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『ラ・ラ・ランド』は切ないけれど、それでもデートムービーとしてオススメしたい3つの理由

2月24日に公開された『ラ・ラ・ランド』をついに観てきた。大好きなエマ・ストーンとライアン・ゴズリングコンビが再び、しかも2人の歌声が聴けるなんて!そんなわけで、ずっとずっと楽しみにしていた作品だった。

本作については、「感動する」という感想はもちろん、「めちゃくちゃ切ない、恋人同士では観に行かない方がいいと思う」とも聞いていたので少しドキドキしていた。「何度でも観たくなる」「2017年公開映画でもうベスト5の作品」と話題沸騰の本作、なぜ一部で「恋人と観るものではない!」と囁かれているのだろう?

その理由は主人公の2人、ミアとセブの恋愛が”誰が見てもハッピーエンド”なわけではないからだろう。恋に落ち、夢をを応援し合う。どちらかの性格が悪かったとか、浮気をしてしまったなんていうわけではない。それでもどこか同じくライアン・ゴズリング主演の『ブルーバレンタイン』を思い出させる切ないラスト…「だから恋人同士で観ると気まずくなるし、これからの不安に襲われる」と言われているのだ。

しかし、いざ鑑賞してみると、全くそんなことはなかった。むしろ、「観る者全てが恋に落ちる」という評判に納得し、最高のデートムービーじゃないかと確信したのだ。

今回は、『ラ・ラ・ランド』がデートムービーにふさわしい理由をご説明しよう。

この記事は、寄稿者の主観に基づくレビューです。必ずしも当メディアの見解・意見を代弁するものではありません。

理由1 : こんなデートがしたくなる

『ラ・ラ・ランド』を一言で言うならば、全てがロマンチック。50年代の古き良き時代を思わせるファッションと現代的なアイテムの融合、現実世界とファンタジックな演出の絶妙なバランス。まさに”夢を見ている”ような幻想的な映画なのだ。

ここ最近の映画の中でも、セブとミアのデートシーンはとびきりロマンに満ち溢れている。ラブストーリーの中で、主人公2人が映画館に行くシーンがある作品は意外にも少ない。(映画好きとしては、映画館のデートシーンのキュンキュンするのに!)しかし『ラ・ラ・ランド』で初めてミアとセブが手を握り合うのは、その映画館なのだ。

恋人同士で行ったなら、思わず自分の隣に座っている相手を意識して、胸が甘く疼くはずだ。

他にもジャズバーで語りあったり、セブの演奏に合わせてミアが踊ったり、夜の街をおしゃれな格好で歩いたり。”こんなデートしてみたいけれど、まだやったことがない”デートシーンが満載だ。公園から見る夜景、普段通る何気ない道も、恋人と一緒ならまるで映画の中のように輝いて見える景色なのではないかと改めて思わせてくれる。

2人が初めてキスをしたグリフィス天文台は、ロサンゼルスでは恋人たちが一度は訪れるデートスポットなのだとか。天文台でのシーン、プラネタリウムに溶け込み、満点の星と踊る2人だけが浮かび上がる。私たちもミアとセブの2人だけの世界を一緒に堪能することができるのだ。

『ラ・ラ・ランド』は、私たちが忘れてしまった、若く甘くロマンチックな感情を心地よく刺激してくれる。横を向けば優しく微笑んでいる恋人がいるなんて、なんて素敵なんだろう!いつもの帰り道も少し違ったも風景に感じられるかも。

理由2 : 思い出の曲が生まれる瞬間に出会える

音楽と思い出の結びつきは強い。特に恋愛の思い出に音楽は欠かせないのではないだろうか。 一度聴けば、あの風景や相手のにおい、声、一緒に食べたものの味を思い出す。そんな曲を誰しも一曲は、心の中に持っているのではないだろうか。

この『ラ・ラ・ランド』では、そんな”思い出の曲が生まれる瞬間”に立ち会うことが出来る。
ミアとセブが出会うシーンで、セブはピアノを弾いている。『Mia & Sebastian’s Theme』だ。この曲は映画の中で何度も効果的に使われている。ミアはこの曲を聴くたびにセブを思い出し、セブもこの曲は弾けばミアを思い出す。

『ラ・ラ・ランド』 鑑賞後は、劇中の曲を口ずさんでしまうはずだ。スマホにダウンロードして、早速帰り道に聴きたくなってしまう。『ラ・ラ・ランド』の楽曲は、私たちにとっても思い出の曲になるのだ。恋人と観に行ったならば、ふたりの思い出の一曲になるはず。あの時、あの映画館で『ラ・ラ・ランド』 を観て、隣には恋人がいた…そんな甘い思い出のスイッチを押してくれる曲に出会うことができる。

音楽と恋の、不思議で魅惑的な絆。それを改めて教えてくれるのが『ラ・ラ・ランド』だ。

理由3 :  思いっきり”非日常”を楽しんで!

『ラ・ラ・ランド』のセブとミアの恋愛は切ない。冒頭でもお話ししたとおり、ハッピーエンドかどうかは人によって意見が分かれるだろう。一瞬のうちにきらめく儚い恋を…それでもこの『ラ・ラ・ランド』をデートムービーとしてオススメしたい理由は、” 美しいミュージカル映画を、恋人同士隣に座って、映画館という空間で一緒に観ることができる”その状況だけで素晴らしくかけがえのない時間だと思うからだ。

『ラ・ラ・ランド』で描かれる、夢を追う中の恋の悲しみや切なさは、誰しも胸に刺さる部分があるはずだ。お互いに叶えたいことのために頑張り、努力したのに、それでも決して一筋縄ではいかないのが恋愛。もしかしたら今の恋人ともいずれ終わりがくるかもしれないと、そんな不安が頭をよぎってしまうかもしれない。

しかし、ミアとセブの恋愛は不幸だろうか?切ないだけだろうか?『ラ・ラ・ランド』は、例え切ない恋愛だとしてもそれは不幸なことではないと、名前がつく関係でなくとも愛が無いわけではないと教えてくれる映画だと思う。最後の10分間で描かれるのは、“2人の愛は2人の夢の中で、永遠に生き続ける”ということなのだから!

だから、ミアとセブの関係を”切ない”と受け止めて萎えた気持ちにならなくても大丈夫。今この時間、隣には好きな人がいて、一緒にこんなに素敵な映画を観ている。これからのことなんて考えず、全身で『ラ・ラ・ランド』の世界に浸ろう。

映画館という非日常、まさに”夢のような”空間で、あの世界に入り込んだような気持ちで夢物語を体感する。素晴らしい音楽、キャスト、ファッション、そして切なくロマンチックな物語。きっと観に行ったことを、観に行った人のことを、頭の中に強く焼き付けられるはずだ。

『ラ・ラ・ランド』。”夢を見ていた” そのキャッチコピーがぴったりな、儚くもも甘美な余韻が残るラブストーリー。いつもよりもおしゃれをして、お気に入りの飲み物を買って、大切な人と映画館に足を運ぼう。きっとその日見る全ての景色が、美しい映像となって胸に刻みこまれるに違いない!

Writer

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Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)