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映画『君の名は。』振り返り考察レビュー

新海誠監督の話題作『君の名は。』は桜や雪のシーンや古典の万葉集など、新海監督の過去の作品をイメージさせるシーンはチラホラありますが、エンタメ性が強くなっています。
『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』ではピアノのメロディーが際立っていましたが、音楽はREDWIMPSの曲を4曲も入れてストーリーを引っ張っていました。
歌詞とシンクロさせる手法は同じですが、躍動感があり鑑賞者を飽きさせません。
過去の作品が好きな方はこの映画も好きで、過去の作品が合わなかった方でもこの映画は好きなのではないでしょうか。
監督は「切ないね」とよく言われるそうですが、ちょっとニュアンスが違うとのこと。
「さみしい」という感情がベースになっている、だから誰かに手を伸ばしたくなる、とコメントされています。(あえて「さびしい」という発音ではなくて)

「ずっと何かをさがしている」

「ずっと誰かをさがしている」

“さみしい”を感じながら鑑賞してみるものいいかもしれませんね。

【注意】

この記事は、映画『君の名は。』ネタバレ内容を含んでいます。

「より集まって形を作り、捻じれ、絡まって、時には戻って、途切れ、それが組紐。それがムスビ。それが、時間」
このフレーズが全てを物語っています

なぜ入れ替わりが起こったのか【宿命と運命】

過去に夢の中で入れ替わりがあった、というおばあちゃんの言葉から、宮水家は代々“入れ替わりの能力”があったと思われます。
これは小説にも「そうなのかも?」と書かれていました。
三葉は巫女で、彗星の隕石の落下から糸守町を守るというのは宿命だったのです。
神様とつながっていたんですね。

では、なぜ瀧だったのでしょうか。
組紐、髪紐のように赤い糸で結ばれた運命の人だったからです。出会うべくして出会い、たとえ離れても、つながる人とは再びつながるようになっているのです。これが“縁”であり“ムスビ”です。
いくら出会いたいと思っても縁のない人とは出会えない。だからこそ出会いは奇跡なのですね。

なぜ入れ替わりがストップしたのか

亡くなる前の2013年の三葉と、現在2016年の瀧が「入れ替わり」を繰り返していました。
それが途切れたのは、あのお祭りの日に彗星の隕石が落下して三葉が死んでしまったからです。
三葉が亡くなったことを瀧が知ってからはスマホの文字も消えていきます。
お祭りの日に三葉が髪を切ったのは、東京へ初めて瀧に会いに行き、電車の中で自分のことを解ってくれなかったことでショックを受けていたからです。

まだ入れ替わりを経験していないので瀧が解らないのは当然ですよね。
失恋をすると女子は髪を切るとよく言われますが、そんな心境だったのでしょう。

口噛み酒の力

カルデラ型の窪地ご神体の巨木。そこにある小川の先はあの世のようなところ。
先へ進むと、祭壇に置いてある三葉と四葉の口噛み酒。三葉の口噛み酒を飲んだ瀧や背景の描写には圧倒されました。新海マジック炸裂です!美しさと、すさまじさと、宇宙との一体感と…。

このシーンは『インターステラー』で、父親が高レベルの5次元の波動とぴったり合い意識が本棚の裏へ行けたのと同じです。
私たちがいる世界は3次元で、4次元は時間が停止した世界。5次元は時間の概念のない世界で、とても精神レベルが高い、肉体のないエネルギー体が存在する世界と考えます。
瀧は「自分を犠牲にしてでも三葉を救いたい」という意識の高い波動が、口噛み酒(三葉の魂そのもの)を飲むことによって5次元の波動と合った。
だから望み通りに入れ替わりを実現させることができたと推察します。
“あの世のようなところ”に来た瀧は、三葉の口噛み酒を飲まなかったら死んでいたのかもしれません。
そして、三葉の魂が体に入ったことで三葉の過去の体験がどっと流れ込みます。
信じる信じないは別として、人は死ぬ前に自分の今までの人生が走馬灯のように見えるそうです。似ていますね。

記憶とは?【脳と魂】

入れ替わったのち自分の体に戻ると、その記憶がだんだんと薄れていく三葉と瀧。
脳が忘れている状態です。魂は覚えているから、なんとなく大事なことを忘れているような気がしてたまらないのです。
これは直感というものです。
記憶をつかさどるのは脳ですが、記憶が永遠に残る場所は魂(心)ではないでしょうか。
記憶というものは脳は忘れても魂は忘れない。

すれ違いばかりだった瀧と三葉…。
魂が記憶しているから直感(心の声)が働いて再び二人は会えたのです。
「忘れちゃダメな人」「誰?誰?誰?」
「忘れたくない」を何度も聞いているうちに、なぜか「忘れないで!」という叫びにも聞こえてきました。

視野を広げて考えると、3.11はもちろん原爆や戦争、自然災害などで散っていった命たち、その方々や出来事を忘れてはいけない、風化させてはいけない、とこの作品は語っています。
会社面接の時に「東京だっていつ消えてしまうか分からないんです」と答えた瀧。

未来はどうなるか分からない。
明日だってくるとは限らない。
だから今を、この一瞬一瞬を大切に生きよう、何かや誰かをさがしながら…。
というメッセージも読みとれる傑作でした。

Writer

プルーン
プルーン

ピアノ教師、美容研究家、ライターetc.

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