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『キングコング:髑髏島の巨神』徹底解説 ─ 怪獣&キャスト紹介、あらすじ、小ネタ&オマージュの数々も

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

2020年6月27日(土)、映画『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)がフジテレビ系「土曜プレミアム」にて地上波放送される。ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014)に始まった「モンスターバース」の第2作である本作は、来たる『ゴジラ VS コング(原題)』に繋がる、“モンスターバース版コング”の登場作。同時に、人気のモンスターたるキングコングを描いた実写映画としては実に8作目だ。

そんな本作は、モンスター映画であり、キングコング映画であり、そして作家性あふれる意欲作。クリエイターの野心と遊び心たっぷりの一本を、今回はあらすじや怪獣紹介、解説や製作秘話などを通じてじっくりと解剖していきたい。

『キングコング:髑髏島の巨神』あらすじ

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1973年、アメリカがベトナム戦争から撤退した直後。特務研究機関・モナーク(MONARCH)の研究者であるウィリアム・“ビル”・ランダ(ジョン・グッドマン)は、南太平洋に位置する謎めいた島「髑髏島」の調査を政府に要請していた。調査遠征隊として島に派遣されたのは、ランダらを護衛するベトナム帰還兵のプレストン・パッカード中佐(サミュエル・L・ジャクソン)ら軍人たち、島の案内役として雇われた元英軍の傭兵ジェームズ・コンラッドトム・ヒドルストン、そして戦場カメラマンのメイソン・ウィーバー(ブリー・ラーソン)らだった。

一同は激しい嵐を切り抜け、ヘリコプターで髑髏島にやってきた。調査隊は地質調査の名目で、島への空爆を開始。ところが、そこに怒り狂ったコングが現れるやヘリ部隊に襲いかかり、たちまちチームはバラバラになってしまう。仲間と合流して島を脱出するべく、島の各地でそれぞれに移動を開始するメンバーだったが、この島には見たこともないモンスターたちが生息。この島は、決して人間が足を踏み入れてはならない場所だったのだ。そんな中、かつて太平洋戦争のさなか髑髏島に不時着し、以来この地で生きてきたハンク・マーロウ中尉(ジョン・C・ライリー)が姿を見せる。

『キングコング:髑髏島の巨神』怪獣紹介

コング

キングコング:髑髏島の巨神
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おなじみ、ハリウッドに燦然と輝く巨獣「キングコング」。本作ではモナークによって“タイタヌス・コング”と分類されている。体長は約31.7メートル。島の原住民であるイーウィ族(イーウィス族)からは神として崇められている。ジョーダン=ヴォート・ロバーツ監督は「見上げたときに巨大ゴリラではなく神だと思える」サイズを目指し、ゲーム『ワンダと巨像』の巨像を意識してデザインした。

本作のコングは、スカルクローラーによって両親や仲間たちを殺された、種として最後の生き残り。骨構造や歯の様子から、まだ成長期だと推測されている。来たる『ゴジラ VS コング』では体長約120メートルのゴジラと対決するため、再登場時の巨大化ぶりに期待がかかるところだ。しかし本作のコングでさえ、実はハリウッド映画のキングコングとしては史上最大。監督いわく、荒々しくスピーディな戦い方は「新世紀エヴァンゲリオン」を参考にしたものだとか。

スカルクローラー

キングコング:髑髏島の巨神
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モナークによって「破壊者」と名指される、髑髏島で最も凶暴な怪獣。太平洋戦争当時から髑髏島に暮らしているハンク・マーロウが命名した。サイズは約3.6メートルから約29メートルと個体によって異なる。特に大型のものは「スカル・デビル」と呼ばれるが、イーウィ族からは名を口にすることすら避けられるほど忌み嫌われている。

デザインの基となったのは、1933年版『キング・コング』に登場する2本脚のトカゲや、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する使徒サキエル、『千と千尋の神隠し』(2001)のカオナシ、そして『ポケットモンスター』のカラカラ。ちなみにロバーツ監督は、わざわざ「カラカラ最高」とツイートするほどのカラカラ推し。

