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「ベンジーは救われるお姫様役でも構わない」『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』サイモン・ペッグへインタビュー

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ベンジー役俳優 サイモン・ペッグ インタビュー
©THE RIVER

これからサイモン・ペッグにインタビューを行うという待機中、隣室からサイモン御本人が短い休憩を取るために現れた。華やかな柄のジャケットを着られていて、取材班の間ですぐに「お洒落だね」と話題になった。この度の来日でサイモンに付いている通訳さんに聞いたところ、「アメリカじゃこんな服は着られないよ、日本だからお洒落して着ているんです」と話していたという。それからわずか数分後、予定時間になって再度現れたサイモンは、無地のジャケットに着替えていた。「写真撮影が沢山あったもので」とはにかむ。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ベンジー役俳優 サイモン・ペッグ インタビュー
©THE RIVER

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』で、トム・クルーズ演じる主人公イーサン・ハントの絶対的相棒ベンジー役として、シリーズ4度目の出演を果たしたサイモン・ペッグ。脚本家やコメディアンとしても知られる。お茶目でオトボケな印象のどこかに隠した繊細さが、ファンの心に残り香を置いていく男だ。

THE RIVERでは、『フォールアウト』で来日したサイモン・ペッグにインタビューを敢行。サイモンの内面がよりよく分かるエピソードを尋ねてきた。

左腕にジブリ「カオナシ」のタトゥー

──『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』で、再びベンジー役を演じられると初めて聞いた時の心境はいかがでしたか?

新作もやる気充分でした。というか、新作があるなら自分も出られるものだと思っていました。前作の『ローグ・ネイション』も好評でしたからね。トムともよく続編について話していたので、新作もやるんだろうなと予期していましたよ。これで呼ばれなかったら、相当焦ったと思います(笑)。

──日本にはサイモン・ペッグさんのファンが沢山いて、「ペグペグ」とか「ペグちゃん」と呼ばれて愛されているんですよ。

ヘヘヘヘヘ(笑)。照れちゃいますね。すごく嬉しいです。僕は、西洋のカルチャーが日本でもこんなに若い人たちに支持されていて、関心しています。お互いの文化が混じり合って、人間愛みたいなものがありますよね。僕も日本文化が大好きで、(ジャケットを捲り左腕を見せながら)ここに『千と千尋の神隠し』のカオナシのタトゥーも彫っているんです。それくらい大好きなんですよ。日本は居心地がとても良いですね。

※先述の通り、このインタビューでは無地のジャケットに着替えていたサイモン。ところがカオナシのタトゥーを披露するためジャケットを捲ると、その裏地一面に広がった華やかな柄模様がチラリと顕になった。

──脚本家としての顔を持つサイモンさんですが、今作にもご自分のアイデアを提供することはありましたか?

クリストファー・マッカリーが脚本家や監督として完成された方なので、彼との仕事は安心感があります。なんなら、撮影中も脚本が完成していなかったので、僕も脚本を読んでいなかったんですよ。日によっては、自分の意見を提案してみることもありました。例えば、iPadのスクリーンが上下逆になっているというシーンは、僕が個人的に監督を笑わそうと思って撮影中にやったことなんです。劇中に起用されるなんて思ってもなかったんですけど、採用されちゃった。ヘヘヘヘ。そういうこともありました。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ベンジー役俳優 サイモン・ペッグ インタビュー
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──今作ではアクションにも挑まれましたね。何か準備はしていましたか?

映画『ミッション:インポッシブル』に参加するときは毎回そうなのですが、いつも脚本を貰ったら…、脚本があればの話ですけど(笑)、 今作では何を体得して、どこへ行くのかをチェックするんです。出演者は皆、劇中でちゃんと諜報部員に見えるように体力づくりをして身体を絞っておくんですよね。それから特殊なスキルを学ぶ必要もある。今回の僕の場合は、◯◯の◯◯と◯◯でした。※ネタバレのため伏せ字。

それから、格闘シーンに備えて殺陣の練習とトレーニングをしました。リアルに見せるために、スタント・チームの皆さんと稽古したんです。それぞれのキャラクターに異なるファイトスタイルがあるんですよ。例えばヘンリーのオーガスト・ウォーカーはハンマーみたいだし、イーサンはより精密な戦い方をする。イルサは足技をよく使うし、レーンは戦術的ですね。ベンジーの場合はドタバタで、その場しのぎ的(笑)。とにかく僕はどんなスタイルが来ても大丈夫なように、身体を鍛えていました。

イーサン&ベンジー、トム&ペグの発展

──これで『ミッション:インポッシブル』シリーズには4作目の登場となります。これまでのベンジーとイーサンの関係性の進化と、それからサイモンさんとトムとの関係性の進化についても教えて下さい。

『M:i:Ⅲ』(2006)のラストで、ベンジーは上海を走るイーサンをナビゲートしていました。イーサンが疾走するのを見ていて、ベンジーは自分もエージェントになりたいと思った。憧れたんですね。それでIMFの訓練をこなして、すぐにイーサンと働けるようになった。イーサンは、組織の中でも最も伝説的な諜報部員で、ヒーローなんです。そんなイーサンと一緒に働ける。ベンジーは大興奮ですよね。今では何年も仕事を共にして、仲良く話すことができて、友だちにもなっている。

