『ロード・オブ・ザ・リング』続編小説を無許可で出版していたファン作家、公式ドラマ「力の指輪」を訴えるも逆に多額の賠償金を課せられる

自身が手がけた独自の『指輪物語』続編小説の著作権を侵害したとして、トールキン財団とドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」(2022-)を手がけた米Amazon Studiosに対し訴えを起こしていた作家デメトリアス・ポリクロンが、トールキン財団への著作権侵害で、著作物の差止命令と賠償金支払いを命じられたことがわかった。英BBCなどが報じている。
2022年9月、アメリカを拠点に活動するポリクロンは『The Fellowship of the King』と題した著書を出版。本人によれば、同書はJ・R・R・トールキンによる『指輪物語』の「完璧な(pitch-perfect)」続編で、7部作構想の1作目として計画したという。
翌2023年4月、ポリクロンは2022年9月に配信開始となった公式ドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」の内容が自著を引用しており、著作権を侵害されたとしてトールキン財団と同作で製作・配給を務めるAmazon Studiosを提訴した。8月、米カリフォルニア州の裁判所は訴えを棄却。今度はトールキン財団が著書の差し止め命令を求めてポリクロンを反訴していた。
そして12月14日、スティーヴン・V・ウィルソン判事はポリクロンによる訴えを「軽率で不当な」ものと述べ、著書『The Fellowship of the King』と執筆を計画していた続編作品等の永久的差止命令に加え、同書に関するいかなる物理的及び電子的コピーの処分を言い渡した。
さらに州裁判所は、トールキン財団とAmazon Studiosが弁護士費用として費やした13万4,000ドル(約1,923万円、1ドル=143円換算)の賠償も命じた。トールキン財団の英国局長を務めるスティーブン・マイヤーは声明で「これはトールキン財団にとって重要な成功です。我々は権限が与えられていない作家や発行人に対し、このような方法でJ・R・R・トールキンの愛された作品群を収益化することを容認しません」と述べ、再発防止を呼びかけた。「本件では、商業ベースで『指輪物語』への重大な著作権侵害が行われました。財団は、今回の永久的差止命令と弁護士費用の裁定が、同様の意図を持つ方々を思い止まらせるに足るものだと願っています」。
トールキンは、『指輪物語』ユニバースの物語背景や歴史、伝説をまとめた壮大な世界観、レジェンダリウムを創造した。ドラマ「ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪」は「一つの指輪」の鋳造や冥王サウロンの台頭などを描いた中つ国第二紀を舞台としたドラマとなっている。
一方、ポリクロンが著した『The Fellowship of the King』は、フロド・バギンズらの活躍によってサウロンが滅した第三紀以降の物語とされており、著作権侵害をめぐる訴えの意図は判然としていない。ちなみに、BBCやThe Guradianはポリクロンを「ファンフィクション作家」と形容している。
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Source:BBC,The Guradian