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『この世界の片隅に』、ウェス・アンダーソン監督の新作も!話題の「クラウドファンディング」って?

皆様は、最近よく耳にするようになった「クラウドファンディング」という言葉を知っていますか? この「クラウドファンディング」に参加することで、映画のエンドロールに名前がクレジットされるかもしれないと聞いたらどう思うでしょうか。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディング(英語:Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。 投資型の場合は、「小口投資家向けのオンライン専業の金融商品販売業者」と位置付けられる。

出典:Wikipedia

つまり、ざっくり言えば、提案者のアイディアを実現させるサービスなのです。「こんな商品を作りたい」「こんなイベントを実現させたい」「会社を設立したい」など、さまざまなアイディアをウェブ上で告知し、出資を募ることで、そのアイデアや考え方に賛同してくれた人々から資金を集めることが出来ます。

たとえば「こんな商品があったらいいけど、資金がないからつくれない」といった状況でも、クラウドファンディングを活用することで、実現も夢ではなくなるのです。

https://boostar.me/2015/06/01/380
https://boostar.me/2015/06/01/380

知っておきたい3種類のクラウドファンディング

クラウドファンディングは、出資してくれた人々に対するリターン(特典)によって、3つのタイプに分かれています。

  • タイプ1:寄付型……名前の通り、出資額はそのまま寄付する形となり、リターンは得られません。被災地支援や、ボランティア活動といったプロジェクトが多いです。(参考サイト:「JAPANGIVING」
  • タイプ2:購入型……出資額によって報酬(特典)を得られるパターンです。プロジェクトが実現した際には、商品がもらえたり、そのほか様々な特典や権利を得たりすることができます。(参考サイト:「CAMPFIRE」「Makuake」)
  • タイプ3:金融型……ある企業に出資し、そのリターンとして金銭を受け取ることができます。いわゆる投資に近いものです。(参考サイト:「Crowd Bank」)

実際に、このクラウドファンディングは映画の世界でも活用されています。その具体例をいくつか見てみることにしましょう。

ウェス・アンダーソン監督、新作をクラウドファンディング・サイトで告知

『グランド・ブダペスト・ホテル』や『ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督は、クラウドファンディング・サイト“crowdrise”で、新作ストップモーション・アニメ“Isle of Dogs(犬ヶ島)”の製作を発表しました。

“crowdrise”は、米ハリウッド俳優エドワード・ノートンらによって設立されたオンライン・プラットフォームです。社会のために活動したい、社会をよりよくするためのアイディアはあるが資金がない……といった団体と、その思いを支える支援者を結ぶ役割をしています。

ウェス・アンダーソン監督が“crowdrise”で新作を告知したのは、マーティン・スコセッシ監督が設立したNPO“The Film Foundation”という、古い映画の補修・保存を行う組織への寄付を募るためでした。

今回の企画に出資すると、ロンドンでアンダーソン監督に会える、撮影現場を見学できる、新作に声優として出演できる、劇中に使用された人形をもらえるという豪華特典が1名に当たるほか、抽選でアンダーソン監督のサイン入りDVDがもらえるといいます。もちろんクラウドファンディングですから、100ドルでオリジナルTシャツがもらえるほか、10,000ドルで限定コンセプトアート、50,000ドルで上記の豪華特典を購入できる仕組みになっているようです。

クラウドファンディングの実施はひとつの宣伝にもなりますし、出資した側からすれば、出資額ぶん(あるいはそれ以上)のリターンを得ることができます。さらに自らの手で映画が製作される、活動も貢献できるというメリットを得ることができるわけです。

『この世界の片隅に』ヒットの裏にクラウドファンディング

http://blog.makuake.com/posts/1589377
http://blog.makuake.com/posts/1589377

2016年11月12日に公開され、絶賛されたアニメ映画『この世界の片隅に』は、クラウドファウンディングによって製作費の調達が行われた作品です。

2015年の3月9日から、クラウドファンディング・サイト“Makuake”にて、2000万円を目標として資金調達を開始したところ、わずか10日ほどで目標額を達成しました。出資額は合計3,622万4,000円となり、無事に製作が行われる運びとなったのです。劇場公開後、作品の高評価は口コミによって急速に広がり、国内興行収入ランキングでは、ハリウッド映画などにも並ぶ10位を記録しています。

また11月22日には、同クラウドファンディング・サイトで、新たに「映画『この世界の片隅に』の海外上映を盛り上げるため、片渕監督を現地に送り出したい」という企画で出資が募られたところ、こちらは1日も経たずに目標額を大幅に上回る結果となりました。

https://www.makuake.com/project/konosekai2/
https://www.makuake.com/project/konosekai2/

この作品の場合も、出資者はミーティングに参加することができる、劇中の登場人物から手紙が届くエンドロールに名前が掲載されるなどのリターンがありました。クラウドファンディングを活用することで、『この世界の片隅に』は、小規模な作品ながら広く知られるきっかけを生むことができたのです。

私たちと映画の新しい関係

映画系のクラウドファンディングは「購入型」とよばれるタイプが多く、エンドロールに名前が掲載されるというリターンが多く見られます。クレジットに名前が掲載されることほど、ドキドキすることはありませんよね。ましてや、素晴らしい映画であったら尚更でしょう。

映画づくりに直接携われなくとも、気軽に出資できる額で、微力でも作品の力になれたなら、映画が完成した時の喜びは、通常の映画を観るときの数倍にもなるはずです。「会いに行けるアイドル」なんて言葉を耳にする機会が増えたこともありましたが、これからは「参加できる映画」なんて言葉を耳にする機会も増えるかもしれません。

また映画を作る側からすれば、プロ・アマに関係なく、アイディアはあってもお金がないという企画や人材の“希望の光”となるシステムでしょう。映画業界にとっても、従来主流とされてきた映画づくりとは違った方法を、ビジネスの場面に取り入れることができるはずです。もちろん企画者には、「支援したい、出資したい」と思わせる綿密な計画と、「なぜ作りたいのか、どのように作りたいのか」を厳しく問われることにはなるのですが……。

現在のところ、まだ日本ではクラウドファンディングの認知度はさほど高くありません。しかし今後、少しずつ知名度が上がっていけば、その可能性はさらに広がりをみせ、より多くの人にチャンスと可能性を広げる、有効なツールとして活用されていくことでしょう。

source: https://www.crowdrise.com/wesanderson
Eyecatch Image: https://www.makuake.com/project/konosekai/
© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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K氏

ホラー以外を好む雑食系。ミーハーです。

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