バンブー・スパイダー

キングコング:髑髏島の巨神
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竹だと思ったら、バンブー・スパイダーの脚だった。鋭い脚で獲物の身体を貫くなど、本作においても特に恐ろしい奇襲を仕掛けてくるこの怪獣は、別名「マザー・ロングレッグス(Mother Longlegs)」。いずれにしても、“名は体を表す”とはこのことだ。それに対して、モナークは「動植物」という非常にざっくりとした分類にとどめている。体長は約5.5~7メートル。

スケル・バッファロー

キングコング:髑髏島の巨神
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体長不明、髑髏島に生息する怪獣のなかでも特に温厚な性格をもつ草食動物だ。巨大な身体には草やコケが生えており、頭部から木のようなツノが飛び出ているのも特徴だ。ちなみに、モナークは「大型動物」と分類している。

ロバーツ監督によれば、本作では宮崎駿作品の精神性、そして“美しさと恐ろしさが同居する作風”に大きな影響を受けたとのこと。特に、このスケル・バッファローのコンセプトアートが「美しく、神秘的で、アニメのよう」な仕上がりになったことが方向性を固めるきっかけになったという。

リバー・デビル

体長27~33.5メートル。その名の通り、川に住まうタコのような姿をした頭足類の巨大生物だ。別名は「マイアー・スクワッド」で、日本語で“ぬかるみの軍隊”といった意味。ヌメヌメとした自らの性質、また生息する環境の両方を示しているとみられる。雑食性であり、劇中ではコングも襲撃。なお、劇中には韓国映画『オールド・ボーイ』(2003)を引用したショットもある。

サイコ・バルチャー

体長0.9~1.5メートル。「リーフウィング」すなわち“チョウチョ”の別名を持つが、獰猛な翼竜としての性質はその名にふさわしくない。精神攻撃を行うわけでもないのに「サイコ」の名を冠しているのは、髑髏島に生息するフグを主食としており、その毒のせいで凶暴化しているため。なるほど、「サイコ・バルチャー(イカれハゲワシ)」という名前は言い得て妙かもしれない。

スポア・マンティス

体長最大15メートル。木のような6本脚、樹木のような表皮を持ち、主に倒木に擬態する巨大昆虫。「スポア」とは胞子の意。おとなしく、敵からはすぐに逃げ出すが、小さな頭部には強力なアゴを持つ。

出演者・キャスト、キャラクター紹介

ジェームズ・コンラッド(トム・ヒドルストン)

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舞台俳優としてキャリアを開始したトム・ヒドルストンは、映画・テレビドラマにてキャリアを積み、『マイティ・ソー』(2011)で主人公ソーの弟ロキ役に抜擢されてブレイクする。継続してロキ役を演じて注目を集めるかたわら、ジム・ジャームッシュ監督『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013)やギレルモ・デル・トロ監督『クリムゾン・ピーク』(2015)などに出演。ドラマ「ホロウ・クラウン」シリーズの「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」、スパイ・スリラー「ナイト・マネジャー」(2016)も好評を博した。原点である舞台への出演も数年おきに取り組んでいる。

本作で演じたジェームズ・コンラッドは、元英軍の兵士であり傭兵という設定で、確かなスキルと感覚をもって髑髏島のジャングルを先導。銃や刀など、さまざまな武器を扱う能力も持つ。役名は、本作がオマージュを捧げる戦争映画『地獄の黙示録』(1979)の原案小説『闇の奥』(光文社古典新訳文庫ほか)の著者ジョゼフ・コンラッドから取られたもの。トム・ヒドルストンは、コンラッドの人物像や変化といったキャラクターの開発から携わった

ちなみにコンラッドは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の前日譚コミック『ゴジラ:アフターショック』(ヴィレッジブックス)にもわずかに登場。そちらでは本作の出来事から約40年後、年老いた姿が描かれている。

プレストン・パッカード中佐(サミュエル・L・ジャクソン)

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『グッドフェローズ』(1990)や『ジュラシック・パーク』(1993)などを経て、『パルプ・フィクション』(1994)でブレイク。ハリウッドに欠かせない俳優のひとりとして主役級から脇役まで幅広くこなし、『ダイ・ハード3』(1995)や『ジャッキー・ブラウン』(1997)『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(2001)など、代表作を挙げ始めればキリがないほど。近年の作品にマーベル映画のニック・フューリー役、『ミスター・ガラス』(2019)『キングスマン』(2015)『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)など。

