸れるようなことも多く盛り込んでいます。僕の直感としては、懐かしの顔ぶれを見るだけでノスタルジアは生み出されると思ったので、ほかに何をやるというわけではなく、ただ物語を前に大胆に進めて、レガシーのあるキャラクターをそれまでに見たことのないやり方で新しい冒険に織り交ぜることを意識しました。

僕は自分だけのオリジナル映画を作りたいと常に思っています。それこそ僕がフィルムメーカーを志したきっかけですから。『ジュラシック・ワールド』や『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』を含め、自分が作った映画には誇りを持っています。全ての作品にオリジナリティを感じていますし、もちろん土台はお借りしましたけど、新しい世界を新しい方向性と共に作り出さなければいけませんでした。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
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伝説キャラの復帰、ハリウッド大作近年の風潮をどう見る?

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
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── 過去作のキャラクターを現代のシリーズにカムバックさせるという方式は、マーベルやDCを見れば明白なように、現代映画における1つの風潮となりつつあります。本作でも『ジュラシック・パーク』の3人が帰ってきますが、こうした潮流は意識されましたか?

 製作当時にその風潮が必ずしもあったわけではないと思います。『スパイダーマン』が公開される前にこの映画を撮っていましたから。ある時代の物語に触れて育ってきた特定の世代がいるわけなので、こういう風潮は個人的にすごく理解できます。彼らにとっては象徴的な存在なんですから。そうした映画のなかには、何かしらの信念を形成したり、人生の道を開いたりしたものもあります。風化に耐えて物語が生き続けるというのはめったに起こることではありません。それでも、幾つかのクラシックな映画はそうあってきた。アジアの神話や聖書といった古代の物語がそうであったように。

この映画で過去のキャラクターを蘇らせたのには、物語というのは力強いものであり、貴重なものであるということに気づいてもらいたいという思いがあったからです。物語とは人にとって重要な存在で、毎日のように現れ出てくるものではないんだと。僕には、素晴らしい俳優たちとご一緒して彼らを祝福しながら、物語を続けたいという気持ちがありました。だからこそ、今の風潮にもうなずけます。

── 『ジュラシック・ワールド』シリーズは『アバター』のように、映画の物語の“その後”の世界への想像を掻き立てられます。これからも物語が続いていくと考えた時に、本作では「終わり」をいかにして描くことを意識されたのでしょうか?

この映画で、30年間伝えてきた物語が終わります。地球で恐竜が人間と共存しなければいけないという所でシリーズを終わらせることが、僕にとっての物語の完結でした。もう一つ重要だったことがあります。もしこのような映画が大好きな子どもなら、人間と恐竜が共存する世界を観たらもっとその世界を望むはずですよね。そうした機会を、これからの未来を担うフィルムメーカーのために作りたかったのです。それはただの繰り返しではなく、色んな人が何度も何度も島へと足を運ぶようなものになる。フランチャイズを根本的に作り変えるというのは非常に大胆でリスクのあることではありましたけど、たくさんの人に興奮を与えて、何か完全に新しいものを考えてもらえたらなと思っています。これを目指して作品は構想されましたから。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
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今後は「次世代」のために

── 本作以降、フランチャイズに関わり続けたいと思いますか?

ぜひ、誰か他の方にバトンを渡したいと思っています。そして自分が受けたメンターシップを今度は与える側になりたいですね。僕がフランチャイズに参加した時、フランク・マーシャルやスティーヴン・スピルバーグといった方からの支援は本当に重要でした。僕も大胆な物語のビジョンを持っていたので、それまで蓄積させてきた失敗の知識を持っていた彼らも、「こういう失敗はしないようにね。こうしたらいいんじゃないか?」というように声をかけてくださりました。そういうのを僕も次世代にシェアしていきたいです。

── 最後に、本作は日本では7月29日に公開を予定しているのですが、それまで日本のファンはどうしたらいいか、何かアドバイスをいただけますか?

なんと、これは困ったな。そうですね、日本にいるのであれば、できることはたくさんありますよね(笑)。そうだな……僕だったら、世界でも有数の美しい国にいるんだから、ただ楽しく過ごしてくださいって言いますかね。そして映画が公開されたら、ぜひ観に行ってください。あとは夏だから、ビーチへ行きましょう(笑)。

── お伝えしておきます(笑)。本日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとう!

映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は2022年7月29日(金)全国ロードショー。

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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