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【特集】『ムーンライト』出演!第89回アカデミー助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリとは、どんな俳優なのか?

現地時間2017年2月26日に開催された、第89回アカデミー賞授賞式。
ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が大きな話題を集める中、海外ドラマファンにとって今年のアカデミー賞は、目の離せない様相だった。
主演女優賞には『エージェント・オブ・シールド』や『プリーチャー』に出演するルース・ネッガ、助演女優賞には『殺人を無罪にする方法』で名高いヴィオラ・デイヴィスがノミネート。
その中でも特に感慨深く映ったのが、本年度アカデミー作品賞に輝いた『ムーンライト』に出演し、自身もその好演から見事、助演男優賞を獲得したマハーシャラ・アリだ。

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これまで多くの海外ドラマで存在感を発揮してきた彼だが、そこまで海外ドラマに傾倒していない映画ファンなら、恐らく知らない人も多いのではないか。
ここでは、大まかにではあるが、オスカー俳優マハーシャラ・アリを紹介していきたいと思う。

人気を博したSFドラマに主要キャストとして出演

マハーシャラ・アリは、1974年2月16日カリフォルニア州オークランドに生まれ、ニューヨーク大学を卒業後に俳優として活動するようになった。
彼が最初に手にした大きな役は、2001年に放送開始と共にレギュラー出演した『女検視医ジョーダン』。
この作品でトレイ・サンダース医師を好演した。
その後、幾つかのTVドラマにゲスト出演をし、キャリアを重ねた彼の名を一躍有名にした作品というのが、2004年から放送を開始した、SFドラマ『4400 未知からの生還者』だ。

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ある日突然姿を消し、ある日突然姿を現した、4400人の人生を描き、シーズン4まで製作された人気シリーズ。
本作で1951年に失踪した空軍パイロット リチャード・タイラーを演じていたのが、マハーシャラ。
当時は現在とは違い、マハーシャラルハスバズ・アリという芸名で活動をしており、とにかく長い名前だというのが第一印象だった。
彼の演じたこのリチャードというキャラクターは物語上とても重要な位置づけをされており、良い意味でも悪い意味でも存分にかき乱してくれる。
謎の帰還を遂げた後に恋に落ちた女性との間に生まれた娘が起こす数々の問題に対処しながら、愛する家族をひたすら守ろうとする姿が脳裏に焼き付いている。
これが筆者とマハーシャラとの出会いであり、彼を海外ドラマや映画で観る度にその姿を思いだす。
この頃からすでに印象深い演技を魅せ、人々を惹きつける俳優だったのだ。
余談だが、この『4400 未知からの生還者』は日本でも高い人気を誇っていたことでも知られ、放送当時は日本代表として、お笑いコンビの”くりぃむしちゅー”が出演したことでも話題を集めた。

海外ドラマを中心に大活躍!

このような人気ドラマにメインキャストとして出演していた俳優というのは、その後消えていくことが多いのだが、2007年に『4400』が放送を終了した後も、彼は俳優としてますます飛躍を遂げていくことになる。
2008年には『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、2010年には『プレデターズ』と映画界でも存在感を発揮するようになるのだ。
そして、再び彼に注目が集まるようになるのが、2013年から出演した『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。

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本作で有能なロビイストであるレミー・ダントンを演じた彼の存在感は、全米の視聴者から大きな注目を集めた。
これまでの空軍パイロットなどの役柄とは異なり、この辺りからスーツを決め込んだ紳士的且つ圧倒してくるような役柄が増えてくるようになる。
それは、2016年に出演したNetflixで配信されているMARVELドラマ『ルーク・ケイジ』にも言える。

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同作で彼は主人公と相対する悪役コーネル・”コットンマウス”・ストークスを演じている。
ルーク・ケイジと同等の能力を秘め、街を牛耳るマフィアのボスという役どころで、圧倒的な存在感を魅せる。
あの一端の空軍パイロットを演じていた頃とは比べものにならないほどに貫禄のある演技を魅せ、映画や海外ドラマの端役として長年培ってきた経験が、彼にこれほどまでのオーラを与えたのだろう。
この圧倒的な存在感こそが、マハーシャラ・アリ最大の魅力と言える。

ついにオスカー俳優に!

知らぬ知らぬのうちにどんどん評価を高めたマハーシャラは、2016年、さらに大きく飛躍を遂げる。
この年は彼の人生にとってターニングポイントになっており、本年度アカデミー作品賞にノミネートされた内の2本の映画に出演している。
1本目は、NASAで働く有能な黒人女性たちに焦点を当てた『Hidden Figures(原題)』。

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本作ではタラジ・P・ヘンソン演じる未亡人女性と恋に落ちる役柄を好演している。
特にNASAで働く女性をバカにしたと誤解されてしまう場面での困惑した顔が印象的である。

そして、もう1本が『ムーンライト』だ。

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一人の黒人男性の少年期、ティーンエイジャー期、成人期という3つの時代を描き、高評価を得ている本作で、主人公の人生に大きく関わることになるドラッグディーラーを演じるのが、マハーシャラ。
本年度アカデミー作品賞にも輝いた本作の肝と言っても過言ではないほどに、彼の演技が本作を一味も二味も色濃いものにしている。
それは、これまで演じてきたどの役よりも繊細で人間味に溢れたもので、マハーシャラ・アリという俳優の魅力が全て凝縮された名演と言えるのだ。

『4400 未知からの生還者』に出演していた当時は演技に魅力はあるものの、将来は「あの人は今?」などと言われるような俳優だと正直感じていた。
しかし、見る見るうちにキャリアップを重ね、黒人俳優として12年ぶりとなるアカデミー助演男優賞を獲得するという快挙まで成し遂げた。
それと同時に彼は母が敬虔なクリスチャンであるにもかかわらず、本人はイスラム教徒ということで、史上初のムスリム俳優のオスカー獲得ともなった。
ドナルド・トランプ大統領政権で揺れる今日のアメリカにおいて、このような多様性に富んだ俳優が受賞することで、差別をなくしていくという点についても強いメッセージ性を帯びてくる。
なので、こんな時代だからこそ彼が受賞したというのは大きな意味を持ち、ハリウッドにおいて新たな時代が幕を開けたと言えるのかもしれない。
『4400』ファンの筆者としては、彼がオスカー俳優になる前から知っているので、親近感の湧く俳優の一人として、これからも存分に応援していきたいと思う。

アカデミー作品賞&助演男優賞を受賞した『ムーンライト』は、2017年4月28日より全国公開。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=x9c1igCina0&w=560&h=315]

Eyecatch Image:http://www.imdb.com/name/nm0991810/mediaviewer/rm2073833984?ref_=nmmi_mi_all_evt_88

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Sunset Boulevard

映画・海外ドラマライター。映画ファンの方々が知りたいNEWS、評論、コラムなどを中心に他とは違った視点から注目した記事を寄稿していきたいと思っております。

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