演じたプレストン・パッカード中佐(「大佐」とされることが多いが、公式設定は「中佐」)はベトナム戦争からの帰還兵。髑髏島調査の任務を引き受けるため、軍から退くことを先延ばしにし、航空部隊「スカイデビルズ」を率いて島に向かう。戦いで仲間を失った記憶、事実上の敗戦をもって戦場を退いたことの怒りと虚無感を抱えており、髑髏島ではコングへの狂気めいた感情をぶちまける。

『地獄の黙示録』(1979)へのオマージュが捧げられた本作において、シリアスな戦争映画らしい要素をほぼ一手に引き受ける役割。ちなみに、ヘリコプターで口にする「ふんばれ(Hold onto your butts.)」というセリフは『ジュラシック・パーク』におけるサミュエルの名ゼリフ。もちろんアドリブではなく、監督が脚本に書き込んだものだ。

ウィリアム・“ビル”・ランダ(ジョン・グッドマン)

ジョン・グッドマン
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28325778040/ Remixed by THE RIVER

1975年に俳優デビューし、映画・テレビ・舞台とジャンルを問わずボーダレスに活躍。『赤ちゃん泥棒』(1987)や『バートン・フィンク』(1991)『ビッグ・リボウスキ』(1998)『オー・ブラザー!』(2000)といったコーエン兄弟作品に出演し、近年は『アトミック・ブロンド』(2017)『10クローバーフィールド・レーン』(2016)『アルゴ』(2012)など。声優業もこなし、『モンスターズ・インク』シリーズのサリー役としても知られる。

演じたウィリアム・“ビル”・ランダは特務研究機関モナークの地質学者で、地球空洞説の熱心な支持者。髑髏島に自説の根拠があると確信し、一同を率いて調査を実施した張本人だが、その意志の強さゆえに周囲を騙すこともいとわない。そのルーツには、1943年に発生した、米海軍戦艦U.S.S.ロートン号の沈没事件がある。ビルは沈没から唯一生き延びた人物だが、なぜ戦艦が沈没したのか、誰が船を襲撃したのかは謎に包まれたままなのだ。

メイソン・ウィーバー(ブリー・ラーソン)

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2000年代にコメディドラマや歌手活動などでキャリアをスタートさせ、エドガー・ライト監督『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010)や『21ジャンプストリート』(2012)などの映画に出演したのち、『ショート・ターム』(2013)を経ての主演作『ルーム』(2015)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。『キャプテン・マーベル』(2019)では、本作で共演したサミュエル・L・ジャクソンと本格再共演を果たしている。Netflix映画『ユニコーン・ストア』(2019)では監督デビューを果たして主演を兼任、ここでもサミュエルと共演した。

演じたメイソン・ウィーバーはフォト・ジャーナリストで、ベトナム戦争の米軍派兵に疑義を呈する「反戦カメラマン」。モナークが髑髏島を調査することを知り、ほとんど無理矢理に調査に同行する。

ハンク・マーロウ中尉(ジョン・C・ライリー)

ジョン・C・ライリー
Photo by John Bauld https://commons.wikimedia.org/wiki/File:John_C._Reilly_(43646997525).jpg Remixed by THE RIVER

1989年、ベトナム戦争中に起こった戦争犯罪を描く『カジュアリティーズ』(1989)で映画デビュー。その後、『ギルバート・グレイプ』(1993)や『ブギーナイツ』(1997)『シン・レッド・ライン』(1998)『マグノリア』(1999)『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)『アビエイター』(2004)などそうそうたる作品群に脇役として出演する。近年の代表作に、『シュガー・ラッシュ』シリーズのラルフ役や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、主演映画『僕たちのラストステージ』(2018)など。

演じたハンク・マーロウは、太平洋戦争のさなかであった1944年、日本軍との衝突から髑髏島に不時着した空軍パイロット。敵同士であり、ともに髑髏島に降り立った日本兵のグンペイ・イカリとは協力して脱出を試み、仲間としての絆を築いたが、グンペイは島にて死去。その後も30年近く、島での生活を続けていた。なお、役名は『地獄の黙示録』の原案小説『闇の奥』の主人公・マーロウから付けられたものだ。

