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『ドリームプラン』会見レポート全文、ウィル・スミスやウィリアムズ姉妹らたっぷりトーク

ドリームプラン
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ウィル・スミスが主演・製作を務める映画『ドリームプラン』が、2022年2月23日より公開となる。ウィル・スミスのアカデミー賞受賞も期待されている一昨だ。

『ドリームプラン』は、世界最強のテニスプレーヤーとも称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を、ゼロからテニスのワールドチャンピオンに育て上げたテニス未経験の父リチャードが独学で作り上げた「計画書=ドリームプラン」にまつわる驚きの実話だ。

リチャードは、「世界王者にする78ページの計画書」を姉妹が生まれる前に作っていたが、劣悪な環境の中でコネも資金もない彼らにとっては“不可能な挑戦“だと思われた。 テニス未経験の父親はプロのコーチに指導してもらうために姉妹を賢明に売り込むも、「“未来のモーツァルト”だからタダで教えてくれと? 誰も教えない」と断られてしまう。それでも、娘たちを信じ続ける父と姉妹は懸命に練習を続けていくのだった……。

THE RIVERでは、2021年11月に開催されていた本作のバーチャル会見のレポート全文を入手。主演のウィル・スミスはもちろん、本作のモデルにもなっているテニス選手ウィリアムズ姉妹のほか、姉妹を演じたサナイヤ・シドニー、デミ・シングルトンほか、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル、レイナルド・マーカス・グリーン監督らが登壇し、本作を熱く語っている。

大ボリュームのこの記事を読めば、『ドリームプラン』のことがしっかり理解できるようになるはず。映画を観る前でも後でも、作品と合わせてチェックしてみよう。

映画『ドリームプラン』バーチャル記者会見 全文

──今日は事前に皆さんからいただいた質問をお聞きしたいと思います。まずは、この映画のルーツであるビーナスとセリーナにお尋ねします。ご自分の家族の物語が映画になり、しかも、あのウィル・スミスがお父さんを演じたことを、今、どう感じていらっしゃいますか?まずはビーナスに答えてもらいましょうか?

ビーナス・ウィリアムズ (以下、VW):すごく感極まる気持ちです。予告編も見たし、脚本も読んでいたのに、見るたびに涙が出そうになります。現場に家族の雰囲気があふれているのも素敵でした。それにデミとサナイヤは本当にセリーナと私みたいでした。カメラが回っていない時でも手を握りあっているところとか。本当に感動しました。みんなが達成してくれたことを、私は誇りに思っています。正直、すごくシュール。彼らは私たちの家族を真から理解してくれて、本当に私たちらしく描いてくれました。そこを誇りに感じています。

──セリーナ、あなたは?

セリーナ・ウィリアムズ(以下、SW):シュールという言葉以上に私の気持ちを良く表すものがないです。この優れた女優さんたちと、その背後にいるすべての人たちが、これを作り上げてくれました。私たちのお父さんの話を語ってくれました。私と姉は、「ワオ、本当に?」って感じでした。すごくシュールでした。しかも、お父さんを演じてくれたのはウィル。ウィルは完全にリチャード・ウィリアムズになりきってくれました。彼のおかげでこの映画は一層レベルの高いものになったと思います。この映画は大きな感動をくれる、とてもよくできた作品。優れた作品です。

VW:ひとこと付け加えさせてもらうと、ここに座っている人全員、それに、テレビの画面に出ている人(注:リアルで参加できず、ズームで参加したふたりのこと)は、これを実現させるために、本当に一生懸命仕事をしてくれました。この人たちはできるだけ真実に迫る物語を語ろうとしてくれました。お決まりのパターンで済ませるのではなくてね。みなさん、ありがとう。みなさんのことが大好きです。

──ウィルへの質問です。なぜリチャード・ウィリアムズを演じたいと思ったのですか?

ウィル・スミス(以下、WS):(ビーナスに向かって)さっき話していたんだよね。ビーナスが受けたインタビューがあって…。君はあの時いくつだったんだっけ?

