絶対にデートで観てはいけない。いつもの「シュワちゃん」は登場しない異色のゾンビ映画『マギー』レビュー

『マギー』

早く終わって欲しいとこんなにも願ったのはいつ以来だろう。
つまらなくて「早く終わんねーかなー」なんて思うことはたまにありますが、胸が痛くて苦しくて 観ているのがツラくなったのは久しぶりだ。

シュワちゃん×ゾンビものという事前情報しか仕入れずに観たので、ゾンビ化した娘を救うため 希少なワクチンを手に入れるべくドンパチするB級モノだと思っていました。

アーノルド・シュワルツェネッガー出演作を観ていると、良くも悪くも 役柄というよりは「シュワちゃん」というイメージが先行して伝わってきてしまいます。
どんな逆境をも覆す屈強でたくましくて安心感をも与えてくれる男の中の男的なイメージを。

そしてそんなシュワちゃんを観たいがために、彼が出ていればどんな作品でもぼくは観てしまうのです。

しかし、スクリーンに映し出されたのは「シュワちゃん」ではなく絶望に打ちひしがれた男の顔だった。

謎のウイルスが蔓延したアメリカ。
感染してしまった娘を病院から連れ出し、最後の時間を家で共に過ごす男の物語だ。

序盤の内は「シュワちゃん」が顔を出すのを待っていたのですが、ストーリーの描き方を観ていく内に この作品はそういったモノではないのだと理解しました。

ゾンビもの=パニックや感染 殺し合いのイメージが強いのですが、この作品で描かれているゾンビは別物だった。

感染後 一定の期間は自我を保ち人間として生きていられるが、時間経過と共に完全にゾンビへ。
治療方法は確立されておらず、最終的には人を食べるようになる。

ゾンビものの典型として、ある程度話が進んだ段階で仲間の1人や大事な人が感染し その人を殺す殺さないなどで葛藤が生まれるものだ。

しかし この作品においては冒頭から娘のマギーは感染済み。

想定していた「シュワちゃん」も顔を出すことはなく、これは一発逆転だとか奇跡的現象が起きる話ではなく、最終的にゾンビになってしまう娘とどう向き合うのか。
そこに到達するまでを描いているものなのだと理解し始めた辺りから、ぼくは胸が苦しくて苦しくて 何度も涙を流した。

常に曇った天気や 荒廃した町並みがより一層焦燥感を煽り、初めてマギーに症状が現れるのと同時に 違和感のあった家族関係の答えを明かしてくるのもエゲツない。

途中何度も心温まるようなシーンがあるのだが、初めから答えの出ているストーリーなので 結局はより深く心を抉られるだけ。
映画における引き込み方としては大いに効果的ではあるのだが、只々胸が痛かった。

劇中で「ゾンビ」と明言していないが、謎の感染病はゾンビ化です。
ゾンビというファンタジー性のあるものを描いてはいるが、それは現実に起こる病気と変わらない。

例えば治療のしようがない病気に大事な人がかかったとする。
苦しみが伴うのを承知で無理やり延命措置をするのか、早々に死なせてあげた方が楽なのか。

きっとどちらも正解であり、どちらも正解ではない。

その究極の二択を迫られる話とでも言おうか。

ゾンビゾンビ言ってますが、描いているのはとてつもない人の葛藤でした。

不治の病にかかった娘を想う父の、その病にかかってしまった娘の葛藤を 観ていてツラくなるほどまでに描いた作品です。

決してデートなんかで観ないでください。
観終えた後にどこかに出かける気分にはなれません。
昼間に観るのもオススメしません。
残された1日の何割かを心の回復に費やすでしょう。

観終えてしばらく胸が苦しくて仕方がなかったです。

シュワちゃん作品でこういった作品を観られた感動もありましたが、「シュワちゃん」を求めて観に行くと痛い目に合うこと間違いナシ。

5.2
総合評価:A

マギー

原題  MAGGIE
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給  ポニーキャニオン
上映時間  95分

青春
6
2
エロ
2
サスペンス
10
ファンタジー
6

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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Comments

  • @oriver_cinema 2016年2月19日 at 11:26 AM

    絶対にデートで観てはいけない。いつもの「シュワちゃん」は登場しない異色のゾンビ映画『マギー』レビュー https://t.co/eAzwcUe0xm #orivercinema

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