劇中でマーロウが着るジャケットには、漫画『AKIRA』(講談社)に登場する金田のジャケットと同じ「GOOD FOR YOUR HEALTH」の文字や、『タクシードライバー』(1976)の主人公トラヴィスのジャケットにあった「King Kong Company」ならぬ「Lizard Company」のワッペンが確認できる。さらに、マーロウがこしらえるボートの名前「グレイ・フォックス」は、ゲーム『メタルギアソリッド』シリーズの登場人物からの引用だ。

ヒューストン・ブルックス(コーリー・ホーキンズ)

コーリー・ホーキンズ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28611445851/ Remixed by THE RIVER

2011年に俳優デビューし、数々の映画・ドラマ・舞台に出演。ドラマ「ウォーキング・デッド」シーズン6~7や『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015)のドクター・ドレー役で注目され、本作ののちは『ブラック・クランズマン』(2018)や『6アンダーグラウンド』(2019)に出演。今後は人気ミュージカルの映画版『イン・ザ・ハイツ』(2021)、ジョエル・コーエン監督による『マクベス』の翻案作品『The Tragedy of Macbeth(原題)』などを控える。

演じたヒューストン・ブルックスは、ランダと同じく地質学者であり、地球空洞説についての仮説を評価されてモナークに雇われた人物。ランダと周囲の人々を繋ぐような役割も担っている。

本作の前後を描くコミック『Skull Island: Birth of Kong(原題)』には、ヒューストン本人とともに息子のアーロンも登場。本作の出来事から約20年後の1995年、モナークによる髑髏島の再調査が行われ、そこにアーロンも参加しているのだ。この任務が、髑髏島におけるモナークの足掛かりを築いた。ちなみに『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』には年を重ねたヒューストンが登場しており、同作ではジョー・モートンが演じている。

グンペイ・イカリ(MIYAVI)

MIYAVI
Photo by Dick Thomas Johnson https://www.flickr.com/photos/31029865@N06/49013361203/ Remixed by THE RIVER

2002年から日本国内で音楽活動を開始。日本のみならず世界で活躍し、「サムライギタリスト」の異名を取る。2014年、アンジェリーナ・ジョリー監督作品『不屈の男 アンブロークン』(2014)のワタナベ伍長役に抜擢され、海外映画での俳優業を開始。本作ののち、国内でも『BLEACH 死神代行編』(2018)『ギャングース』(2018)などに出演。ディズニー実写映画『マレフィセント2』(2019)にも登場した。

演じたグンペイ・イカリは日本海軍の零戦パイロットで、マーロウとの戦闘ののち、ともに髑髏島に不時着。マーロウとは深い絆を結ぶが、のちに死去する。形見の刀は墓標代わりとなっていた。グンペイ・イカリという役名は、「ゲームボーイ」の開発者である横井軍平氏、また「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジから名付けられたもの。

ちなみにロバーツ監督は、製作中に「マーロウとグンペイの前日譚を作りたい」とのジョークをよく口にしていたとか。2人とイーウィ族が怪獣たちと戦うスピンオフを、『LOOPER/ルーパー』(2012)や『第9地区』(2009)のようなテイストで、製作費3,000万ドルほどで作るアイデアだったそうだ。

主な出演者・キャスト、吹替声優 一覧

キャラクター名 キャスト 日本語吹替声優
ジェームズ・コンラッド トム・ヒドルストン GACKT
プレストン・パッカード サミュエル・L・ジャクソン 手塚秀彰
ウィリアム・“ビル”・ランダ ジョン・グッドマン 石住昭彦
メイソン・ウィーバー ブリー・ラーソン 佐々木希
ハンク・マーロウ ジョン・C・ライリー 石田圭祐
ヒューストン・ブルックス コーリー・ホーキンズ 杉村憲司
サン・リン ジン・ティエン 伊藤静
グンペイ・イカリ MIYAVI

監督 ジョーダン=ヴォート・ロバーツ

キングコング:髑髏島の巨神
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1984年生まれ。2000年代後半から、オンラインのドラマシリーズを数本手がけてキャリアをスタートさせた。その後、MTV「デス・ヴァレー ~密着! ロス市警アンデッド特別捜査班~」(2011)やFX「You’re the Worst(原題)」など、ケーブルテレビのコメディドラマにて監督を務め、2013年に長編監督デビュー作『キングス・オブ・サマー』を発表。みずみずしくも知的、かつウィットに富んだ青春映画として高く評価された。