VW:13歳か14歳。

WS:13歳か14歳。あのインタビューは有名です。リチャード・ウィリアムズがレポーターに「彼女はそうは言っていない!でも、彼女はすごい自信を持って言ったんだ!」と厳しく言ったインタビュー。僕はあれをリアルタイムで見ていました。その時のビーナスの表情は忘れられません。僕が現れた時に、自分の娘にもあんな顔になってほしいと思ったんです。彼女はライオンを抱えているようでした。すごい自信と余裕がある。このライオンが自分を守ってくれると言わんばかりに。僕はリチャード・ウィリアムズが本当に好きになりました。もう20年以上前のことですが。この映画の機会が訪れた時、最初に思い出したのは、そのことでした。父が娘をあんなふうに守る様子を世界に見せてあげたいと僕は思ったんです。

──あのシーンはすばらしい形で事実とやや違った形で映画の中に出てきますね。あそこではいつも拍手が起きます。私はこの映画を2回見ましたが、みんなあそこで拍手しましたよ。では、次にティムとトレヴァーへの質問です。この物語をスクリーンに届けるまでの過程についてお話しいただけますか?それに、最高にすばらしいふたりのアスリートがいるのに、話の中心をリチャードにすると決めたことについても語っていただければと思います。

ティム・ホワイト プロデューサー:僕は若い頃テニスをしていたので、リチャード・ウィリアムズの話は少し知っていました。それはいつも僕の記憶の中にありました。1999年のチャンピオンシップで、彼が「Told You So(言っただろう)」というメッセージを掲げている様子とかね。僕とトレヴァーが、リチャードについての映画の可能性について語り始めたのは、2013年か2014年ごろ。僕らは、この家族が夢をかなえるために全力を捧げる姿に強く心を動かされました。それで脚本家と面接を始めたんです。2年ほどの間に、僕らは、20人だか、25人だか、30人だかの脚本家に会いました。その過程で、この話を語るには数千個くらいの違ったやり方があるんだと感じていました。だけど、ザック・ベイリンに会って、まさにこれだと思ったんです。彼はすばらしい脚本を書いてくれました。あの脚本によって、この映画は本当に前へ向けて進み始めたんです。僕らはあの脚本をウィルとイシャ(・プライス)に送りました。そこからこのプロジェクトは息吹を持ち始めたんです。

トレバー・ホワイト プロデューサー:リチャード・ウィリアムズについての映画を作るというアイデアをティムが僕に持ち込んできた時、僕らは「これはスポーツ史上最高のコーチについての話になるかもしれない」と思いました。が、いざ飛び込んでみると、それ以上の話だったんだです。そこが僕らにとってはエキサイティングでした。これは家族についての話、愛についての話。家族と愛が、どうやってやる気を保たせてくれるのかという話です。僕らはそこに強く感動しました。そこにザックがやってきてくれて、この映画の形が決まったんです。今、ようやく映画が完成し、僕らはそれを見ることができる。ザックはすばらしい仕事をしてくれました。

──家族を描くという意味で、アーンジャニューは、そのハートであると言っていいと思います。とくに「あなたひとりでやったわけじゃないのよ」とリチャードに言うシーン。あなたはリアルな女性像をこの映画に持ち込んでいますね。

アーンジャニュー・エリス(以下、AE):それは、ここにいるフィルムメーカーたちのおかげです。この人たちとお仕事をさせてもらえた私はラッキー。あそこ(とズームの画面を指して)にもふたりいますね。彼らは、彼女(ビーナスとセリーナの母)が影に隠れているようにしてはいけないと言いました。あなたも今言ったように、ヒーロー的な男性は映画にたくさん登場してきています。でも、あの夢を実現させるためにオラセンが何もしなかったというのは、嘘になる。だから私たちはそこをきちんと描くべく、彼女をしっかり登場させるようにしたんです。それが真実なのだから。

──そうやってくださって嬉しいです。そうでなければ映画は違うものになっていたでしょうから。次にデミとサナイヤへの質問です。私は、今日、ビーナスとセリーナに会うというだけでも緊張しましたが、あなたたちにとってはどうだったのでしょうか?また、どうやってこのふたりをリアルに演じることができたのでしょうか?デミから答えてください。

デミ・シングルトン(以下、DS):できるだけリアルに演じるために、私とサナイヤはたっぷりリサーチをしました。すべてをリアルにすることは、私たちにとってすごく大事なことでした。これは私たちの話ではなく、彼女たちの話。だからリサーチをしました。ネットで。それに、イシャがずっといてくれました。

── 最初の会話はどんな感じだったのでしょうか?

DS:初めてセリーナと話したのは、彼女がビーナスと一緒に突然現場にやってきた時。あれは本当に楽しい日でした。私たちとの会話で、彼女たちは、テニス以外のことをたっぷり話してくれました。ちょっと可笑しいですよね。彼女たちの人生とか、子供時代のこととか、どんな人と付き合ったのかとか(笑)。

VW:自分たちを正しく描いてもらいたかったからね(笑)。

DS:彼女たちとの会話は本当に素敵でした。私たちは、人間同士として話をすることができたんです。私はセリーナとビーナスをずっと尊敬してきました。その人たちの別の側面を知ることができて、とても楽しかったです。

── サナイヤ、あなたはどうでしたか?

