マーティン・スコセッシ新作、レオナルド・ディカプリオ&ロバート・デ・ニーロの出演が正式決定 ─ 「米国史の闇」石油と政治、差別渦巻く殺人事件を描く

最新作『アイリッシュマン』(2019)が話題の巨匠マーティン・スコセッシ監督による新作映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン(原題:Killers of the Flower Moon)』に、スコセッシの盟友であるレオナルド・ディカプリオ&ロバート・デ・ニーロが出演することが正式に判明した。
2020年1月19日(米国時間)に開催された全米俳優組合賞(SAG Awards)にて、デ・ニーロは生涯功労賞を受賞。米Entertainment Weeklyによれば、プレゼンターとして授賞式に登場したディカプリオは、スコセッシの新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』にて共演すると壇上で発言したという。本作のキャスティングについて、なんらかの発表がなされたのは今回が初めてだ。
デイヴィッド・グランの犯罪ノンフィクション『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』(早川書房刊)を映画化する本作は、アメリカ南部・オクラホマ州で1920年代に起こった、先住民族オセージを狙った殺人事件をひも解く物語。オセージ族の人々が次々と死亡する事件は、現地で石油が見つかったことと関係していて……。原作は、石油マネーと政治、人種差別が事件の真相解明を阻む“アメリカ史の闇”に迫ったとして絶賛を受けたベストセラーだ。
デ・ニーロが演じるのは、“オセージ・ヒルズの王”と呼ばれた名士で連続殺人鬼のウィリアム・ヘイル。ディカプリオはヘイルの甥であり、同じく殺人に関与したアーネスト・ブッカート役を演じる。事件を捜査するトム・ホワイト役について、スコセッシは2019年12月時点で「まだ決まっていない」と述べていた。
脚本を執筆するのは、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)や『ミュンヘン』(2005)のエリック・ロス。同じく12月の時点で、スコセッシはロスとの脚本作業に入っており、「脚本の再構築、再考を進めている」と語っていた。
「いわゆる刑事ものにするのは簡単だけれど、どんな作品になるのか分かってしまう。それとは違うものを追求したいんです。つまり、虐殺に加担することを追求したい、本質を描きたい。人間を人間でないものにする、ということです。[中略]私たちの知っている出来事や人物から、物語を変更しています。外側からではなく、内側から物語を描くにはどうすればいいのかを考えています。うまく書けるまで、あと数ヶ月かかるでしょう。」
撮影監督を務めるのは、『ウルフ・オブ・ストリート』(2013)や『沈黙 -サイレンス-』(2016)、『アイリッシュマン』と近年のスコセッシ作品に参加してきたロドリゴ・プリエト。すでにオクラホマ州でのリサーチやカメラテストは行われており、スコセッシいわく「(2020年)3月、4月には撮影を始めたい」とのことだ。
ディカプリオとデ・ニーロは『ボーイズ・ライフ』(1993)などで共演しているが、スコセッシの長編映画で本格共演するのは今回が初めて。ディカプリオはスコセッシと『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)や『アビエイター』(2004)、『ディパーテッド』(2006)、『シャッターアイランド』(2010)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)でタッグを組んでおり、本作は6度目の出演。一方、デ・ニーロは『タクシードライバー』(1976)や『レイジング・ブル』(1980)、『キング・オブ・コメディ』(1983)、『グッド・フェローズ』(1990)などに出演しており、今回で10回目のタッグとなる。
▼マーティン・スコセッシ の記事
ドウェイン・ジョンソン、レオナルド・ディカプリオ、エミリー・ブラント出演のスコセッシ最新作、ディズニー&20世紀スタジオが獲得 ドウェインは原作も執筆中 ドウェイン・ジョンソン、スコセッシ映画出演決定 ─ ディカプリオらと共演、ハワイが舞台の実録マフィアもの ドウェインの持込企画 ディカプリオ&スコセッシ『万博と殺人鬼』映画化で再タッグ ─ 19世紀シカゴで起きた猟奇殺人の実話描く キアヌ・リーブスのドラマ化頓挫で 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ナオミのフルヌードはマーゴット・ロビー自身のアイデアだった 「どうやって家族に説明しよう?」 ハビエル・バルデム主演で『ケープ・フィアー』ドラマ化 ─ スコセッシ&スピルバーグが製作総指揮 かつてデ・ニーロで映画化も
Sources: Entertainment Weekly, BFI