本作ののち、ロバーツは小島秀夫による人気ゲーム『メタルギアソリッド』の映画化に着手。水面下で脚本執筆コンセプトアートの作業が進められており、本格始動が待たれている。そのほか、『ブラックパンサー』(2018)や『クリード』シリーズの俳優マイケル・B・ジョーダンがプロデュースする新作モンスター映画(タイトル未定)も待機中だ。

ちなみに本作の完成後である2017年9月には、ロバーツがベトナム・サイゴンのナイトクラブにて暴行を受け、頭蓋骨骨折などの重傷を負う事件が発生。事件後、被害者であるロバーツは自ら犯人や事件の真相を追い、現地の危険な裏社会に接近していた。その様子はこちらの記事に詳しいので、ご一読いただければ幸いである。

続編はいかに

2020年6月現在、『キングコング:髑髏島の巨神』の単独映画としての続編は発表されていない。本作は『GODZILLA ゴジラ』に始まった「モンスターバース」の一作であり、今後はゴジラと対決する集大成『ゴジラ VS コング』を控えるのみだ。ただし、ワーナー・ブラザース&レジェンダリー・ピクチャーズはモンスターバースのその後について発表していないため、いずれ続編が製作される可能性もゼロではないだろう。

なお『GODZILLA ゴジラ』と本作、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』『ゴジラ VS コング』からなる「モンスターバース」についての詳細は以下の解説記事に詳しい。

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レビュー・評価

『キングコング:髑髏島の巨神』は批評家・観客ともに概ね好評を得ており、米国のレビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコア75%、観客スコア69%を獲得した(本記事時点)。とはいえ、批評家たちのコメントを並べてみると、そこからは数字に表れない熱狂や不満、言葉を失った言葉が見えてくる。

たとえば、加Globe and Mail「派手でスマートでバカ、B級映画の理想形」、米Boston Globe「土曜の午後にテレビでやってるモンスター映画、それ以上でも以下でもない。だがそれがいい」と直球のコメントを投げかける。米St. Louis Post-Dispatchも「映画に純粋な現実逃避を求めているなら、本作は間違いなく期待に応えてくれる」と記した。

キングコング:髑髏島の巨神
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とことん特撮に注目した米Miami Heraldは、「たぶんスピルバーグは認める。レイ・ハリーハウゼン(「特撮の神様」と称される)も認めるだろう」。英Daily Telegraphも「スピルバーグの『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』を『グレムリン』当時のジョー・ダンテが撮ったみたいな映画」だと先人たちの仕事ぶりを引き合いに出した。

褒めているのか、それとも褒めていないのか…という言葉もある。米ReelViewsは「コングをゴジラと戦わせるための映画だとしても、これは悪くない前菜だ」と書き、米TIME「やるかやらないか、どちらかしかない。監督はそれをわかっていた、だから派手にやったんだ」と何やら悟ったようなコメントだ。

もっとも、これらのコメントを裏返せば、そのまま酷評になってしまうことはやむを得ないことだろう。英Timesは「CGはA級。プロットやキャラクターはB級」だと苦言を呈し、米San Diego Readerは「モンスターのアクションは楽しいが、人間サイドを見ると脚本は粗く、キャスティングは過剰、演技は不十分。サミュエル・L・ジャクソンだけがカオスの中で正しいことをやっている」と厳しい視線を投げかけた。

リリース情報

『キングコング:髑髏島の巨神』ブルーレイ&DVDは2017年7月19日にリリースされた(4K ULTRA HDも同時発売)。その後、各種廉価版も発売されている。

キングコング:髑髏島の巨神
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特典映像には、キングコングの再創造やベトナムでのロケ撮影を記録したメイキング映像や未公開シーンのほか、ジョーダン=ヴォート・ロバーツ監督による充実の音声解説も収録。細部までのこだわりや撮影秘話、イースターエッグやインスピレーションの源泉などを語り尽くしてくれるので、ぜひご一聴あれ。

予告編映像&各種動画

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Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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