サナイヤ・シドニー(以下、SS):ビーナスに初めて会う前はすごく緊張したました。「生の彼女に会えるなんて信じられない!」と思って。でも、今デミが言ったように、私たちはとても素敵な会話を持つことができたんです。テニスについての話だけではなく、人間としての話を聞かせてもらえました。私は小さい時から彼女たちを尊敬してきました。ビーナスがどんなに優しい心の持ち主なのかをきちんと伝えることは、私にとってすごく大事なことでした。私はそこに感動したからです。これは本当に素敵な経験になったから、毎回、強い感動を覚えます。私はここでひとつの家族を作ることができました。キャストだけではなく、カメラの後ろにいる人たちとも。ミスター・レイ(注:監督のこと)や、みんなと。彼らは、私たちにやりやすい環境を与えてくれました。テニスに挑戦するのも楽しかったです。

VW:(女優ふたりのための)コーチのひとりは、私たちと一緒にリック・メイシー・アカデミーに行った人だったんですよ。すごく狭い世界だから、そういうこともあるんですね。そうやって、彼女たちが役の準備をする中で、私たちもまたさらにコネクトしていきました。自分たちが前から知っている人と一緒に仕事をすることになったんです。

──それは驚きですね。ジョン、次はあなたへの質問です。これはアスリートの父親の話。あなたにとって遠い世界ではないようですね?あなたはリチャードがリックにやったような形で自分のお子さんにコーチをつけたと思いたくないですが(笑)。彼(リック)は多くのことに直面しました。そして彼は興味深い人でもあります。あなたはこの役にどうアプローチしたのでしょうか?

ジョン・バーンサル:まずは、今日ここでまたみなさんに会えて嬉しいです。ここでは「家族」という言葉が何度も出ましたね。そこは大事なことでした。これは家族の物語。この家族の一部に入れてもらえて、この美しい話を語ることができたのは、ものすごい光栄。僕自身にとってはというと、わが子以上に大切なものはありません。子育ては最も重要な仕事です。最も大変だし、完璧にできることはないからです。僕がリックに共感できたのは…、彼をよく知る人たちは、彼のことを「楽しい人」だと言っていました。彼は本当にテニスが大好きで、テニスを楽しいものにしました。僕は、自分はそれを持ち込めるのではないかと思いました。リチャードがいるから、ちょっと変わったこの人もそう目立たなくなるのではと。あの髪型と口髭があったとしても(笑)。

──リチャードがいれば、確かにほかの誰も目立ちませんよね。ここで監督に質問です。先程からずっと「家族」という言葉が出ています。しかし、テニスの試合を見ることを期待する観客もいるでしょう。あなたはどのようにこのプロジェクトにアプローチしたのでしょうか?

レイナルド・マーカス・グリーン監督:僕は小さい頃野球選手でした。テニスは1回しかやったことがないんです。そして、僕が打ったボールはフェンスの向こうまで飛んでしまいました(笑)。それで「僕はこれには向いていないな」と思ったんです。実はこれはかなり難しいスポーツなんだとも思いました。この映画を作るにあたり、僕は、僕の母が見て楽しめる映画にしたいと思ったんです。母はテニスの試合を見たことがない。でも、どっちが勝ってどっちが負けたかはわかる。それに、家族についてもわかる。愛についても。葛藤についても。母のような人たちを、テニスの試合のテクニカルな部分に飽きさせてしまうことなく、楽しませ、共感させることはできるはずだと僕は思ったんです。

それで、テニスの部分を描くにあたっては、「このストーリーを語る上で入れなければいけないテニスの部分はどこか?」と考えました。ビーナスとセリーナはテニスに革命を起こした、そこを詳しく語らないと、と。この映画のテニスの部分はそこから形作られていきました。そして、キャストの力もとても大きいです。あなたたちはすごい。こんなすごい人たちと仕事をする機会を僕は与えられたんです。この人たちと家族を築くことができたんです。「カット!」の声をかけた時に、そこにいるみんながお互いを愛しているということは、すべての映画で起こるわけではありません。僕らはこの現場を本当に楽しいものにしました。アーンジャニューとウィルは映画の中だけでなく、現場でも、家族の中心になってくれました。彼らはこの映画の共同リーダーでした。それにサナイヤとデミ。彼女らはすごく責任の重いことを見事にこなしてくれました。彼女らがこの映画でやったことは本当にすばらしいとしか言いようがないです。

