コッポラ最新作『メガロポリス』初映像が米公開 ─ アダム・ドライバーが時間を止める、廃墟と化した現代アメリカ再建の物語

『地獄の黙示録』(1979)や『ゴッドファーザー』シリーズなどで知られる巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督最新作『Megalopolis(原題)』より初映像が公開された。
『Megalopolis』は、大災害に見舞われ廃墟と化した現代アメリカの街を再建しようとする建築家の男・セザール・カティリナ(アダム・ドライバー)を主人公とする物語。天才的なアーティストであるカティリナは街には変化が必要だと主張し、理想の未来を思い描きながらユートピアを建造しようとしていた。
しかし、強欲や利権に固執する市長フランクリン・キセロ(ジャンカルロ・エスポジート)と対立することに。さらに、カティリナはキセロ市長の娘であるジュリア(ナタリー・エマニュエル)との恋仲にもあった。忠誠心をめぐって2人の間で揺れ動くジュリアは、人類が真に値すると信じるものを発見していかなければいけなくなる……。
2分あまりの映像では、アダム・ドライバー演じるカティリナが、太陽に照らされた建物の高所から街を見下ろしている。そっと右足を上げるとバランスを崩してしまい、思わず「時間よ、止まれ」と叫ぶ。すると時間は本当に止まり、落下しかけたカティリナが重力に逆らうようにして元の位置に戻るではないか。
息を切らしたカティリナが指を鳴らすと、時間は再び動き出す。怪訝な顔つきのカティリナは辺りを見渡し、背景では不気味な音が周期的に鳴り響きはじめたところで映像は幕を閉じた。
映像が公開された日は、4月下旬に逝去したコッポラ監督の妻エレノア・コッポラの誕生日。コッポラ監督はInstagramで、「『メガロポリス』は妻のエレノアに捧げられた映画です。これで彼女の誕生日を一緒に祝いたかったのですが、残念なことに叶わなくなってしまったので、彼女のためにもみなさんに共有することにしました」と想いを綴った。
コッポラ待望の最新作となる本作には、1億2,000万ドルの製作費が投じられた。コッポラは製作費の一部を自己負担するために所有していたワイナリーを売却するなど、私財を切り崩して完成させた。
主演のアダム・ドライバーに加え、本作にはキセロ市長役で「ブレイキング・バッド」(2008-2013)「マンダロリアン」(2019-)のジャンカルロ・エスポジート、ジュリア役で『ワイルド・スピード』シリーズのナタリー・エマニュエルが出演。このほか、フォレスト・ウィテカー、ローレンス・フィッシュバーン、ダスティン・ホフマン、ジョン・ヴォイト、オーブリー・プラザ、ジェイソン・シュワルツマン、シャイア・ラブーフ、タイカ・シャイアといった豪華俳優陣が集結した。
映画『Megalopolis(原題)』は2024年5月、第77回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア予定。
▼コッポラ の記事
巨匠コッポラ問題作『メガロポリス』6月20日IMAX上映決定 ─ 賛否両論の一大叙事詩をその目で確かめろ 今年最大の話題作 「アイスマンよ安らかに」ヴァル・キルマーを著名人ら追悼 ─ 『ヒート』監督「とてつもなく悲しい」ジョシュ・ブローリン「そっちでまた会おう」 ヴァル・キルマーを偲んで ラジー賞最低監督賞、コッポラが逆に感激コメントで懐の広さと皮肉見せる「リスク恐れる業界のルールに従わない」「偉大な監督と並べて光栄だ」 痺れる 2025年ラジー賞ノミネート発表、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が最多に 笑って流しましょうね 巨匠コッポラ、「つねにリスクを選ぶ」映画づくりの哲学 ─ 「映画とファストフードに大した違いはないと考える人たちがいる」 最新作のためにワイナリーを売却