【レビュー】映画『神のゆらぎ』は、観るものによってテーマが「ゆらぐ」快作

映画『神のゆらぎ』評価・感想

映画好きであれば誰しもが耳にしたであろう新星 グザヴィエ・ドラン
彼が2012年に出演したダニエル・グルー監督作。
3組の男女 1人の男 ある飛行機事故を通し、人間の生き方 その葛藤を描いた作品だ。

あなたには信じる神がいますか?

人それぞれの信仰心にとやかく言うつもりはない。
とやかく言われる筋合いもない。

ぼくはと言えば無宗教である。
お正月のタイミングや、出先で立ち寄ったお寺や神社では神様にお願いをする都合のいい奴だ。
都合がいいのも弁えているので、「神様 ◯◯を叶えてください」なんて図々しいお願いはせず「神様 ◯◯を頑張るので見ていてください」とお願いする。

でっち上げの神様を作ることで、自分を鼓舞しているだけなんだと思う。

劇中にはぼくのような信仰心のない人もいれば、生き方すべてが信仰あってこそのような人もいる。

己が信ずる宗教の教えが 生きていく上での指針になっているのだと思う。
その支えがあるからこそ生きていける。
自分を戒められる。
死後の世界へ至る際に安心できる。

想像の域で言っていますが、人をより良き道へと誘うためにあるものなんだと思います。

しかし、劇中で描かれているのは 信仰心故に苦しむ者の姿である。

そんなルール破っちゃえよ!とぼくは思ってしまうのだが、そこが信ずる神がいるかいないかの違いなのかもしれない。

目の前の大切な人が死ぬ
それを助ける手立てがある
しかし、それをしてはならない
破れば追放される

それを「試練」という言葉に置き換えるのかもしれないが、人を幸せに導くはずの教えが人を苦しめるものになっていいのだろうか。

だが、無宗教だと言っておきながら 死後の世界があると考えるとぼくは不安に駆られることがある。
現世での信仰心 良き行いが死後において活きるというのなら、神を信じ 目の前の大切な人を助けずにいることも大切なことのように感じられてしまう。

人の心理を巧みに利用しているだけじゃん!と感じもするが、やっぱり100%そうだと言い切れない自分がいる。

映画「神のゆらぎ」レビュー

グザヴィエ・ドラン演じる 教えのために白血病の治療を拒む男
その恋人である看護師
信仰心故に苦しむ2人とはまったく別の問題で苦しむ他の登場人物達。

老齢でありながら互いに不倫をしている男女
夫婦仲の上手くいっていないアル中の妻とギャンブル狂の夫
過去にある過ちを犯したドラッグの運び屋

神を信じる者と信じない者
信じるものからしたら悪行の限りを尽くしているヤツらばかりだが、映し出される彼らの苦しむ姿に大差はあっただろうか。

何を信じ生きていようが、「生きてる」ことに「苦しんでいる」ことに変わりはない。

神による恩恵の有無も目には見えない。

あらゆる出来事を、神の教えに沿って解釈するかそうでないかの違いでしかない。
どちらが正しいだとかを判断できるものでもない。

ただ、現世ではすべてが皆に等しく起こり得る。

死後の心の安寧
目の前の大切な人

そのどちらかを選択しろと言われたのなら、即座にできる人もいると思う。
ぼくはどちらを選ぶのだろう。
神を持たないぼくは後者を選ぶ気がするが、死後の心の安寧を願う想いも確かに持っている。

それぞれに無縁であった登場人物達が交わる瞬間の心地良さ、その巧みな脚本
実人生にも考えを及ぼすストーリー テーマ性

宗教 神 ぼくら自身がそれぞれ違うように、この作品を観て感じる想いも人それぞれ。

ぼくなりに感じたことを綴りましたが、あなたにはあなたなりの感じ方があるはずだ。

どれも正解であり不正解なんだと思う。

死に至る時にしか確証は得られない。

ぜひ劇場であなたなりの感じ方をしてきてください。

あなたは何を考えますか?「信仰」の視点で観た『神のゆらぎ』レビュー

青春★★
恋 ★
エロ★
サスペンス★★★★★
ファンタジー★★★
総合評価:B

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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