それにウィリアムズ一家が僕らを迎え入れてくれたことにも感謝します。イシャやリンドレアが毎日現場にいて「彼女たちはこんなふうにラケットを握らないよ」とか「こんな色は絶対に着ない」とか言ってくれることは貴重でした。そこから得られたものは本当に大きかったです。僕らはこの映画の中に出てくる以上の家族を築いたんです。映画を観る人がその愛を感じてくれることを願っています。

──現場の楽しさが伝わってきますね。でも楽しいことだけではないですよね。みんなが実在の人を演じているのですから。ここでトニーに質問をしたいと思います。この人物を演じるにあたってあなたはどのような準備をされたのでしょうか?

トニー・ゴールドウィン:ザックの脚本で興味深いなと思ったのは、ポールのキャラクターへのアプローチの仕方でした。僕らの関係は厄介ですが、そこには遊びとお互いへの尊敬があります。僕はポール・コーエン本人に連絡を取り、長い会話を持ちました。そして、ビーナス、セリーナとの関係について直接聞いたんです。それに、どうやって子供に教えたのかということも。僕にはそれがわからなかったから。すごく難しいことだと思うんです。そうしたら彼は僕が予想していたことを言いました。それは、またもやなんだけど、家族なんです。彼は、心で接し、楽しくやると言ったんです。すごく厳しいことをやる中でも、彼は家族に愛を、そしてリチャードに敬意を与え続けました。彼と話すことで、ザックの脚本を読んで感じたことに確信を得られました。みんなも言っているように、彼らの間で意見の相違があったにしても、リチャードがわが子のためにやっているということに疑いの余地はないんです。彼の妻も。

僕にとっての撮影初日、現場で本当の家族みたいなこの人たちの様子を見て、感激しました。この姉妹たち。カメラが止まると、まるで磁石のように彼女らがくっつくんですよ。それを見て、「これはやりやすいな」と思いました。これはもう家族だと。ウィルとアーンジャニューも、その大きな部分でした。カメラが回っていても、いなくても、同じなんです。すべてがリアルなんです。

──ウィルへの質問です。あなたは過去にも映画で父親を演じたことがありますが、この映画に出て、自分自身の子育てについて考えたりしたのでしょうか?

WS:初めてのミーティングで、ビーナスがとても面白いことを言ったんです。「私たちはほとんど洗脳された」と。「テニスの練習をさせてもらえないことが罰だった」とね。あの両親は、彼女らをプッシュしなくてよかったんです。普通の親なら子供をけしかけるんだろうけど、そうじゃなかった。ビーナスとセリーナの中にはもう炎があるから、それに油を注げばよかったんです。何かの役を受ける時、僕はそれを探索の機会ととらえて、そこから何かを学びたいと思っています。今作からは、子供を監督するのでなく、子供の横に並ぶという、新しい子育てのやり方を知りました。これはすごく変わったコンセプトです。ウィリアムズ一家はそれを見事にやっていたんです。彼らにはルールがある。すばらしいルールが。その中心にあるのは、信念。そこからみんなで(ゴールに)向かっていく。だけど「お前はまだ子供だ。俺が正しい。俺の言う通りにやれ」ということはしない。すごく違うアプローチで、目が覚めるようでした

僕自身の父は軍隊にいたので、全然違いました。僕が幼い時、子供には意見を言う権利がありませんでした。子供は自分がやるべきことをやる。そのやり方にも良いところはある。でも、すごく違うと思います。

── ザックへの質問です。伝記映画では重要な出来事を出してくる必要があるかと思いますが、家族の話とその部分のバランスをどのように取ったのでしょうか?

ザック・ベイリン 脚本:僕らはこれをみんなが知っているスポーツのシーンを集めたようなものではなく、引き込まれる家族の映画にしたかったんです。この家族を本当に知ることができる映画。そのためには親密な瞬間が必要で、それは最初から決めていたことでした。そして、リサーチをし、小さなことをどんどん知っていくうちに、この映画は「これを達成した家族の話」ではなく、「これを達成した、この家族の話」になっていったんです。

僕は、最初の脚本にも結構満足していました。だけど、その後、イシャ、ビーナス、オラセンとミーティングを持ち、「寝室での様子はどうだったのか」「食卓を囲む様子は」「リチャードと一緒にバンに乗っている時は」というようなことを聞いていくうちに、息吹を得ていきました。グレイテスト・ヒッツみたいなことをやるのでなく、すべての瞬間の内側を見るのが僕らの狙いでした。

──イシャへの質問です。ここにいる人たちなら自分の家族について正しく語ってくれると思ったのはなぜですか?

