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ハリウッド映画を超越した和製CG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』絶賛レビュー

映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』とは

『FINAL FANTASY』は世界的な人気を誇るゲームシリーズだ。
2001年に同タイトルを冠した映画作品が公開されたが批評、興行ともに失敗に終わり、当時のスクウェア社を傾かせる要因となった。
スクウェア社はエニックス社との合併行いスクウェア・エニックスとして再出発することになる。

合併後も映像作品への情熱は失っておらず2005年に『ファイナルファンタジーⅦ アドベントチルドレン』を発表。ハイクオリティCGで全世界の度肝を抜き、未完成にもかかわらずヴェネツィア国際映画祭にも招待された。

大ヒットを記録した『アドベントチルドレン』から11年。スクウェア・エニックスはまたしても驚異的なフルCG映像作品を発表した。
『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV(キングスグレイブ ファイナルファンタジー XV)』だ。9月30日に発売となる『FINAL FANTASYXV』と同じ世界、時間で繰り広げられるもう一つの物語。

鑑賞前は「ただのファン向けか、宣伝用の映像作品だろう」と甘く考えていたが、良い意味で裏切られてしまう。これがとてつもないほどに立派な”映画”になっていた。下手な邦画やハリウッド映画を超越した驚天動地の作品に仕上がっていた。

http://kingsglaive-jp.com/
http://kingsglaive-jp.com/

ややネタバレを含みます。

軽快かつ重厚な物語展開

日本のアニメーション映画が陥りがちな中だるみや、白々しい説明セリフがほとんどない。本作はスクリプトドクターが監修しており、無駄な部分がそぎ落とされている。政治や移民問題などが絡み、相応の重厚さを醸し出す脚本だが、難解さは一切感じさせない。余計な説明セリフもないが、物語は非常にシンプルで分かりやすくなっている。

115分の本編は物語が軽快に進んでくれるため、飽きが一切来ない。気づけばエンドロールが始まっており、115分という時間を全く感じさせない濃密な体験をさせてくれた。

ハリウッド映画を超越した映像

本作の見所は”映像”だ。『アドベントチルドレン』でも豪快な破壊と壮絶な死闘を見せてくれたが、本作はそれを優に超えてしまった。
冒頭から戦闘が行われ、まるでハリウッドが製作したファンタジー映画でも見ているのかと錯覚するほどの物量が襲ってくる。
この戦闘で観客は作品の世界に呑みこまれてしまうのだ。

本作はフルCG映像だが、あまりにもリアルすぎる故に現実とCGの境界が曖昧になることもあった。これはCGだ、と自身に言い聞かせることもあり、スクウェア・エニックスのCG技術の高さに完全に打ちのめされてしまった。

ただこの作品は世界中の会社が協力した。『シビル・ウォー』や『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』にも関わったImage Engine社も協力している。スクウェア・エニックス一社で完成された作品ではないが、それでも日本主導でハリウッドを超越した映画作品が出現したことは一大事だと言える。

怪獣映画でありアメコミ映画である

http://www.cgmagonline.com/2016/05/31/kingsglaive-final-fantasy-xv-trailer-released-square-enix-sony-playstation-psy-xbox-one/
http://www.cgmagonline.com/2016/05/31/kingsglaive-final-fantasy-xv-trailer-released-square-enix-sony-playstation-psy-xbox-one/

冒頭から巨大なモンスターが戦場に投入される。このシーンは怪獣映画を見ているのかと錯覚するほどの映像に仕上がっている。モンスターの巨大感と圧倒的な力は完全に怪獣映画の文脈を踏襲していた。

ラストバトルは瞬きすら許されない壮絶で壮大で、強大な展開を見せつけてくる。
カッコイイおっさんが魔法を駆使し、ワープ移動や電撃などの攻撃が繰り広げられる。ビルからビルに飛び移り、豪快に破壊していく様な『マン・オブ・スティール』を彷彿とさせた。近年のアメコミ映画を見ているような感覚になってしまう。カッコイイおっさん同士が戦う点もアメコミ映画らしさを感じる要素かもしれない。

このラストバトルは妥協を一切感じさせない。ハリウッド映画に負けてたまるか、という反骨精神がひしひしと伝わる。
映像のクオリティは下手なハリウッド映画を蹴散らせてしまうほどであり、またしても実写とCGの境界が曖昧になってしまうのだ。

特筆したいのは王都を守る巨像と巨大モンスターの戦いだ。この戦いは『パシフィック・リム』を思わせる。しかしパシリムと異なるのは巨像もワープ移動できる点だ。この能力のおかげで、これまで見たこともないトリッキーかつ豪快な戦闘が誕生してしまった。

完成された映画作品

http://www.jp.square-enix.com/ff15/videos/trailer/uncovered_trailer.html
http://www.jp.square-enix.com/ff15/videos/trailer/uncovered_trailer.html

重厚な物語と、爽快感すら感じてしまう徹底した破壊描写。
これを一年で完成させてしまったスクウェア・エニックスの手腕には敬意を表したい。

これはゲーム宣伝用の”販売促進映像作品”ではない。しっかりと一つの映画作品として完成されている。宣伝のためという妥協や甘さは一切感じられない。『FINAL FANTASY』を知らなくても『FINAL FANTASY XV』を購入する予定が無くても、十分に楽しめる内容になっている。そして鑑賞後はPS4と『FFXV』が欲しくなってしまう。販促としては完璧であり、映画としても完成度が高い奇跡的な作品といえる。

ハリウッドの大作映画と比肩、いや超越したかもしれない作品が日本から登場してしまった。これは一大事といえるだろう。
スクウェア・エニックスの本気を感じる一作だが上映館数が少ない点が非常に残念だ。

夏映画のダークホース『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』の完成度をその目で確かめてほしい。

Writer

Okugen

気になったものはなんでもみる雑食映画好き。

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