これって、僕とトムの関係と全く同じなんですよ。『M:i:Ⅲ』で初めてトムと一緒になったときは、僕も「うわぁ、トム・クルーズだ!」ってなりましたよ。世界一の映画スターと一緒に働くんですからね。それからお互いのことを知るようになると、僕達も友だちになって色々な話をするようになりました。今では、彼のことを”トム・クルーズ”としてではなく、1人の人間として知っています。つまり、イーサンはベンジーの友だちだけど、それでもイーサン・ハントである。トムもそうで、僕の友だちだけど、それでもやっぱりトム・クルーズなんですよ。

──それで、今ではトム・クルーズからケーキを贈ってもらえる仲になったわけですね。

はい、しょっちゅうケーキを送っていて、僕も沢山もらいました。トム特性ケーキですよ。

※トム・クルーズは前日の記者会見にて、サイモンの割れた腹筋を台無しにするためにココナッツ・クリーム・ケーキを送りつけているという裏話を披露。トム曰く「自制心を試すために送っている」そうで、サイモンは毎回その誘惑に負けて食べてしまうという。

──何かケーキのお返しはしましたか?

トムが足を骨折した時に、お返しとして僕の出演する映画とTV番組全作を詰めたパッケージを送りました。「これから時間があるんだから、全部観てね」ってメモを添えてね。ちゃんと観てもらえたかなぁ。

──昨日の記者会見では、ヘンリーやトムの発言を受けて何か言おうとマイクを握ったまま、通訳さんが入ってくるためタイミングを失ってそっとマイクを置くことが何度かありましたね。何を言おうとしていたのかなと。

何だったかなぁ(笑)。とりあえず、何かのジョークだったと思う。思いついたことを言おうとしてたのかなと。僕たちは仲良しで、よくじゃれ合うから、(笑いに対する)対抗心みたいなのがあるんですよ。いつも楽しかったですね。

──撮影中、一番面白かった瞬間は何でしたか?

いやぁ、面白い瞬間はいっぱいありましたけど、こういうのはその場にいないと面白さが伝わらないですからね…。でも、トムが笑い始める瞬間はいつも面白かった。普段は仕事に集中してるんですけど、トムの瞳にヤンチャ心が宿る瞬間があるんですよ。で、トムが笑うと全員笑っちゃう。彼がその空間のボスみたいなところがありますからね。トムのせいで全員爆笑することもありましたよ。別にプロ意識に欠けるとかそういことじゃなくて、トムも(笑いを)拒まないんです。吹き出しちゃうことが何度もありましたね。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ベンジー役俳優 サイモン・ペッグ インタビュー
©THE RIVER

ヒロインは女性じゃなくていい

──『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』では、シリアスで緊迫した世界観が続く中、ベンジーが唯一コミカルな役回りでした。

ベンジーって、一番観客に近い立場のキャラクターだと思うんですよ。変装マスクとかガジェットとかが登場するこの世界で、一番の「普通の人」だから、演じる時はそんなことに気を使いました。ベンジーにコメディ要素があるのは、皆さんもああいう有り得ないシチュエーションに放り込まれた時に取るであろう行動を反映しているからですね。イーサンは頭おかしいんじゃないかと疑ったり。ベンジーを演じるカギは、「普通である」ということですね。

──ちなみに、撮影前のウォームアップにすることは?

トムは身体を使ったウォームアップをしていたけど、僕はトレーラーで寝っ転がって『キャンディークラッシュ』をやってました。ヘヘヘヘ。

──巷では、真のヒロインはベンジーなのでは、とも言われておりますが。

ベンジーの存在が、時にイーサンにとってリスクになる事もあると思います。ベンジーは友人ですし、大事な存在ですから。ベンジーの救出に挑むこともありますね。イルサにも助けられたり。このシリーズは、ヒロインが女性じゃないというところが良いですよね。助けられるのはいつもベンジーだから、こういう映画の定番(=助けられるキャラクターが女性であるという旧来的な構図)に変化を与えていると思う。ベンジーは重要なキャラクターですから、そういう役どころでも僕は気にしません。ベンジーがいないと成功しないミッションばかりでしょう?爆弾を解体したり、『ゴースト・プロトコル』の時のように現場仕事をこなしたり。だから、救われるお姫様役でも僕は全然平気です。

ギャラリー

インタビューを終え、写真撮影を行っていると、「ところで、”ichiban”ってどういう意味ですか?」と尋ねられた。「イチバンは、”best”とか”number one”という意味ですよ」と教えると、「そういう意味ですか!今回の来日で、よく皆さんが”ichiban”と仰っていたので気になって…」と笑顔。近くで聞いていたサイモンのスタッフも気になっていたようで、「”ichiban”の意味を教えてもらったの?」と聞かれて「うん、”number one”って意味だって」と自慢げ。別れ際、「あなたがイチバン」と伝えると、大笑いしながら手を握ってくれたのだった。

サイモン・ペッグ出演の映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、2018年8月3日(金)より全国ロードショー。この夏最大の注目作、絶対に劇場で体験せよ!

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』公式サイト:http://missionimpossible.jp/

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。