イシャ・プライス:ティムとトレヴァーの情熱ですね。彼らは私たちの父の話を語りたいと願っていました。悪く言うためじゃなくて、人々に、父としてどんな人だったのか、何をしたかったのかをわかってもらうための話。そこに家族がどう協力したのか。彼らの狙いがそこにあるとわかったら、私は安心できるようになりました。そこから私たち家族について掘り下げていくプロセスが始まりました。その段階での脚本はまだ初期のもので、もっと良くできる余地、正しくできる余地がありました。でも私たちにはウィルもいてくれました。私たちはウィルをすごく尊敬しているし、彼も正しく演じたいと思ってくれていました。私たち家族が納得できる、忠実な形でやるのでなければ、彼はやらないという態度でした。それには時間がかかりました。

父のことを悪く言う人はまだいました。私たちは、このフィルムメーカー、このチーム、みんなが正しいことをしてくれると信頼できなければいけませんでした。スポーツがまさにそうだけれど、チャンスは1回しかない。一発で決めないとだめなんです。だからこの映画は正しい話を、正しく、公正で、正直に語るものでなければなりませんでした。家族みんなでそこに行き着くには少し時間がかかりました。想像できるでしょうけれど、私たちの中には不信感もあったから。ビーナスはすごく長いこと世間の目に晒されてきました。彼女についての記事が初めて書かれたのは、彼女が10歳、いえ8歳だったか。あ、9歳の時。「コンプトン・ガゼット」です。その年から記事に書かれてきたけれど、人は私たちの家族を理解しませんでした。リンドレアや私に「家族は本当に仲が良いんですか?」「喧嘩したりしますか?」と聞いてくる人もいました。そういうことが続くと、不信感が強まっていく。

だけど、毎日、すべての過程に関わらせてもらえるならということで、私たちは信頼するに至ったんです。私に苛立った人もいたでしょうけど(笑)、そこは大事なことでした。正しい形で語られるようにするという責任が私にはありました。キャスト全員も、製作チームも、同じことを目標にしていました。だからこういう形で完成したんです。(必要なのは)ひとつだけじゃない。みんなが正しい形で私たちの父をヒーローとして語ろうとしないといけませんでした。それに、そこには母がいて、母が基盤を作ってくれたのだということも。また、家族のハートもしっかり描かれないといけない。そこはとくにこだわった部分でした。アーンジャニューは、完璧につかんでくれました。彼女は私たちの母の声をしっかり理解してくれて、彼女の存在を感じられるようにしてくれました。

つまり、(この映画を作るプロセスは)ひとつの旅だったんです。それも、楽で、真っ直ぐな旅ではありませんでした。でも、多くの人が一生懸命になり、深く掘り下げようとすることから、最高のものが生まれるということはあるんです。

WS:イシャが厳しく反対した日が1日だけあったよね。覚えている?

IP:Oh my god.

WS:何かが台無しになった、大切なものが爆発した、みたいな感じだったよね。(ここでウィルが歌うようにそれをジョークにする。一同笑)。イシャは大切なものが爆発したことにすごく深刻になっていました。

──ビーナスとセリーナへの質問です。あなたたちはすでに多くの女性、とくに黒人女性にインスピレーションを与えてきましたが、この映画を通じて少女たちに何を伝えたいですか?

VW:不可能はない、自分を信じて、ということです。疑ってはだめ。疑っても良いことは何もない。疑う時間があるなら自分を信じる時間に使って。それに、努力をすること。そうすることで自信が培われる。また、家族が力を合わせれば、なんだって達成できる。私はこの映画のそこを気に入っています。これは家族の映画。ウィルも言ったように、テニスをわからない人も家族ならわかる。家族がいればなんでもできる。最初から家族がいる人もいるし、家族を作っていかなければいけない人もいる。でも、家族に囲まれていることでもっとすごいことができるようになるんです。

SW:今、ビーナスが完璧に言ってくれました。自分を信じれば何だって可能。高すぎる目標は、ない。限界はないんです。だから高すぎる目標を立てることを恐れてはだめです。

──デミとサナイヤに最後の質問をしましょう。この経験からどんな思い出を得られましたか?あなたたちはこの映画のターゲット層ですが、どんなことを学びましたか?

