ドラマ版「ロード・オブ・ザ・リング」シーズン1は全20話構成 ─ 脚本作業が進行中、映像化は第二紀のみか

J・R・R・トールキン著『指輪物語』を原作とする、ドラマ版「ロード・オブ・ザ・リング(邦題未定、原題:Lord of the Rings)」のシーズン1が全20話構成になることがわかった。メインスタッフとして名を連ねている、トールキン研究者のトム・シッピー氏が独Deutsche Tolkien Gesellschaftにて明かしている。
ドラマ版「ロード・オブ・ザ・リング」は、原作『指輪物語』や映画版『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』で描かれた“第三紀”の物語ではなく、それらに先がける“第二紀”を舞台とする前日譚。2019年7月末には初のティザー映像も公開されたが、プロジェクトはいまだ初期段階にあり、2021年の配信開始を目指して進行中とのこと。シッピー氏いわく、「スケジュールは把握していませんが、今年(2019年)中に撮影が始まることはないと思います。衣裳や武器、撮影場所など、まだやることがたくさんあるんです」。
中つ国の語られざる物語が描かれるドラマ版は「シーズン1は20話構成になる」といい、脚本作業も進行中。製作チームは「撮影を終えたあと、何度も同じ場所に戻らなくて済むように」広大な中つ国をなるべく限られた土地で撮影しようとしているという。「つまり、撮影が始まる時点で結末が分かっていなくてはいけないということです。結末が決まるまで撮影は始められません」。
シリーズのショーランナーを務めるのは、『スター・トレック BEYOND』(2016)初稿を執筆したJ・D・ペイン&パトリック・マッケイ。脚本家チームには「ブレイキング・バッド」「ベター・コール・ソウル」のジェニファー・ハッチソン、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のジャスティン・ドーブル、「ゲーム・オブ・スローンズ」のブライアン・コグマンら精鋭たちが集まっている。
トールキンは第二紀について多くを明らかにしていないため、製作チームは自由な創作を認められているようだ。ただし「トールキン財団は第二紀の大枠を変更しないよう求めている」といい、サウロンのエリアドール制圧や、ヌーメノール人の滅亡といった大きな出来事は変更できないようになっている。原作などでトールキンが扱っていない内容を描くことはできるが、既存のストーリーと矛盾しない作劇が実現されねばならないのだ。
なおシッピー氏によると、ドラマ版を製作する米Amazon Studiosは第一紀・第三紀の映像化権を取得していない模様。第一紀の権利はトールキン財団が保有しているが、劇中では、トールキン自身が設定した第一紀の出来事に言及することは可能ながら、そうではない出来事を新たに設定・創作することは認められていない。なお、映画版『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』の舞台でもある第三紀の権利は財団ではなくMiddle-earth Enterprisesが保有。Amazon Studiosが、将来的な展開なども含めて、同団体と映像化権の契約を結ぶかどうかは不明だ。
Source: Deutsche Tolkien Gesellschaft