DS:一番の思い出は、このすばらしいキャストと毎日現場にいられたことです。このレベルの映画に出たのは、私にとって初めてのことだったけれど、みんなが私に優しくしてくれて、いつも中に入れてくれました。とくに、ウィル。これらすばらしい役者がやることを見る中で、私はたくさんのことを学ばせてもらいました。

SS:ビーナスを演じることで、私は若い女性として成長できたと感じています。彼女たちは若い時からすごく地に足がついていました。彼女たちにはすばらしいお父さんがいて、また言うけれども、家族はすべて。それを知って、私は、長いこと連絡をしていなかった幼い頃の知り合いに声をかけたりするようになりました。それに、仕事仲間をリスペクトするということも学びました。ウィルは常に私たちが居心地いいようにしてくれたし、現場にいるすべての人たちと良い関係を築いていました。彼はすごく優しい人。彼はまさに私たちのパパのようでした。撮影が終了した時、もう1回最初からやりたいと思ったんです。もう1回、これらの思い出を実際に体験したいと。私は一生懸命頑張ったし、みんなのことを誇りに思っています。これを世界の人々に見てもらうのが待ちきれないです。観るとき私は毎回泣いてしまいます。

──ウィルとアーンジャニュー、あなたたちはこの経験から何を学びましたか?また、観た人に何を感じてもらいたいと思いますか?

AE:撮影中、周囲を見回しては、「自分はたぶん人生において正しいことをしたのだろう」と思うことが、何度かありました。まるで神様からプレゼントをもらったように感じたから。今作では、これらの若い優れた女性たち(サナイヤとデミ)とお仕事をさせてもらうことができました。彼女らからは多くを学びました。彼女らは楽々やっているように見える。「今日はウィル・スミスと楽しいことをするんだ」とでも言うように。でも、そう見せるのが彼女らの偉いところなんです。カメラの前でただ普通に生きているようにするのは、誰にでもできることではない。そこにカメラがあるんですから。でも、彼女らはいつもナチュラルにいました。それに、ウィル。彼はスーパースターだけれど、誰にでも優しい。自分のいるところで誰かが嫌な目に遭うことを、彼は許さない。レイナルド・マーカス・グリーンはみんなのチアリーダーでした。初日から最後の日まで、彼は毎日同じ情熱を持っていました。私たちに対して拍手をしてくれました。

この撮影は、毎日が楽しかったです。そのことに本当に感謝をしています。それが私の思い出。これは、まさにプレゼントでした。

── 素敵ですね。ウィル、あなたは?

WS:サナイヤとデミは、世界で最高のプレイヤーを演じられるように、テニスを習わないといけませんでした。僕は「ALI/アリ」でモハメッド・アリを演じたから、それがどれくらい大変なことなのかわかっています。プロのファイターですら、アリみたいな動きはできないんです。プロのテニス選手でも、ビーナスやセリーナみたいな試合はできない。しかも、サナイヤは、ビーナスみたいにプレイできるよう学んだだけじゃない、彼女は左利きなんです。利き手じゃないほうで世界最高のプレイヤーのようにテニスができるようになってみせたんです。(ここでみんなが拍手)。そう、拍手してあげて。そういう現場に足を踏み入れる時、僕は自分の責任を感じます。彼らは僕の家族。彼らは僕のクルー。僕の仲間。ここは僕の場所。それらを見つめていて、僕はとても美しいと感じました。

アーンジャニューとのキッチンでのシーンは、どうアプローチすればいいのかギリギリまでわかりませんでした。少しわかりはじめたのは前日になってから。アーンジャニューはすごく自信を持っていて、「そうね、いや、違う。もうちょっとかな。いやそうじゃなくて、もうちょっと」って感じでした(笑)。当日になって、彼女はようやく「これだ!」と言ったんです。そうやってプッシュするのを見て、素敵だなと思いました。そのお手伝いができて、嬉しいです。あんなふうに、リアルなシーンを作り上げることに関われて嬉しかったです。

君たち3人(ビーナス、セリーナ、イシャ)に、「ここにいる僕たちはみんなあなたたちの家族をすごいと思っています。世界に対してこんなふうにあなたたちを描写することができたのは大きな光栄でした」と言いたいです。辛い思いをしてくれてありがとう(笑)。頑張ってくれてありがとう。世界にインスピレーションを与えてくれてありがとう。感謝します。

映画『ドリームプラン』は、2022年2月23日(祝・金)より全国ロードショー。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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